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1. いつもの舞踏会にて
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「こんばんは。私に、貴女と一緒に踊る栄誉を下さいませんか。」
十六歳になるアルフォンシーナは、今シーズン初日の今夜、苦手な舞踏会に渋々参加していた。
十四歳で初めて参加してから三年目、壁の花よろしく壁際で姿勢正しく立って会場を見つめていた。
その時に、見知らぬ年下に見える年齢の男性から声を掛けられたのだ。
アルフォンシーナは、その少年と青年の間のような顔つきの男性へと睨むように視線を合わす。
まだ、デビューして間もないだろうその男性は、アルフォンシーナの事を知らないのだろう。睨まれたと思い、若干ひるんだ。
「ごめんなさい。私疲れてしまって…。他の方をお誘い下さいませ。」
そう言って、持っていた扇子を広げ口元を見せないようにしたアルフォンシーナは、膝を曲げて体を少し屈め、会釈をする。…表情は変えないまま。
この国の舞踏会では、誘う事はマナーでもあるが断る事はタブーではない。その男性も、特に気にも留めずに別の女性に声を掛けに行った。
アルフォンシーナの住むコネリアーノ国の舞踏会は毎年定期的に開かれる。その時期は社交シーズンと言われているのだ。アルフォンシーナも、十四歳で初めて社交界デビューし、今年で三度目の季節が巡ってきた。
アルフォンシーナは、ソルディーニ伯爵の三女である。古い歴史のある伯爵家で、代々領地を治めている。
黒髪で、目鼻立ちがくっきりとしているアルフォンシーナは、微笑めば誰もが見惚れるだろう。しかし、その表情が変化する事はほとんどなく、ニコリともしない為に無愛想である。
(あぁ、帰りたい…早く終わらないかしら。)
アルフォンシーナは、この舞踏会が始まってすぐは話し掛けられた友人達と共に歓談していたが、一人二人とダンスに誘われていってしまったのだ。
また、今日は嫁いで行った姉二人も来ていたが、まだ見掛けておらず話が出来ていない。
だからこうして、会場を抜け出さずに姉二人を捜していたのだった。
「アルフォンシーナ!あぁ、やっとここまで来れたわ。元気にしていたかしら?」
アルフォンシーナに少し顔つきは似ているが表情がある分明るく見えたその女性は、三歳上のブルニルタだ。はきはきとした話し方で、社交界の華だと言われている。
ブルニルタは、アルフォンシーナが住んでいる建物の離れに住んでいるが、少し距離も離れている為、馬車は別々で来ている。
「はい。ブルニルタお姉様も変わらずお元気そうで。」
「ええ、もちろんよ!今年も始まったわね!この時期を楽しみにしてたのよ!」
ブルニルタはこのような熱気に包まれる舞踏会が好きなのだ。
「アルフォンシーナ!ブルニルタ!」
「カンディダお姉様。」
「カンディダお姉様!」
近寄って来たのは、アルフォンシーナより五歳年上のカンディダだ。彼女も明るくて面倒身もよく快活であるので、見目の麗しさも相まって、社交界の華である。カンディダも、社交界では顔が広く友人も多いのだった。
カンディダは、王都に住んでいる為にたまにしか会えない。今日も久し振りに三人顔を合わせた。
両親は、別の所にいるのだろう、今は何処に居るのか分からなかった。
「見たわよ。相変わらずね。でもアルフォンシーナもそろそろ、結婚出来る年齢でしょ?少しは慣れる為にダンスの誘いにも乗った方がいいわよ?」
カンディダが顔を二人に近づけ、扇子で口元を隠しながらそのように小さな声で話した。
「そうは言ってもカンディダお姉様…無理ですわ。私…」
「はいはい。しょうが無い子ね。本当に、中身がこんなだと知ったら、みんなこぞって結婚の申込みもしてくるでしょうに。」
「ふふふ。本当にねぇ。こんなに可愛いのに。」
「やめて下さい、お姉様方ったら!」
「目も良くないからって、お相手の顔を見ようと目を細め過ぎるから、相手からしたら睨まれるように感じるだろうしね!」
「そうねぇ…アルフォンシーナは本当に、素晴らしく可愛いのにねぇ!」
ーーー
ーー
三人は今年も、社交シーズンが始まって姉妹仲良くそのように話していた。
十六歳になるアルフォンシーナは、今シーズン初日の今夜、苦手な舞踏会に渋々参加していた。
十四歳で初めて参加してから三年目、壁の花よろしく壁際で姿勢正しく立って会場を見つめていた。
その時に、見知らぬ年下に見える年齢の男性から声を掛けられたのだ。
アルフォンシーナは、その少年と青年の間のような顔つきの男性へと睨むように視線を合わす。
まだ、デビューして間もないだろうその男性は、アルフォンシーナの事を知らないのだろう。睨まれたと思い、若干ひるんだ。
「ごめんなさい。私疲れてしまって…。他の方をお誘い下さいませ。」
そう言って、持っていた扇子を広げ口元を見せないようにしたアルフォンシーナは、膝を曲げて体を少し屈め、会釈をする。…表情は変えないまま。
この国の舞踏会では、誘う事はマナーでもあるが断る事はタブーではない。その男性も、特に気にも留めずに別の女性に声を掛けに行った。
アルフォンシーナの住むコネリアーノ国の舞踏会は毎年定期的に開かれる。その時期は社交シーズンと言われているのだ。アルフォンシーナも、十四歳で初めて社交界デビューし、今年で三度目の季節が巡ってきた。
アルフォンシーナは、ソルディーニ伯爵の三女である。古い歴史のある伯爵家で、代々領地を治めている。
黒髪で、目鼻立ちがくっきりとしているアルフォンシーナは、微笑めば誰もが見惚れるだろう。しかし、その表情が変化する事はほとんどなく、ニコリともしない為に無愛想である。
(あぁ、帰りたい…早く終わらないかしら。)
アルフォンシーナは、この舞踏会が始まってすぐは話し掛けられた友人達と共に歓談していたが、一人二人とダンスに誘われていってしまったのだ。
また、今日は嫁いで行った姉二人も来ていたが、まだ見掛けておらず話が出来ていない。
だからこうして、会場を抜け出さずに姉二人を捜していたのだった。
「アルフォンシーナ!あぁ、やっとここまで来れたわ。元気にしていたかしら?」
アルフォンシーナに少し顔つきは似ているが表情がある分明るく見えたその女性は、三歳上のブルニルタだ。はきはきとした話し方で、社交界の華だと言われている。
ブルニルタは、アルフォンシーナが住んでいる建物の離れに住んでいるが、少し距離も離れている為、馬車は別々で来ている。
「はい。ブルニルタお姉様も変わらずお元気そうで。」
「ええ、もちろんよ!今年も始まったわね!この時期を楽しみにしてたのよ!」
ブルニルタはこのような熱気に包まれる舞踏会が好きなのだ。
「アルフォンシーナ!ブルニルタ!」
「カンディダお姉様。」
「カンディダお姉様!」
近寄って来たのは、アルフォンシーナより五歳年上のカンディダだ。彼女も明るくて面倒身もよく快活であるので、見目の麗しさも相まって、社交界の華である。カンディダも、社交界では顔が広く友人も多いのだった。
カンディダは、王都に住んでいる為にたまにしか会えない。今日も久し振りに三人顔を合わせた。
両親は、別の所にいるのだろう、今は何処に居るのか分からなかった。
「見たわよ。相変わらずね。でもアルフォンシーナもそろそろ、結婚出来る年齢でしょ?少しは慣れる為にダンスの誘いにも乗った方がいいわよ?」
カンディダが顔を二人に近づけ、扇子で口元を隠しながらそのように小さな声で話した。
「そうは言ってもカンディダお姉様…無理ですわ。私…」
「はいはい。しょうが無い子ね。本当に、中身がこんなだと知ったら、みんなこぞって結婚の申込みもしてくるでしょうに。」
「ふふふ。本当にねぇ。こんなに可愛いのに。」
「やめて下さい、お姉様方ったら!」
「目も良くないからって、お相手の顔を見ようと目を細め過ぎるから、相手からしたら睨まれるように感じるだろうしね!」
「そうねぇ…アルフォンシーナは本当に、素晴らしく可愛いのにねぇ!」
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三人は今年も、社交シーズンが始まって姉妹仲良くそのように話していた。
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