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26. 王宮では
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昼前に馬車は出たので、夕方には何とか王宮に着いた。暗い夜道にならなくて良かったと、ハルトは言われた。夜道は危ないのですって。確かに視界は悪いですわね。
だったら、以前ハルトがソグラン侯爵領から王宮まで帰る時に馬で夕方に出たと思うのですけれど、と問うと、あれは仕方ないのですって。次の日は朝から仕事があったみたいで、でも…私と少しでも過ごしたかったと言って下さり、だから馬車より早い馬で帰ったのだとか。
急いでいる時にしかしないよとカラカラと笑ったけれど…王太子ですわよね!?危険な事はしないで下さいませ!!
そのままハルトに王宮の奥へと連れて行かれました。
私は王宮なんて初めて来たので、そのなんと煌びやかな事!と目を瞬かせ、口をポカンと開けたままにしてしまったわ。
夕日に染まった白磁色の存在感のある王宮は、大きさにも圧倒され、きっと生涯忘れる事なく目に焼き付いたでしょう。
でも、手を繋いだままだったので、そのままゆっくりと流れる王宮の景色を見つめながら進んで行った。
ハルトはある部屋の前で足を止め、その重厚感のある扉を叩いた。
「ラインハルトです。ただ今戻りました。入ってもよろしいでしょうか。」
「入れ。」
男性の声がした。この声ってきっと…。
ハルトは私の方を向き、繋いだままの手をギュッと握り直しにっこりと笑って、さぁ行こうと声を掛けてくれた。
部屋は、そんなに広くもなく、金色に縁取られた布製のソファに男性と女性が二人座っていた。
「待ち遠しかったぞ。さぁ、座ってくれ。長旅だったろうから少しだけ、挨拶をさせて欲しい。」
そう、ハルトが歳を重ねたらこんな感じになるだろうなという位、髪色も瞳の色も似た男性が話し掛けてくれた。
「少しだけだからな。」
ハルトはそう言って、私にも座るように促してくれ、対面のソファに二人で座った。…まだ手は繋いでくれているわ。このままでいいのかしら。
「あらあら。随分と仲が良いのね。」
とても美しい、金髪に青色の瞳の、笑うと雰囲気がハルトに似た女性が話し掛けてくれた。これは嫌味なのかどうなのか…私はどう答えたら、と思うとハルトがすぐに言った。
「母上…そんな言い方しないで下さい。やっと気持ちが通じ合えたのに、姑がそんなんじゃ、シンシアが怯えてしまいます。王太子妃になりたくないと言われたらどうするんですか!」
「まぁ!そんなんじゃないのよ。誤解しないでね。高慢だった少年のハルトを変えてくれた女の子だったのでしょう?自ら考えていろいろと学ぶようにもなったし。ハルトが初恋を無事に叶えられるのかこれでもやきもきしていたのよ。念願叶って良かったと思ってるのよ。シンシアちゃん、これからもうちのハルトを見捨てないでやってね。」
「母上!そういう所ですよ!」
どうやら、好意的に見てくれているようでホッとしたら、二人のやり取りが微笑ましく見えて笑顔になってしまったらしい。
「あら。シンシアちゃん、笑顔がとっても可愛いわね。まぁ、私には適わないけれどね!そんな所にハルトはやられたのね。」
「私も話をしていいかな?」
「もう!長い!シンシア。もう分かったと思うけど、父上と母上ね!聞いた通り、シンシアに会いたくてウズウズしていたみたいだから、結婚しても良好な関係を築きたいけど、無理だったら早々に俺は王位継承権を放棄してシンシアと二人で暮らすからね!じゃあ、もう疲れたから部屋へと一旦戻ります!これからシンシアは滞在しますから、よろしくお願いしますよ!シンシア、行こう!」
「えっ!?」
ハルトは、私の手を掴むと立ち上がり、部屋を出て行こうと進み出した。
国王陛下のお話は?いいの?
「済まないな、またゆっくり話をしよう。シンシア、なにかあればいつでも言ってくれ。ハルトは私に似て独占欲が強いみたいだから、気を付けなさい。」
私は、振り向いて二人にペコリとお辞儀をして、ハルトに引っ張られながら部屋を辞した。
だったら、以前ハルトがソグラン侯爵領から王宮まで帰る時に馬で夕方に出たと思うのですけれど、と問うと、あれは仕方ないのですって。次の日は朝から仕事があったみたいで、でも…私と少しでも過ごしたかったと言って下さり、だから馬車より早い馬で帰ったのだとか。
急いでいる時にしかしないよとカラカラと笑ったけれど…王太子ですわよね!?危険な事はしないで下さいませ!!
そのままハルトに王宮の奥へと連れて行かれました。
私は王宮なんて初めて来たので、そのなんと煌びやかな事!と目を瞬かせ、口をポカンと開けたままにしてしまったわ。
夕日に染まった白磁色の存在感のある王宮は、大きさにも圧倒され、きっと生涯忘れる事なく目に焼き付いたでしょう。
でも、手を繋いだままだったので、そのままゆっくりと流れる王宮の景色を見つめながら進んで行った。
ハルトはある部屋の前で足を止め、その重厚感のある扉を叩いた。
「ラインハルトです。ただ今戻りました。入ってもよろしいでしょうか。」
「入れ。」
男性の声がした。この声ってきっと…。
ハルトは私の方を向き、繋いだままの手をギュッと握り直しにっこりと笑って、さぁ行こうと声を掛けてくれた。
部屋は、そんなに広くもなく、金色に縁取られた布製のソファに男性と女性が二人座っていた。
「待ち遠しかったぞ。さぁ、座ってくれ。長旅だったろうから少しだけ、挨拶をさせて欲しい。」
そう、ハルトが歳を重ねたらこんな感じになるだろうなという位、髪色も瞳の色も似た男性が話し掛けてくれた。
「少しだけだからな。」
ハルトはそう言って、私にも座るように促してくれ、対面のソファに二人で座った。…まだ手は繋いでくれているわ。このままでいいのかしら。
「あらあら。随分と仲が良いのね。」
とても美しい、金髪に青色の瞳の、笑うと雰囲気がハルトに似た女性が話し掛けてくれた。これは嫌味なのかどうなのか…私はどう答えたら、と思うとハルトがすぐに言った。
「母上…そんな言い方しないで下さい。やっと気持ちが通じ合えたのに、姑がそんなんじゃ、シンシアが怯えてしまいます。王太子妃になりたくないと言われたらどうするんですか!」
「まぁ!そんなんじゃないのよ。誤解しないでね。高慢だった少年のハルトを変えてくれた女の子だったのでしょう?自ら考えていろいろと学ぶようにもなったし。ハルトが初恋を無事に叶えられるのかこれでもやきもきしていたのよ。念願叶って良かったと思ってるのよ。シンシアちゃん、これからもうちのハルトを見捨てないでやってね。」
「母上!そういう所ですよ!」
どうやら、好意的に見てくれているようでホッとしたら、二人のやり取りが微笑ましく見えて笑顔になってしまったらしい。
「あら。シンシアちゃん、笑顔がとっても可愛いわね。まぁ、私には適わないけれどね!そんな所にハルトはやられたのね。」
「私も話をしていいかな?」
「もう!長い!シンシア。もう分かったと思うけど、父上と母上ね!聞いた通り、シンシアに会いたくてウズウズしていたみたいだから、結婚しても良好な関係を築きたいけど、無理だったら早々に俺は王位継承権を放棄してシンシアと二人で暮らすからね!じゃあ、もう疲れたから部屋へと一旦戻ります!これからシンシアは滞在しますから、よろしくお願いしますよ!シンシア、行こう!」
「えっ!?」
ハルトは、私の手を掴むと立ち上がり、部屋を出て行こうと進み出した。
国王陛下のお話は?いいの?
「済まないな、またゆっくり話をしよう。シンシア、なにかあればいつでも言ってくれ。ハルトは私に似て独占欲が強いみたいだから、気を付けなさい。」
私は、振り向いて二人にペコリとお辞儀をして、ハルトに引っ張られながら部屋を辞した。
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