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11. 格上の貴族からの挨拶
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朝食が終わり、昨日が舞踏会だった為今日はゆっくりしようと部屋で本でも読もうかとアルフォンシーナは、ソファへ座った。
少しだけ目を瞑り、昨夜の出来事を思い返す。
といっても、アルフォンシーナは嫌な事は片隅に追いやってしまう為、思い返していたのはヴァルフレードに身を委ねてしまった事だった。時間にしたらきっとそんなに長くはなかっただろう。が、アルフォンシーナは、永遠にさえ感じたのだ。ヴァルフレードに優しく肩を抱かれる前にも、失礼、と断りを入れてくれた。紳士的だと思ってしまう。
(はぁ…私ったら。もう一度あの腕の中に包み込まれたいと思うなんてはしたないわよね。)
窓の外を見ながら、そうため息を付いた。
「アルフォンシーナ様。」
遠慮がちに、ビオンダがそう声を掛ける。二度ほど、声を掛けてやっとアルフォンシーナは、気づいた。
「ビオンダ、なに?」
「休息中申し訳ありません。お着替えを。」
「え?」
「お客様がお待ちだそうです。さぁ、こちらへ。」
(お客様…?)
アルフォンシーナは、ビオンダに言われるがまま、着替えをした。淡い緑色のワンピースである。髪は緩くサイドを後ろで結び上げただけに留める。
「さぁ、どうぞ。」
ビオンダに促されるがまま、応接室へと辿り着いたアルフォンシーナは、失礼しますと言って部屋の扉を開ける。
「!」
部屋には、バジーリオがソファに座り、向かいのソファにはヴァルフレードとヴァルフレードの父ボニートが正装を着て座っていた。
「あぁ、アルフォンシーナ。こちらへおいで。」
「はい。お待たせいたしました。」
「なんの。アンドレイニ家と話が出来たから良かったよ。今朝の話をしに来てくれたんだ。」
(今朝の話…!婚約のお話ね。)
アルフォンシーナは緊張し、頷くに留めた。
「では。本日はお会いいただきありがとうございます。また、お受けいただきまして、誠に感謝申し上げます。」
バジーリオに対して敬しく挨拶を述べたボニート。それにバジーリオはうむ、と首を縦に動かすに留める。
ボニートの方が爵位が上なのに、花嫁となる方が大切に扱われるという意味かしら、とアルフォンシーナは首を捻る。
「また、アルフォンシーナ嬢。わが愚息と婚約を結んで下さいました事、ありがたく思います。僭越ながら、本当の娘のように大切に家族の一員として扱わせていただきたいと思っております。」
ボニートはアルフォンシーナにも体の向きをわざわざ変えて、そう敬しく挨拶をしたので、驚きつつも、返事をして頭を下げる。
「私の方こそ、至らぬ点が多々あると思いますがよろしくお願い致します。」
「よし。では書類作成といこう。」
「本当に、お決めになったら早いのですね。」
ボニートが苦笑しながらそう言った。
「当たり前だ。然るべき時に、然るべき事を動かす。これをしなければ、機を逃してしまうからな。おい、ヴァルフレード。お前の心意気は?聞いとらんぞ。」
「は!失礼いたしました。割り込んでいいものか見定めておりました。
私、ヴァルフレード=アンドレイニは、貴殿の大切な愛娘であられるアルフォンシーナ嬢を十二歳の頃よりお慕い申し上げておりました。この気持ちは今も何ら変わりはありません。むしろ、共に同じ時間を過ごす度に大切にしたいという気持ちが膨らんで参ります。妻として、家族として、愛するアルフォンシーナを大切に守り抜きたいと思っております。婚約を許して頂きまして、ありがたく思っております。」
(十二歳の頃から…?え?)
アルフォンシーナは、思わぬ告白に顔が赤くなるのと同時に疑問が浮かんでくる。ヴァルフレードが十二歳としたら、自分は七歳。けれどその時の事なんて覚えていない。
(…え?待って…?本当に覚えていない…?)
なんだか、靄がかかったようでアルフォンシーナは、混乱していた。
「ふむ。まぁいいだろう。アルフォンシーナをよろしく頼むぞ。もし、アルフォンシーナに危険が及ぶような事があれば、どうなるか分かっておろうな?」
「ど…え?どうなるか?いえ…ですが、私は私のあらゆる武器を使い、また命を掛けてアルフォンシーナを守り抜きます。国防軍の魂の元に。」
「国防軍の魂の元に、か。そう言うとはよっぽどの覚悟の上だな。よし、お前も今日から私の息子だ。よろしく頼む。」
アルフォンシーナは、まるで夢を見ているようだった。
(どうなっているのかしら。いつものお父様じゃないようにみえるわ。不遜というか、ヴァルフレード様の方が格上なのに、お父様がとても偉そうな態度で…私なんて伯爵家の…)
「お父様、そんな、もう少し丁寧に言って下さい。うちは伯爵家ですし、私にそんな価値はございませんわ。」
〝国防軍の魂の元に〟ーーー軍隊において、それの元となる騎士道、もしくは信じている大元の魂は最も守るべき大切なもの。その言葉を軍人が使う時には、軍の魂と同じように守るべき大切なものと言っているのと同等なのだ。
しかしアルフォンシーナは、他の女性のように愛想良く笑う事をしない為に自分には価値がないから、魂を賭ける価値などないとそのように言ったのだ。
「アルフォンシーナ嬢、それは違います。」
「そうですよ。アルフォンシーナ。私にとって、貴女は命よりも大切なのだ。
可愛い昔のような屈託のない笑顔が見られなくとも、他の奴らに見せないのは安心さえしているよ。まるで、俺が言った言葉を健気に守っているようにさえみえるから、ライバルも減って…」
「おい!今なんと言った!?」
バジーリオは、一段と低い声でそう言い放った。
「え?ライバルも減って…」
「その前だ。」
「その前…?俺が…あ、いえ私が昔アルフォンシーナに願った言葉を受け入れてくれているようだと。けれど私にも笑いかけてくれませんから、そうとは違うようですが。」
「…お前は、アルフォンシーナに何を願った?」
さすがに、こんなに怖い声で、顔つきで話しているバジーリオを見た事がないアルフォンシーナは、落ち着いてと言うようにバジーリオの腕を掴む。
「お父様、お止めになって?」
「お前は黙っていなさい!おかしいと思ったんだ!顔合わせに行った時はアルフォンシーナは、とても嬉しそうだったから、楽しかったならとまた連れて行かせた。だが、二回目の顔合わせから帰ってくると、見た事もない暗い顔つきで部屋に籠もっていて!」
その時の事を思い出したのか徐々に顔を真っ赤にして怒りを露わにすると、バジーリオはソファから勢いよく立ち上かった。
「まだアルフォンシーナは幼かったからかと思っていたのだが、まさかお前か!ヴァルフレード!お前のせいか!?結婚は無かった事にする!出て行け!」
これ以上ないほどの恐ろしい顔をしたバジーリオが、部屋の扉を指差して出て行けと指図した。
少しだけ目を瞑り、昨夜の出来事を思い返す。
といっても、アルフォンシーナは嫌な事は片隅に追いやってしまう為、思い返していたのはヴァルフレードに身を委ねてしまった事だった。時間にしたらきっとそんなに長くはなかっただろう。が、アルフォンシーナは、永遠にさえ感じたのだ。ヴァルフレードに優しく肩を抱かれる前にも、失礼、と断りを入れてくれた。紳士的だと思ってしまう。
(はぁ…私ったら。もう一度あの腕の中に包み込まれたいと思うなんてはしたないわよね。)
窓の外を見ながら、そうため息を付いた。
「アルフォンシーナ様。」
遠慮がちに、ビオンダがそう声を掛ける。二度ほど、声を掛けてやっとアルフォンシーナは、気づいた。
「ビオンダ、なに?」
「休息中申し訳ありません。お着替えを。」
「え?」
「お客様がお待ちだそうです。さぁ、こちらへ。」
(お客様…?)
アルフォンシーナは、ビオンダに言われるがまま、着替えをした。淡い緑色のワンピースである。髪は緩くサイドを後ろで結び上げただけに留める。
「さぁ、どうぞ。」
ビオンダに促されるがまま、応接室へと辿り着いたアルフォンシーナは、失礼しますと言って部屋の扉を開ける。
「!」
部屋には、バジーリオがソファに座り、向かいのソファにはヴァルフレードとヴァルフレードの父ボニートが正装を着て座っていた。
「あぁ、アルフォンシーナ。こちらへおいで。」
「はい。お待たせいたしました。」
「なんの。アンドレイニ家と話が出来たから良かったよ。今朝の話をしに来てくれたんだ。」
(今朝の話…!婚約のお話ね。)
アルフォンシーナは緊張し、頷くに留めた。
「では。本日はお会いいただきありがとうございます。また、お受けいただきまして、誠に感謝申し上げます。」
バジーリオに対して敬しく挨拶を述べたボニート。それにバジーリオはうむ、と首を縦に動かすに留める。
ボニートの方が爵位が上なのに、花嫁となる方が大切に扱われるという意味かしら、とアルフォンシーナは首を捻る。
「また、アルフォンシーナ嬢。わが愚息と婚約を結んで下さいました事、ありがたく思います。僭越ながら、本当の娘のように大切に家族の一員として扱わせていただきたいと思っております。」
ボニートはアルフォンシーナにも体の向きをわざわざ変えて、そう敬しく挨拶をしたので、驚きつつも、返事をして頭を下げる。
「私の方こそ、至らぬ点が多々あると思いますがよろしくお願い致します。」
「よし。では書類作成といこう。」
「本当に、お決めになったら早いのですね。」
ボニートが苦笑しながらそう言った。
「当たり前だ。然るべき時に、然るべき事を動かす。これをしなければ、機を逃してしまうからな。おい、ヴァルフレード。お前の心意気は?聞いとらんぞ。」
「は!失礼いたしました。割り込んでいいものか見定めておりました。
私、ヴァルフレード=アンドレイニは、貴殿の大切な愛娘であられるアルフォンシーナ嬢を十二歳の頃よりお慕い申し上げておりました。この気持ちは今も何ら変わりはありません。むしろ、共に同じ時間を過ごす度に大切にしたいという気持ちが膨らんで参ります。妻として、家族として、愛するアルフォンシーナを大切に守り抜きたいと思っております。婚約を許して頂きまして、ありがたく思っております。」
(十二歳の頃から…?え?)
アルフォンシーナは、思わぬ告白に顔が赤くなるのと同時に疑問が浮かんでくる。ヴァルフレードが十二歳としたら、自分は七歳。けれどその時の事なんて覚えていない。
(…え?待って…?本当に覚えていない…?)
なんだか、靄がかかったようでアルフォンシーナは、混乱していた。
「ふむ。まぁいいだろう。アルフォンシーナをよろしく頼むぞ。もし、アルフォンシーナに危険が及ぶような事があれば、どうなるか分かっておろうな?」
「ど…え?どうなるか?いえ…ですが、私は私のあらゆる武器を使い、また命を掛けてアルフォンシーナを守り抜きます。国防軍の魂の元に。」
「国防軍の魂の元に、か。そう言うとはよっぽどの覚悟の上だな。よし、お前も今日から私の息子だ。よろしく頼む。」
アルフォンシーナは、まるで夢を見ているようだった。
(どうなっているのかしら。いつものお父様じゃないようにみえるわ。不遜というか、ヴァルフレード様の方が格上なのに、お父様がとても偉そうな態度で…私なんて伯爵家の…)
「お父様、そんな、もう少し丁寧に言って下さい。うちは伯爵家ですし、私にそんな価値はございませんわ。」
〝国防軍の魂の元に〟ーーー軍隊において、それの元となる騎士道、もしくは信じている大元の魂は最も守るべき大切なもの。その言葉を軍人が使う時には、軍の魂と同じように守るべき大切なものと言っているのと同等なのだ。
しかしアルフォンシーナは、他の女性のように愛想良く笑う事をしない為に自分には価値がないから、魂を賭ける価値などないとそのように言ったのだ。
「アルフォンシーナ嬢、それは違います。」
「そうですよ。アルフォンシーナ。私にとって、貴女は命よりも大切なのだ。
可愛い昔のような屈託のない笑顔が見られなくとも、他の奴らに見せないのは安心さえしているよ。まるで、俺が言った言葉を健気に守っているようにさえみえるから、ライバルも減って…」
「おい!今なんと言った!?」
バジーリオは、一段と低い声でそう言い放った。
「え?ライバルも減って…」
「その前だ。」
「その前…?俺が…あ、いえ私が昔アルフォンシーナに願った言葉を受け入れてくれているようだと。けれど私にも笑いかけてくれませんから、そうとは違うようですが。」
「…お前は、アルフォンシーナに何を願った?」
さすがに、こんなに怖い声で、顔つきで話しているバジーリオを見た事がないアルフォンシーナは、落ち着いてと言うようにバジーリオの腕を掴む。
「お父様、お止めになって?」
「お前は黙っていなさい!おかしいと思ったんだ!顔合わせに行った時はアルフォンシーナは、とても嬉しそうだったから、楽しかったならとまた連れて行かせた。だが、二回目の顔合わせから帰ってくると、見た事もない暗い顔つきで部屋に籠もっていて!」
その時の事を思い出したのか徐々に顔を真っ赤にして怒りを露わにすると、バジーリオはソファから勢いよく立ち上かった。
「まだアルフォンシーナは幼かったからかと思っていたのだが、まさかお前か!ヴァルフレード!お前のせいか!?結婚は無かった事にする!出て行け!」
これ以上ないほどの恐ろしい顔をしたバジーリオが、部屋の扉を指差して出て行けと指図した。
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