【完結】婚約者は私を大切にしてくれるけれど、好きでは無かったみたい。

まりぃべる

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4. ダンスとは

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(ダンスって、難しいのね…。)


 クラーラは、戸惑っていた。

 ダンスを踊るのは、今まではとても楽しかった。練習の際は弟ティムや執事のイエスタが相手をしてくれていた。
 クラーラと背が同じ位の弟と踊る時は、ヒールの低い靴を履き、弟ティムが少し底上げして作られた靴を履いてもらい練習していた。
 イエスタは父親ほども年齢が違うけれど、背はクラーラよりも頭一つほど高い為に上手く練習相手となった。そして、どちらともその時はとても上手く踊れていたし、先生にも家族にも褒められていた。相手の足も踏まなければ、ターンも綺麗に回れて転ばずに出来たのだ。


 しかしヘンリクと踊る事になり、初めの手を差し出す所から違和感はあった。こんなに大げさにやるのだったかしらと、思いながらも手を取る。
 今まで練習してきた中で、踊れるようになってから初めて、ミスを連発していたクラーラ。


 ヘンリクは、リードが下手なのだ。


 ヘンリクは、手をぎゅっと握り過ぎていて痛いし、離れる時にパッと離すのでバランスを崩しやすかった。
それに踊る型をしっかりと覚えていないのかところどころクラーラと足が合わずもつれそうになる場面が幾度とあった。その都度クラーラは持ち前の体の動きで転ばないようにするのが精一杯。ヘンリクと会話を楽しむのなんてもっての外だった。
 もちろん、ヘンリクだってそうだった。本来であれば、体が密着している為にヒソヒソと耳元で会話を楽しんだり微笑み合ったりするのだが、ヘンリクは足元を見たり、周りのダンスの型を見て『あれ?』だの、クラーラが足を踏んだのかそれとも引っ張られてもつれるのか『痛い!』だのと言っていたのだ。

 一曲終わると、どちらかとも無くダンスの輪から壁へと外れた。
ヘンリクは、なんとなく足をかばって歩いているように見える。

 ヘンリクが無言の為、クラーラは戸惑いながらも声を掛けた。

「あの…足、踏んでしまって済みませんでした。大丈夫でしょうか。あちらで休みませんか?」

 そう言うと、ヘンリクははっとしてクラーラへと返事を返す。

「大丈夫だよ、クラーラ!僕の心配をしてくれてありがとう。本当に優しいね。クラーラ、これから何度も練習に付き合うよ、だから少しずつ。さぁ、喉が渇いたろう?ソフトドリンクをもらってくるから、あの椅子に座っていてくれるかい?」

 ヘンリクは、壁際にあった椅子にクラーラを促し、ドリンクをお盆に持っている侍従へと声を掛けに行った。


 クラーラは思ったよりも疲れていたのもあって言われた通りに座り、ヘンリクの言葉を思い返していた。

(あの言い方は、私が上手く踊れなかったという意味よね。足を何度も踏んでしまったもの。本当に申し訳なかったわ。痛かったでしょう…。)

 クラーラは、自分はダンスを踊るのは好きだったしいつも楽しく踊っていた。しかし、ダンスとはこんなに疲れるなんて、夢見ていたものと違うものなのだなとため息を付いていたのだった。
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