【完結】いつも微笑んでいる侯爵様とニコリともしない伯爵令嬢のお話

まりぃべる

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9. 俺の初恋2 ヴァルフレード視点

「父上!どうしてアルフォンシーナは来ないのですか!?」

「さあな。お前が何か言ったんじゃないか?」

「言うわけありませんよ!俺の可愛い天使に!」

「天使!?まぁ、確かに美少女ではあるな。」

「そうでしょう!?俺の妻は彼女以外あり得ません!」

「いいのか?そんな即決して。あと三回あるのだから、次も来なければ、年齢が近い、長女や次女と交流を深めればよいではないか。」

「嫌ですよ!まぁ、聡明でありますから話をしていて楽しいのは事実上です。少々気が強いですがね。」

「では、その二人を味方に付けて協力してもらえばいいのではないか?姉妹なのだから、いろいろと手を回してくれるぞ?」

「怒られましたよ。『うちの妹に目を付けたのですか!?』て。だから逃げ出したのだとさえ言われましたよ。」

「辛辣だな!」

「はい…でも俺は、アルフォンシーナが良いのです!」

「本人に言ってやれ!まぁ、まだ七歳だしな…バジーリオ伯爵に言っても、その年齢で婚約は渋るかもしれん。なんせ、目に入れても痛くないほどに可愛がっているからな。」

「え?しかし、俺に三姉妹の中から選べと言ったじゃないですか!」

「まぁ、言ったが年齢的に長女のカンディダ嬢かと思ったんだよ。バジーリオ伯爵もそう思っていたし。」

「そんな…」

「そんなにがっかりするな。交流会はあと三回あるだろう?」

「まぁ…」

 本当にどうしたのだろうか。次は来てくれるといいのだが…。



☆★

「父上!また来ませんでしたよ!バジーリオ伯爵から理由、聞いてませんか?体調が悪いのではないですか?そうなのでしたら見舞いに行きます!」

「いや、そんな事は聞いとらんよ。はぐらかされてなぁ…」

「はぐらかされた!?重い病なのではないですか!?父上!!」

「ええい、うるさいわ!バジーリオ伯爵にはそれとなくヴァルフレードがアルフォンシーナ嬢を気にしていると言っておいたから!ほれ、あと二回あるだろう!次はどこに行こうかなど考えておけ!」

 はぐらかされるって一体なんなんだよ!?大丈夫なのか?アルフォンシーナ…。





☆★

「父上!今日も来ませんでした!!バジーリオ伯爵から理由聞いてますか!?」

「…聞いとらん!」

「本当ですか?なぜ、間があったのです?」

「知らん!……ヴァルフレード、あと一回あるが、そこでカンディダ嬢とブルニルタ嬢に詳しい作戦を聞け。」

「は?作戦?」

「アルフォンシーナ嬢は、最後の交流会には来ないだろう。しか」

「え!そんな…」

「聞きなさい。しかしその代わり、話を取り付けた。いいな?二人から、詳しい話を聞くのだぞ。」

 なんだよ、今言ってくれないのかよ。というか、来ないって決定なのかよ………。






☆★

「ヴァルフレード様、ご機嫌麗しゅう。」
「ヴァルフレード様、ご機嫌麗しゅうございます。」

「あぁ。カンディダ嬢もブルニルタ嬢も、元気そうでなによりですね。」

「…て、早く本題に入って欲しいという顔をされているわよ。」
「本当ですわね。顔に書いておられますわ。」

「いや…そんな事は…!」

「ふふふ。よろしいのですわ。私よりも、ブルニルタよりもアルフォンシーナと結婚したいと思うのでしょう?でしたら、私もブルニルタも、ヴァルフレード様の姉となるのですもの。そんなにアルフォンシーナを想っておられるのなら、私達に頼りなさい!」
「そうですわね、お姉様よりも私よりも、アルフォンシーナを好きになってしまったのでしょう?まぁ、でも分かるわ。だってあの子は本当に可愛いのですもの。…でもね、ヴァルフレード様……」


 そう言った二人は、なぜだか俺の方をチラチラと見てから二人顔を見合わせ、扇子で口元を隠してため息を盛大に付く。

「はぁー…」
「はぁー…」

(なんなんだよ、気になるじゃねぇか!)


「…何か、問題でも?と言いますか、なぜアルフォンシーナは来なくなってしまったのですか?俺が怖い、とか?」

「あのですね、ヴァルフレード様。心して聞いて下さいませ。…アルフォンシーナは、あんなに屈託無く笑っていたのですけれど、笑う事をしなくなってしまいましたの。」
「そうなのです。そして、屋敷から外へほとんど出掛けなくなってしまったのです。」

(なんだそれは!?一体、どうしたんだ!?)

「理由も分からないのです。それが四カ月ほど前からですわ。どうにかならないかと思っていたのですが、一向に変わらないのです。ですから、アルフォンシーナの好きにさせるしかありませんの。」
「ですから、ウディネうちの領地で行われる、来年の仮装祭りに来ていただいて、そこでデートをするのはいかがでしょう?」

「な…!え、ら、来年?そんなに待つのか?」

「今年はもう終わってしまいましたもの。
それにそうは言ってもヴァルフレード様。ヴァルフレード様のその想いも一時かもしれませんもの。アルフォンシーナの事も会わなければそのうち忘れるような気持ちかもしれませんわよ。ですから、そのお気持ちと向き合って下さいませ。仮面を被っていれば、アルフォンシーナも気兼ねなく傍にいられるかもしれませんものね。」
「会わない間、愛を育んでいて下さいませ。もしかしたら、一年経たずに嫌になるかもしれませんし、次の仮装祭りで再会したとして思ったほどでは無かったと思われるかもしれませんわ。」

「どうですか?仮装祭り、参加されますか?」
「どうですか?それまで、待てますか?」

「待てない、と言ったら?」

「ブルニルタ、帰りましょう!」
「ええそうですわね!アルフォンシーナは今、理由は分かりませんけれど心の病に冒されているのですわ。ですから、一年様子を見て、かつヴァルフレード様にもチャンスを差し上げようかとお話を持ってきましたのに残念ですわね!」


 そう言って二人、スクッと立ち上がって本当に帰ろうとするもんだから俺は慌てて立ち上がり、引き止める。


「待ってくれ!いや…お待ち下さい。聞いただけですから!アルフォンシーナに何があったのかは分かりませんが、承知しました。
それで、俺はどうすればよろしいですか。見舞いにも行けないのですよね。」

「そう?よろしいですのね?」
「では失礼しますわ。」


 そう言って、二人は元の場所に座ったので俺はホッとして、俺も元の場所に座り直した。


「では、聞いて下さいます?」
「仮装祭りの時期になりましたらね…」

ーーー
ーー



 そして俺は、仮装祭りの夕方、アルフォンシーナと共に出掛ける事を許されたんだ。本当に緊張した。
次の年もその次の年も、頼み込んで出掛ける許可をもらったが、アルフォンシーナはどう思ってくれただろうか。


 国防軍に入隊してからは休みもままならず、仕事で休みがどうしても取れなくて俺は相当悔しかったが、『仕事が出来ない男よりはいいだろ。お前は侯爵家の跡取りなんだから。』と父上に慰められた。
せめてもと、手紙を届けさせた。伝えたい言葉はたくさんあったが、くどくどと書くのも違うと思い、会えないのは残念だという言葉だけを。


(一年に一度位、希望日の休みをくれよ!って、俺は治安を守る国防軍所属なのだから仕方ないよな…)


 それならと早く、婚約を結ぼうと打診しているのだがなかなか許可をくれないバジーリオ伯爵は、本当に手強い。
『分かったからとりあえずアルフォンシーナが結婚出来る年齢になるまでは仕事に集中しろ!』とさえ言われてしまう。仮装祭りで会うのも、もう止めろとさえ言われてしまった。


 アルフォンシーナは、どんどん可愛さが増し綺麗になっていってるんだ!他の奴らに取られたらどうしてくれるんだ!と、俺はアルフォンシーナが出席する社交パーティーには参加して、他の男が近寄らないように圧を掛けた。だが、参加出来ない日は、アルフォンシーナの周りを警備した。それくらいしか、出来ないのが歯がゆい…。
さすがに見守るだけじゃ男らしくないよな。アルフォンシーナもそろそろ、結婚出来る年齢だし、動きだしてみるか。


 …ま、俺が昔のように話したいだけなんだけどな!
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