【完結】いつも微笑んでいる侯爵様とニコリともしない伯爵令嬢のお話

まりぃべる

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2. アルフォンシーナの家族

 ソルディーニ家は歴史が古い。伯爵家ではあるが、皆が一目置くほどの発言力を持っている。
 理由は、百年ほど前、このウディネの土地に都を構えていた為だ。その時代、ソルディーニ家の先祖がこの国を治めていた。


 今、ソルディーニ家が住んでいる丘の上の古城も、この地が都だった時の王城だ。
 その下に広がる城下街は、他の領地には見られない文化施設がある。オペラやバレエなど様々な催しものが開かれる文化ホールだ。
都だった時の名残で、今も尚そこでオペラやバレエや音楽鑑賞会もよく開かれ、他の領地からも貴族や裕福な商家の人達が見に来るので、その時はかなり賑わいをみせる。
 他にも、教会がウディネにはそこかしこにある。それは王城があった名残だ。神の力で、城を守っていたとされている。


 それらが百年ほど前の地震により、城の建物がところどころ倒壊した為、王宮は今の、国の中央にある地域に移したのだ。その時に、国王の座も今の国王の先祖に譲り渡したのだ。

 それもあり、ソルディーニ家は発言に重みがあると言われる。


 ソルディーニ家はこのウディネの土地に愛着がある為に、ここから離れる事もせず、その時の妻の実家が伯爵の地位であった為に譲り受けた形で、今の形に収まったのだ。
その為、『ソルディーニ家に再び国王の座を』と謀る者もいたが、ソルディーニ家は伯爵家となって以降も、代々当主はこのウディネ領を大切にしている為、どれも失敗に終わっている。



 アルフォンシーナの父バジーリオは、三姉妹を本当に可愛がっていた。娘達が幼い頃より時間があれば家族で過ごしていたし、妻のベルティーナや三姉妹をこよなく愛している。
外では、代々のソルディーニ伯爵として、先祖代々の者達に負けず劣らずの厳格で真面目な仕事っぷりを王宮で発揮しているが、家族にはめっぽう甘かった。


 アルフォンシーナの母ベルティーナは、外では伯爵夫人らしく夫を立てているが、社交界でもやはりソルディーニ伯爵家という事もあり一目置かれている。  
 ベルティーナが社交場で着たドレスは、いつもはっとするほど素晴らしく、皆がベルティーナのドレスの真似をするほど、流行を発信していた。
 そんなベルティーナもまた、家族で過ごす時間を大切にしていた。


 アルフォンシーナには姉が二人いる。三歳年上のブルニルタと、五歳年上のカンディダはアルフォンシーナの事をいつも気に掛けていて、今は二人共結婚してしまったが、それでもなにかとアルフォンシーナが心配で堪らないのだ。


 長女のカンディダは、公爵家であるベルトルド=サンドレッリと十七歳で結婚し、子供も二人いる。
文官であるベルトルドは、カンディダの美しい美貌に一目ぼれをし、また性格も素晴らしかった為に、出会って半年もせずに結婚に至ったのだ。その為大変仲が良くおしどり夫婦である。
 ベルトルドの勤務先は王宮の為、王都のサンドレッリ家所有のタウンハウスで暮らしている。



 二女のブルニルタは、侯爵家の二男であったサムエレ=ロッセリーニと十七歳の時に結婚。子供が一人いる。
サムエレがソルディーニの婿養子に入ったので、ゆくゆくはソルディーニの当主となる事がすでに決まっている。だが、まだアルフォンシーナも家にいる為、敷地内の別棟で住んでいる。
 サムエレはもともと騎士団所属であったのだが、ブルニルタの美貌や性格に惚れ込み、ストーカーよろしく彼女の傍に付き纏った。そんなサムエレを始めは軽率な男だと相手にしなかったのだが、一途に紳士にブルニルタに寄り添ってくる為に本気だと分かり、また婿養子になる気もあった為に絆される形で結婚と相なった。
 バージリオは、サムエレの事を始めは気に入らなかった。『どこでもいいから婿養子に入りたいだけならうちは無理だ!他所へ当たれ!!』などと罵声も浴びせた。
サムエレは、受け入れられるように騎士団をすっぱりと辞め、ウディネ領の街に移り住み、ウディネ領の街の人の困り事の手伝いを無償で始めたのだった。それは、領地をより良くする事に繋がっていく。そんなサムエレの真摯な対応にだんだん認め始め、受け入れる形となった。
 今では、毎晩のように酒を酌み交わす仲となっている。


 家族仲は昔から良かった。だからアルフォンシーナ以外の家族は皆、愛想が無くなってしまったアルフォンシーナが心配で堪らない。

 



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