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8. 俺の初恋 ヴァルフレード視点
俺は、ヴァルフレード=アンドレイニ。父は、ボニート侯爵で国防軍長官でもある。
うちの家系は代々国防軍に入隊し、それなりの地位まで上り詰める者を多く輩出していた。
俺も、見た目で国防軍に所属していると分かるような、がっしりとした体系だ。その為、気をつけていないと令嬢が震え上がってしまう。そうならないように、幼い頃に母カルーラから言われた言葉を俺は、守っているんだ。
「ボニートは顔が厳つくて、体も大きいし熊みたいでしょう?でもね、あれでも笑うととても可愛いのよ。
ヴァルフレードも、きっとボニートに似て熊みたいになるかもしれないわね。女からしたらそれはとても怖く見えるのよ。だから、いついかなる時でも、微笑みを絶やさないでいなさいね。そうすれば、親しみやすいと恐れられたりしないわ。」
面倒だと思う。愛想を振りまくなんて。だが、微笑んでいれば確かにきゃあきゃあと令嬢に言われる。
通りざまにはちらちらと見られ、それを見た友人達は羨ましいと俺に言ってくる。いつしかそれが俺には当たり前の事となった。
「ヴァルフレード。ソルディーニ伯爵家のお嬢さんと顔合わせしよう。そして、気に入った子がいたら結婚するといい。」
俺が十二歳の時、当主である父ボニートにそう言われたんだ。
俺は驚いた。うちは侯爵家だから同格の地位か、公爵家の令嬢と結婚させられるのかと思ったからだ。でもまあよく考えれば、ソルディーニ伯爵家は、由緒正しい、歴史のある血筋だ。そこらの家よりも格は上だろう。
それに、三姉妹だ。その三人の中から選べばいいと言う。どうしても無理であるなら、諦めるが、縁を繋ぎたいと。
ふうん。三姉妹の内、長女が俺と同じ年齢だったな。その下が三歳下か。その二人のどちらかになるだろうか。末妹は五歳下だったから、まぁ年齢的にはいいだろうが、まだ今は幼いだろうし、向こうはどう思うかだな。
会えば、三姉妹共にそれぞれ美しかった。
カンディダはそれに加えて優秀らしく、卒業も控えていた為に、所作も完璧だった。
ブルニルタも、九歳にしては大人びていて、これまた所作もしっかりしていた。
アルフォンシーナは…五歳下だからだろうか。とても可愛かった。まだ、学校に通っていないからだろうか。天真爛漫で、人懐っこく笑うとそこだけ明るさが増すように思えた。
「よろしくお願いします。」
「よろしくお願いします。」
カンディダもブルニルタも、無難な挨拶をしてきたがアルフォンシーナだけは違ったんだ。その時すでに、俺は同級生の中でも一際背も高く、肩幅も大きかったからだろう。
「よろしくお願いします。…わぁ、素敵!物語に出てくる騎士様みたいね!」
騎士様…!王子様ではなく、騎士様とそう言った所に俺はなんだか嬉しくなって、格好つけてしまう。
「こちらこそ、よろしくお願いします。アルフォンシーナ姫様。」
そう俺が恭しく騎士の真似事よろしく膝を付いて言ったら、それはもう嬉しいという満面の笑みを見せてくれた。
可愛い…!天使か!?この世の生き物ではないのではないか!?
その時に月に一度、三姉妹と会う日を設けようと話になった。そんなに時間を空けなくてもいいじゃないかと思ったが、仕方ないのだろう。
二回目の時には、庭を案内した。
うちの屋敷の裏庭に、ベルガモットの果実がたくさん実っている場所があり、そこを三姉妹を引き連れて案内する。
アルフォンシーナは立ち止まり、深呼吸を何度もしていた。それがまたものすごく可愛かったのだ。深呼吸をした後はとてもにこやかに笑う。
それがまた可愛くて、だけど怖くなってしまったんだ。
だって、アルフォンシーナは来年には学校に通ってしまう。きっと作法を覚え、淑女教養を覚えていけば、カンディダやブルニルタのように完璧な女性となってしまう。そうしたら、俺の手の届かない女性になってしまうような気がしたんだ。
だから、呟いてしまった。
「他の奴の前では笑うなよ?アルフォンシーナ。」
「え?」
アルフォンシーナは深呼吸に夢中だったのだろう。俺が言った事を聞き返した。
「笑うなよ。そう言ったんだ。」
そう言ったら、なぜかアルフォンシーナは固まり、下を向いてしまった。
どうしたのかと思ったが、もしかしたら、恥ずかしく思ったのかもしれないと俺は触れないでいた。
その日の夜、父に告げたんだ。
「アルフォンシーナと、婚約したいです!」
「そうか。まぁ、そうすぐには決めなくてもいいだろう。まだ二回目だ。交流は、あと四回はしよう。」
けれど、なぜだか一月後から、アルフォンシーナは来なくなったんだ。
うちの家系は代々国防軍に入隊し、それなりの地位まで上り詰める者を多く輩出していた。
俺も、見た目で国防軍に所属していると分かるような、がっしりとした体系だ。その為、気をつけていないと令嬢が震え上がってしまう。そうならないように、幼い頃に母カルーラから言われた言葉を俺は、守っているんだ。
「ボニートは顔が厳つくて、体も大きいし熊みたいでしょう?でもね、あれでも笑うととても可愛いのよ。
ヴァルフレードも、きっとボニートに似て熊みたいになるかもしれないわね。女からしたらそれはとても怖く見えるのよ。だから、いついかなる時でも、微笑みを絶やさないでいなさいね。そうすれば、親しみやすいと恐れられたりしないわ。」
面倒だと思う。愛想を振りまくなんて。だが、微笑んでいれば確かにきゃあきゃあと令嬢に言われる。
通りざまにはちらちらと見られ、それを見た友人達は羨ましいと俺に言ってくる。いつしかそれが俺には当たり前の事となった。
「ヴァルフレード。ソルディーニ伯爵家のお嬢さんと顔合わせしよう。そして、気に入った子がいたら結婚するといい。」
俺が十二歳の時、当主である父ボニートにそう言われたんだ。
俺は驚いた。うちは侯爵家だから同格の地位か、公爵家の令嬢と結婚させられるのかと思ったからだ。でもまあよく考えれば、ソルディーニ伯爵家は、由緒正しい、歴史のある血筋だ。そこらの家よりも格は上だろう。
それに、三姉妹だ。その三人の中から選べばいいと言う。どうしても無理であるなら、諦めるが、縁を繋ぎたいと。
ふうん。三姉妹の内、長女が俺と同じ年齢だったな。その下が三歳下か。その二人のどちらかになるだろうか。末妹は五歳下だったから、まぁ年齢的にはいいだろうが、まだ今は幼いだろうし、向こうはどう思うかだな。
会えば、三姉妹共にそれぞれ美しかった。
カンディダはそれに加えて優秀らしく、卒業も控えていた為に、所作も完璧だった。
ブルニルタも、九歳にしては大人びていて、これまた所作もしっかりしていた。
アルフォンシーナは…五歳下だからだろうか。とても可愛かった。まだ、学校に通っていないからだろうか。天真爛漫で、人懐っこく笑うとそこだけ明るさが増すように思えた。
「よろしくお願いします。」
「よろしくお願いします。」
カンディダもブルニルタも、無難な挨拶をしてきたがアルフォンシーナだけは違ったんだ。その時すでに、俺は同級生の中でも一際背も高く、肩幅も大きかったからだろう。
「よろしくお願いします。…わぁ、素敵!物語に出てくる騎士様みたいね!」
騎士様…!王子様ではなく、騎士様とそう言った所に俺はなんだか嬉しくなって、格好つけてしまう。
「こちらこそ、よろしくお願いします。アルフォンシーナ姫様。」
そう俺が恭しく騎士の真似事よろしく膝を付いて言ったら、それはもう嬉しいという満面の笑みを見せてくれた。
可愛い…!天使か!?この世の生き物ではないのではないか!?
その時に月に一度、三姉妹と会う日を設けようと話になった。そんなに時間を空けなくてもいいじゃないかと思ったが、仕方ないのだろう。
二回目の時には、庭を案内した。
うちの屋敷の裏庭に、ベルガモットの果実がたくさん実っている場所があり、そこを三姉妹を引き連れて案内する。
アルフォンシーナは立ち止まり、深呼吸を何度もしていた。それがまたものすごく可愛かったのだ。深呼吸をした後はとてもにこやかに笑う。
それがまた可愛くて、だけど怖くなってしまったんだ。
だって、アルフォンシーナは来年には学校に通ってしまう。きっと作法を覚え、淑女教養を覚えていけば、カンディダやブルニルタのように完璧な女性となってしまう。そうしたら、俺の手の届かない女性になってしまうような気がしたんだ。
だから、呟いてしまった。
「他の奴の前では笑うなよ?アルフォンシーナ。」
「え?」
アルフォンシーナは深呼吸に夢中だったのだろう。俺が言った事を聞き返した。
「笑うなよ。そう言ったんだ。」
そう言ったら、なぜかアルフォンシーナは固まり、下を向いてしまった。
どうしたのかと思ったが、もしかしたら、恥ずかしく思ったのかもしれないと俺は触れないでいた。
その日の夜、父に告げたんだ。
「アルフォンシーナと、婚約したいです!」
「そうか。まぁ、そうすぐには決めなくてもいいだろう。まだ二回目だ。交流は、あと四回はしよう。」
けれど、なぜだか一月後から、アルフォンシーナは来なくなったんだ。
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