【完結】いつも微笑んでいる侯爵様とニコリともしない伯爵令嬢のお話

まりぃべる

文字の大きさ
9 / 31

9. 俺の初恋2 ヴァルフレード視点

しおりを挟む
「父上!どうしてアルフォンシーナは来ないのですか!?」

「さあな。お前が何か言ったんじゃないか?」

「言うわけありませんよ!俺の可愛い天使に!」

「天使!?まぁ、確かに美少女ではあるな。」

「そうでしょう!?俺の妻は彼女以外あり得ません!」

「いいのか?そんな即決して。あと三回あるのだから、次も来なければ、年齢が近い、長女や次女と交流を深めればよいではないか。」

「嫌ですよ!まぁ、聡明でありますから話をしていて楽しいのは事実上です。少々気が強いですがね。」

「では、その二人を味方に付けて協力してもらえばいいのではないか?姉妹なのだから、いろいろと手を回してくれるぞ?」

「怒られましたよ。『うちの妹に目を付けたのですか!?』て。だから逃げ出したのだとさえ言われましたよ。」

「辛辣だな!」

「はい…でも俺は、アルフォンシーナが良いのです!」

「本人に言ってやれ!まぁ、まだ七歳だしな…バジーリオ伯爵に言っても、その年齢で婚約は渋るかもしれん。なんせ、目に入れても痛くないほどに可愛がっているからな。」

「え?しかし、俺に三姉妹の中から選べと言ったじゃないですか!」

「まぁ、言ったが年齢的に長女のカンディダ嬢かと思ったんだよ。バジーリオ伯爵もそう思っていたし。」

「そんな…」

「そんなにがっかりするな。交流会はあと三回あるだろう?」

「まぁ…」

 本当にどうしたのだろうか。次は来てくれるといいのだが…。



☆★

「父上!また来ませんでしたよ!バジーリオ伯爵から理由、聞いてませんか?体調が悪いのではないですか?そうなのでしたら見舞いに行きます!」

「いや、そんな事は聞いとらんよ。はぐらかされてなぁ…」

「はぐらかされた!?重い病なのではないですか!?父上!!」

「ええい、うるさいわ!バジーリオ伯爵にはそれとなくヴァルフレードがアルフォンシーナ嬢を気にしていると言っておいたから!ほれ、あと二回あるだろう!次はどこに行こうかなど考えておけ!」

 はぐらかされるって一体なんなんだよ!?大丈夫なのか?アルフォンシーナ…。





☆★

「父上!今日も来ませんでした!!バジーリオ伯爵から理由聞いてますか!?」

「…聞いとらん!」

「本当ですか?なぜ、間があったのです?」

「知らん!……ヴァルフレード、あと一回あるが、そこでカンディダ嬢とブルニルタ嬢に詳しい作戦を聞け。」

「は?作戦?」

「アルフォンシーナ嬢は、最後の交流会には来ないだろう。しか」

「え!そんな…」

「聞きなさい。しかしその代わり、話を取り付けた。いいな?二人から、詳しい話を聞くのだぞ。」

 なんだよ、今言ってくれないのかよ。というか、来ないって決定なのかよ………。






☆★

「ヴァルフレード様、ご機嫌麗しゅう。」
「ヴァルフレード様、ご機嫌麗しゅうございます。」

「あぁ。カンディダ嬢もブルニルタ嬢も、元気そうでなによりですね。」

「…て、早く本題に入って欲しいという顔をされているわよ。」
「本当ですわね。顔に書いておられますわ。」

「いや…そんな事は…!」

「ふふふ。よろしいのですわ。私よりも、ブルニルタよりもアルフォンシーナと結婚したいと思うのでしょう?でしたら、私もブルニルタも、ヴァルフレード様の姉となるのですもの。そんなにアルフォンシーナを想っておられるのなら、私達に頼りなさい!」
「そうですわね、お姉様よりも私よりも、アルフォンシーナを好きになってしまったのでしょう?まぁ、でも分かるわ。だってあの子は本当に可愛いのですもの。…でもね、ヴァルフレード様……」


 そう言った二人は、なぜだか俺の方をチラチラと見てから二人顔を見合わせ、扇子で口元を隠してため息を盛大に付く。

「はぁー…」
「はぁー…」

(なんなんだよ、気になるじゃねぇか!)


「…何か、問題でも?と言いますか、なぜアルフォンシーナは来なくなってしまったのですか?俺が怖い、とか?」

「あのですね、ヴァルフレード様。心して聞いて下さいませ。…アルフォンシーナは、あんなに屈託無く笑っていたのですけれど、笑う事をしなくなってしまいましたの。」
「そうなのです。そして、屋敷から外へほとんど出掛けなくなってしまったのです。」

(なんだそれは!?一体、どうしたんだ!?)

「理由も分からないのです。それが四カ月ほど前からですわ。どうにかならないかと思っていたのですが、一向に変わらないのです。ですから、アルフォンシーナの好きにさせるしかありませんの。」
「ですから、ウディネうちの領地で行われる、来年の仮装祭りに来ていただいて、そこでデートをするのはいかがでしょう?」

「な…!え、ら、来年?そんなに待つのか?」

「今年はもう終わってしまいましたもの。
それにそうは言ってもヴァルフレード様。ヴァルフレード様のその想いも一時かもしれませんもの。アルフォンシーナの事も会わなければそのうち忘れるような気持ちかもしれませんわよ。ですから、そのお気持ちと向き合って下さいませ。仮面を被っていれば、アルフォンシーナも気兼ねなく傍にいられるかもしれませんものね。」
「会わない間、愛を育んでいて下さいませ。もしかしたら、一年経たずに嫌になるかもしれませんし、次の仮装祭りで再会したとして思ったほどでは無かったと思われるかもしれませんわ。」

「どうですか?仮装祭り、参加されますか?」
「どうですか?それまで、待てますか?」

「待てない、と言ったら?」

「ブルニルタ、帰りましょう!」
「ええそうですわね!アルフォンシーナは今、理由は分かりませんけれど心の病に冒されているのですわ。ですから、一年様子を見て、かつヴァルフレード様にもチャンスを差し上げようかとお話を持ってきましたのに残念ですわね!」


 そう言って二人、スクッと立ち上がって本当に帰ろうとするもんだから俺は慌てて立ち上がり、引き止める。


「待ってくれ!いや…お待ち下さい。聞いただけですから!アルフォンシーナに何があったのかは分かりませんが、承知しました。
それで、俺はどうすればよろしいですか。見舞いにも行けないのですよね。」

「そう?よろしいですのね?」
「では失礼しますわ。」


 そう言って、二人は元の場所に座ったので俺はホッとして、俺も元の場所に座り直した。


「では、聞いて下さいます?」
「仮装祭りの時期になりましたらね…」

ーーー
ーー



 そして俺は、仮装祭りの夕方、アルフォンシーナと共に出掛ける事を許されたんだ。本当に緊張した。
次の年もその次の年も、頼み込んで出掛ける許可をもらったが、アルフォンシーナはどう思ってくれただろうか。


 国防軍に入隊してからは休みもままならず、仕事で休みがどうしても取れなくて俺は相当悔しかったが、『仕事が出来ない男よりはいいだろ。お前は侯爵家の跡取りなんだから。』と父上に慰められた。
せめてもと、手紙を届けさせた。伝えたい言葉はたくさんあったが、くどくどと書くのも違うと思い、会えないのは残念だという言葉だけを。


(一年に一度位、希望日の休みをくれよ!って、俺は治安を守る国防軍所属なのだから仕方ないよな…)


 それならと早く、婚約を結ぼうと打診しているのだがなかなか許可をくれないバジーリオ伯爵は、本当に手強い。
『分かったからとりあえずアルフォンシーナが結婚出来る年齢になるまでは仕事に集中しろ!』とさえ言われてしまう。仮装祭りで会うのも、もう止めろとさえ言われてしまった。


 アルフォンシーナは、どんどん可愛さが増し綺麗になっていってるんだ!他の奴らに取られたらどうしてくれるんだ!と、俺はアルフォンシーナが出席する社交パーティーには参加して、他の男が近寄らないように圧を掛けた。だが、参加出来ない日は、アルフォンシーナの周りを警備した。それくらいしか、出来ないのが歯がゆい…。
さすがに見守るだけじゃ男らしくないよな。アルフォンシーナもそろそろ、結婚出来る年齢だし、動きだしてみるか。


 …ま、俺が昔のように話したいだけなんだけどな!
しおりを挟む
感想 25

あなたにおすすめの小説

殿下に寵愛されてませんが別にかまいません!!!!!

さら
恋愛
 王太子アルベルト殿下の婚約者であった令嬢リリアナ。けれど、ある日突然「裏切り者」の汚名を着せられ、殿下の寵愛を失い、婚約を破棄されてしまう。  ――でも、リリアナは泣き崩れなかった。  「殿下に愛されなくても、私には花と薬草がある。健気? 別に演じてないですけど?」  庶民の村で暮らし始めた彼女は、花畑を育て、子どもたちに薬草茶を振る舞い、村人から慕われていく。だが、そんな彼女を放っておけないのが、執着心に囚われた殿下。噂を流し、畑を焼き払い、ついには刺客を放ち……。  「どこまで私を追い詰めたいのですか、殿下」  絶望の淵に立たされたリリアナを守ろうとするのは、騎士団長セドリック。冷徹で寡黙な男は、彼女の誠実さに心を動かされ、やがて命を懸けて庇う。  「俺は、君を守るために剣を振るう」  寵愛などなくても構わない。けれど、守ってくれる人がいる――。  灰の大地に芽吹く新しい絆が、彼女を強く、美しく咲かせていく。

新婚初夜に『白い結婚にしてほしい』と言われたので論理的に詰めたら夫が泣きました

ささい
恋愛
「愛人がいるから、白い結婚にしてほしい」 政略結婚の初夜にそう告げた夫ルーファス。 妻カレンの反応は—— 「それ、契約不履行ですよね?」 「あなたの感情論、論理的に破綻してますよ?」 泣き落としは通じない。 そして初夜の翌朝、夫は泣いていた。 逃げ道は全部塞がれ、気づけば毎日論破されていた。 これは、論破され続けた夫がなぜか幸せになる話。

病弱令嬢ですが愛されなくとも生き抜きます〜そう思ってたのに甘い日々?〜

白川
恋愛
病弱に生まれてきたことで数多くのことを諦めてきたアイリスは、無慈悲と噂される騎士イザークの元に政略結婚で嫁ぐこととなる。 たとえ私のことを愛してくださらなくても、この世に生まれたのだから生き抜くのよ────。 そう意気込んで嫁いだが、果たして本当のイザークは…? 傷ついた不器用な二人がすれ違いながらも恋をして、溺愛されるまでのお話。

勘違い令嬢の離縁大作戦!~旦那様、愛する人(♂)とどうかお幸せに~

藤 ゆみ子
恋愛
 グラーツ公爵家に嫁いたティアは、夫のシオンとは白い結婚を貫いてきた。  それは、シオンには幼馴染で騎士団長であるクラウドという愛する人がいるから。  二人の尊い関係を眺めることが生きがいになっていたティアは、この結婚生活に満足していた。  けれど、シオンの父が亡くなり、公爵家を継いだことをきっかけに離縁することを決意する。  親に決められた好きでもない相手ではなく、愛する人と一緒になったほうがいいと。  だが、それはティアの大きな勘違いだった。  シオンは、ティアを溺愛していた。  溺愛するあまり、手を出すこともできず、距離があった。  そしてシオンもまた、勘違いをしていた。  ティアは、自分ではなくクラウドが好きなのだと。  絶対に振り向かせると決意しながらも、好きになってもらうまでは手を出さないと決めている。  紳士的に振舞おうとするあまり、ティアの勘違いを助長させていた。    そして、ティアの離縁大作戦によって、二人の関係は少しずつ変化していく。

婚約破棄されたけれど、どうぞ勝手に没落してくださいませ。私は辺境で第二の人生を満喫しますわ

鍛高譚
恋愛
「白い結婚でいい。 平凡で、静かな生活が送れれば――それだけで幸せでしたのに。」 婚約破棄され、行き場を失った伯爵令嬢アナスタシア。 彼女を救ったのは“冷徹”と噂される公爵・ルキウスだった。 二人の結婚は、互いに干渉しない 『白い結婚』――ただの契約のはずだった。 ……はずなのに。 邸内で起きる不可解な襲撃。 操られた侍女が放つ言葉。 浮かび上がる“白の一族”の血――そしてアナスタシアの身体に眠る 浄化の魔力。 「白の娘よ。いずれ迎えに行く」 影の王から届いた脅迫状が、運命の刻を告げる。 守るために剣を握る公爵。 守られるだけで終わらせないと誓う令嬢。 契約から始まったはずの二人の関係は、 いつしか互いに手放せない 真実の愛 へと変わってゆく。 「君を奪わせはしない」 「わたくしも……あなたを守りたいのです」 これは―― 白い結婚から始まり、影の王を巡る大いなる戦いへ踏み出す、 覚醒令嬢と冷徹公爵の“運命の恋と陰謀”の物語。 ---

冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない

くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、 軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。 言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。 ――そして初めて、夫は気づく。 自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。 一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、 「必要とされる存在」として歩き始めていた。 去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。 これは、失ってから愛に気づいた男と、 二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。 ――今さら、遅いのです。

何度時間を戻しても婚約破棄を言い渡す婚約者の愛を諦めて最後に時間を戻したら、何故か溺愛されました

海咲雪
恋愛
「ロイド様、今回も愛しては下さらないのですね」 「聖女」と呼ばれている私の妹リアーナ・フィオールの能力は、「モノの時間を戻せる」というもの。 姉の私ティアナ・フィオールには、何の能力もない・・・そう皆に思われている。 しかし、実際は違う。 私の能力は、「自身の記憶を保持したまま、世界の時間を戻せる」。 つまり、過去にのみタイムリープ出来るのだ。 その能力を振り絞って、最後に10年前に戻った。 今度は婚約者の愛を求めずに、自分自身の幸せを掴むために。 「ティアナ、何度も言うが私は君の妹には興味がない。私が興味があるのは、君だけだ」 「ティアナ、いつまでも愛しているよ」 「君は私の秘密など知らなくていい」 何故、急に私を愛するのですか? 【登場人物】 ティアナ・フィオール・・・フィオール公爵家の長女。リアーナの姉。「自身の記憶を保持したまま、世界の時間を戻せる」能力を持つが六回目のタイムリープで全ての力を使い切る。 ロイド・エルホルム・・・ヴィルナード国の第一王子。能力は「---------------」。 リアーナ・フィオール・・・フィオール公爵家の次女。ティアナの妹。「モノの時間を戻せる」能力を持つが力が弱く、数時間程しか戻せない。 ヴィーク・アルレイド・・・アルレイド公爵家の長男。ティアナに自身の能力を明かす。しかし、実の能力は・・・?

処理中です...