【完結】婚約者は私を大切にしてくれるけれど、好きでは無かったみたい。

まりぃべる

文字の大きさ
20 / 35

20. 呼び出された人達

しおりを挟む
「いや~立派だな!!ティーオドルの家は素晴らしい!!今日は招待してくれてありがとう。結婚前の、家族の顔合わせかな?急だったから驚いたよ!」

「済まなかったね。遠い所ありがとう。その事は落ち着いたら話すから。さぁ、ここではなんだから応接室へ行こう。」

 玄関ホールに入るなり、とても大きな声で話し出したヘンリクの父のアルベルト。心無しかウキウキと嬉しそうなのがにじみ出ている。
呼び出しの手紙には、今日の内容は触れていない。だがアルベルトは自分とヘンリクだけではなく、妻のベンテとヘンリクの弟アクセルと妹マイアネも呼ばれたので勝手に〝家族の顔合わせ〟だと思い込んでいるのだ。
 対して、ティーオドルは全く嬉しそうではない。むしろ、仏頂面で心無しか怒っているようにも見える。だがそんな事は気づいてもいないアルベルトだった。


 ベントナー家の面々が応接室へと揃い、またクラーラと両親も揃った所でティーオドルが話し始める。

「アルベルト。私は、回りくどい事は嫌いだから単刀直入に言おう。婚約は白紙に戻そう。」

「は!?」
「え!?」
「はぁ!?」

 アルベルト、妻、ヘンリクはティーオドルの言葉に異を唱えた。

「ティ…ティ ーオドル!いきなり何を言い出すんだ!?今日は、結婚前の顔合わせだろう?どうしてそうなった!?悪い冗談はよせよ!」

「アルベルト。私は、昔も今も変わっていない。よって、つまらない冗談は言わない。至極真面目だ。そもそも、酒の席で話した事を、大切な子供に押し付けるなんて間違っていたのだ。そして、国王陛下にも報告済みだ。」

「いやいや!押し付けるなんてそんな!何を言っているのだ!?言ったではないか!お互いの子供が異性であったなら、結婚させようと!!」

「アルベルト、それはお前が言っていた。私がしっかり断らなかったからいけなかったのだが、酒の席の痴れ言だと思っていた。そして、時は経ちお互いの子供が大きくなりお前がそう言ってきた。だが私も言ったよな?我が愛する娘が君の息子のヘンリクを好きにならなかった場合は、無効とすると。」

「それは…そうだが、まだ入学して三ヶ月ほど。卒業までまだまだ時間はあるだろう?むしろ、クラーラ嬢は学院を今すぐ辞めて嫁に来ていいくらいだろう?」

「お前は、我が娘を愚弄しているのか!?卒業はさせるに決まっている!!いろいろと、問題があるようだからな。これ以上婚約関係を続けていても娘が好きになり、我々が親戚関係に事はあり得ないと悟ったから、白紙に戻すとしたまで。…理由は、思い付かないと言うのか?」


 ティーオドルは、いつも家族に見せている優しい声ではなく、マグヌッセン伯爵としての冷たく地を這ったような声で話している。
ヘンリクとアルベルトは暑くもないのにダラダラと汗をかきだした。
夫人のベンテと妹のマイアネは何故か焦っている。
弟のアクセルだけは、申し訳なさそうに縮こまっていた。

「ね…念のためどういう理由か、聞いてみてもいいだろうか?」

「はー………可笑しいと思ったんだ。今まで音沙汰も無かったのにいきなり子供が学院に入学する時期に婚約の話を持ってくるなんて。でも、そんなもんかと軽く流した私が馬鹿だったよ。理由を言えとアルベルトが言ったんだからな?だから正直に言う。ベントナー家の経営が成り立たなくなってきているだろ。」

 そう言ってティーオドルは、扉の際に立っていた執事のイエスタに目で合図をすると、イエスタが部屋を出て行き、すぐに書類を手に戻って来て、ティーオドルへと手渡した。
ティーオドルは、そこから数枚の書類をアルベルトへと投げつけるようにテーブルに置いた。
しおりを挟む
感想 35

あなたにおすすめの小説

女性として見れない私は、もう不要な様です〜俺の事は忘れて幸せになって欲しい。と言われたのでそうする事にした結果〜

流雲青人
恋愛
子爵令嬢のプレセアは目の前に広がる光景に静かに涙を零した。 偶然にも居合わせてしまったのだ。 学園の裏庭で、婚約者がプレセアの友人へと告白している場面に。 そして後日、婚約者に呼び出され告げられた。 「君を女性として見ることが出来ない」 幼馴染であり、共に過ごして来た時間はとても長い。 その中でどうやら彼はプレセアを友人以上として見れなくなってしまったらしい。 「俺の事は忘れて幸せになって欲しい。君は幸せになるべき人だから」 大切な二人だからこそ、清く身を引いて、大好きな人と友人の恋を応援したい。 そう思っている筈なのに、恋心がその気持ちを邪魔してきて...。 ※ ゆるふわ設定です。 完結しました。

愛しき夫は、男装の姫君と恋仲らしい。

星空 金平糖
恋愛
シエラは、政略結婚で夫婦となった公爵──グレイのことを深く愛していた。 グレイは優しく、とても親しみやすい人柄でその甘いルックスから、結婚してからも数多の女性達と浮名を流していた。 それでもシエラは、グレイが囁いてくれる「私が愛しているのは、あなただけだよ」その言葉を信じ、彼と夫婦であれることに幸福を感じていた。 しかし。ある日。 シエラは、グレイが美貌の少年と親密な様子で、王宮の庭を散策している場面を目撃してしまう。当初はどこかの令息に王宮案内をしているだけだと考えていたシエラだったが、実はその少年が王女─ディアナであると判明する。 聞くところによるとディアナとグレイは昔から想い会っていた。 ディアナはグレイが結婚してからも、健気に男装までしてグレイに会いに来ては逢瀬を重ねているという。 ──……私は、ただの邪魔者だったの? 衝撃を受けるシエラは「これ以上、グレイとはいられない」と絶望する……。

報われない恋の行方〜いつかあなたは私だけを見てくれますか〜

矢野りと
恋愛
『少しだけ私に時間をくれないだろうか……』 彼はいつだって誠実な婚約者だった。 嘘はつかず私に自分の気持ちを打ち明け、学園にいる間だけ想い人のこともその目に映したいと告げた。 『想いを告げることはしない。ただ見ていたいんだ。どうか、許して欲しい』 『……分かりました、ロイド様』 私は彼に恋をしていた。だから、嫌われたくなくて……それを許した。 結婚後、彼は約束通りその瞳に私だけを映してくれ嬉しかった。彼は誠実な夫となり、私は幸せな妻になれた。 なのに、ある日――彼の瞳に映るのはまた二人になっていた……。 ※この作品の設定は架空のものです。 ※お話の内容があわないは時はそっと閉じてくださいませ。

白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』

鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」 華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。 王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。 そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。 レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。 「お願いだ……戻ってきてくれ……」 王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。 「もう遅いわ」 愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。 裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。 これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。

あなたの言うことが、すべて正しかったです

Mag_Mel
恋愛
「私に愛されるなどと勘違いしないでもらいたい。なにせ君は……そうだな。在庫処分間近の見切り品、というやつなのだから」  名ばかりの政略結婚の初夜、リディアは夫ナーシェン・トラヴィスにそう言い放たれた。しかも彼が愛しているのは、まだ十一歳の少女。彼女が成人する五年後には離縁するつもりだと、当然のように言い放たれる。  絶望と屈辱の中、病に倒れたことをきっかけにリディアは目を覚ます。放漫経営で傾いたトラヴィス商会の惨状を知り、持ち前の商才で立て直しに挑んだのだ。執事長ベネディクトの力を借りた彼女はやがて商会を支える柱となる。  そして、運命の五年後。  リディアに離縁を突きつけられたナーシェンは――かつて自らが吐いた「見切り品」という言葉に相応しい、哀れな姿となっていた。 *小説家になろうでも投稿中です

婚約破棄を、あなたのために

月山 歩
恋愛
私はあなたが好きだけど、あなたは彼女が好きなのね。だから、婚約破棄してあげる。そうして、別れたはずが、彼は騎士となり、領主になると、褒章は私を妻にと望んだ。どうして私?彼女のことはもういいの?それともこれは、あなたの人生を台無しにした私への復讐なの? こちらは恋愛ファンタジーです。 貴族の設定など気になる方は、お避けください。

私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです

こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。 まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。 幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。 「子供が欲しいの」 「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」 それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。

私と幼馴染と十年間の婚約者

川村 あかり
恋愛
公爵令嬢ロゼリアは、王子アルベルトとの婚約を結んでいるが、彼の心は無自覚に幼馴染のミナに奪われていた。ミナの魔法【魅了】が無意識に周りの男性を狂わせ、アルベルトもその例外ではない。 それぞれが生まれつき得意な魔法があり、ロゼリアは見たものや聞いたものを完璧に記録できる【記録・再生】の魔法を持ち、二人の関係に耐えきれず胃の痛みに悩む日々。そんな中、彼女の唯一の理解者の冷静沈着なキースや毒舌のマリーが心の支えとなる。 アルベルトの側近であるガストンは、魔法【増幅】で騒動を盛り上げる一方、ミナの友人リリィは【幻影】の魔法を使ってロゼリアを貶めようと画策する。 婚約者と幼馴染の行動に振り回されるロゼリア。魔法が絡んだ恋愛模様の中で、彼女は本当の愛を見つけられるのか?

処理中です...