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20. 呼び出された人達
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「いや~立派だな!!ティーオドルの家は素晴らしい!!今日は招待してくれてありがとう。結婚前の、家族の顔合わせかな?急だったから驚いたよ!」
「済まなかったね。遠い所ありがとう。その事は落ち着いたら話すから。さぁ、ここではなんだから応接室へ行こう。」
玄関ホールに入るなり、とても大きな声で話し出したヘンリクの父のアルベルト。心無しかウキウキと嬉しそうなのがにじみ出ている。
呼び出しの手紙には、今日の内容は触れていない。だがアルベルトは自分とヘンリクだけではなく、妻のベンテとヘンリクの弟アクセルと妹マイアネも呼ばれたので勝手に〝家族の顔合わせ〟だと思い込んでいるのだ。
対して、ティーオドルは全く嬉しそうではない。むしろ、仏頂面で心無しか怒っているようにも見える。だがそんな事は気づいてもいないアルベルトだった。
ベントナー家の面々が応接室へと揃い、またクラーラと両親も揃った所でティーオドルが話し始める。
「アルベルト。私は、回りくどい事は嫌いだから単刀直入に言おう。婚約は白紙に戻そう。」
「は!?」
「え!?」
「はぁ!?」
アルベルト、妻、ヘンリクはティーオドルの言葉に異を唱えた。
「ティ…ティ ーオドル!いきなり何を言い出すんだ!?今日は、結婚前の顔合わせだろう?どうしてそうなった!?悪い冗談はよせよ!」
「アルベルト。私は、昔も今も変わっていない。よって、つまらない冗談は言わない。至極真面目だ。そもそも、酒の席で話した事を、大切な子供に押し付けるなんて間違っていたのだ。そして、国王陛下にも報告済みだ。」
「いやいや!押し付けるなんてそんな!何を言っているのだ!?言ったではないか!お互いの子供が異性であったなら、結婚させようと!!」
「アルベルト、それはお前が言っていた。私がしっかり断らなかったからいけなかったのだが、酒の席の痴れ言だと思っていた。そして、時は経ちお互いの子供が大きくなりお前がそう言ってきた。だが私も言ったよな?我が愛する娘が君の息子のヘンリクを好きにならなかった場合は、無効とすると。」
「それは…そうだが、まだ入学して三ヶ月ほど。卒業までまだまだ時間はあるだろう?むしろ、クラーラ嬢は学院を今すぐ辞めて嫁に来ていいくらいだろう?」
「お前は、我が娘を愚弄しているのか!?卒業はさせるに決まっている!!そちらはいろいろと、問題があるようだからな。これ以上婚約関係を続けていても娘が好きになり、我々が親戚関係に事はあり得ないと悟ったから、白紙に戻すとしたまで。…理由は、思い付かないと言うのか?」
ティーオドルは、いつも家族に見せている優しい声ではなく、マグヌッセン伯爵としての冷たく地を這ったような声で話している。
ヘンリクとアルベルトは暑くもないのにダラダラと汗をかきだした。
夫人のベンテと妹のマイアネは何故か焦っている。
弟のアクセルだけは、申し訳なさそうに縮こまっていた。
「ね…念のためどういう理由か、聞いてみてもいいだろうか?」
「はー………可笑しいと思ったんだ。今まで音沙汰も無かったのにいきなり子供が学院に入学する時期に婚約の話を持ってくるなんて。でも、そんなもんかと軽く流した私が馬鹿だったよ。理由を言えとアルベルトが言ったんだからな?だから正直に言う。ベントナー家の経営が成り立たなくなってきているだろ。」
そう言ってティーオドルは、扉の際に立っていた執事のイエスタに目で合図をすると、イエスタが部屋を出て行き、すぐに書類を手に戻って来て、ティーオドルへと手渡した。
ティーオドルは、そこから数枚の書類をアルベルトへと投げつけるようにテーブルに置いた。
「済まなかったね。遠い所ありがとう。その事は落ち着いたら話すから。さぁ、ここではなんだから応接室へ行こう。」
玄関ホールに入るなり、とても大きな声で話し出したヘンリクの父のアルベルト。心無しかウキウキと嬉しそうなのがにじみ出ている。
呼び出しの手紙には、今日の内容は触れていない。だがアルベルトは自分とヘンリクだけではなく、妻のベンテとヘンリクの弟アクセルと妹マイアネも呼ばれたので勝手に〝家族の顔合わせ〟だと思い込んでいるのだ。
対して、ティーオドルは全く嬉しそうではない。むしろ、仏頂面で心無しか怒っているようにも見える。だがそんな事は気づいてもいないアルベルトだった。
ベントナー家の面々が応接室へと揃い、またクラーラと両親も揃った所でティーオドルが話し始める。
「アルベルト。私は、回りくどい事は嫌いだから単刀直入に言おう。婚約は白紙に戻そう。」
「は!?」
「え!?」
「はぁ!?」
アルベルト、妻、ヘンリクはティーオドルの言葉に異を唱えた。
「ティ…ティ ーオドル!いきなり何を言い出すんだ!?今日は、結婚前の顔合わせだろう?どうしてそうなった!?悪い冗談はよせよ!」
「アルベルト。私は、昔も今も変わっていない。よって、つまらない冗談は言わない。至極真面目だ。そもそも、酒の席で話した事を、大切な子供に押し付けるなんて間違っていたのだ。そして、国王陛下にも報告済みだ。」
「いやいや!押し付けるなんてそんな!何を言っているのだ!?言ったではないか!お互いの子供が異性であったなら、結婚させようと!!」
「アルベルト、それはお前が言っていた。私がしっかり断らなかったからいけなかったのだが、酒の席の痴れ言だと思っていた。そして、時は経ちお互いの子供が大きくなりお前がそう言ってきた。だが私も言ったよな?我が愛する娘が君の息子のヘンリクを好きにならなかった場合は、無効とすると。」
「それは…そうだが、まだ入学して三ヶ月ほど。卒業までまだまだ時間はあるだろう?むしろ、クラーラ嬢は学院を今すぐ辞めて嫁に来ていいくらいだろう?」
「お前は、我が娘を愚弄しているのか!?卒業はさせるに決まっている!!そちらはいろいろと、問題があるようだからな。これ以上婚約関係を続けていても娘が好きになり、我々が親戚関係に事はあり得ないと悟ったから、白紙に戻すとしたまで。…理由は、思い付かないと言うのか?」
ティーオドルは、いつも家族に見せている優しい声ではなく、マグヌッセン伯爵としての冷たく地を這ったような声で話している。
ヘンリクとアルベルトは暑くもないのにダラダラと汗をかきだした。
夫人のベンテと妹のマイアネは何故か焦っている。
弟のアクセルだけは、申し訳なさそうに縮こまっていた。
「ね…念のためどういう理由か、聞いてみてもいいだろうか?」
「はー………可笑しいと思ったんだ。今まで音沙汰も無かったのにいきなり子供が学院に入学する時期に婚約の話を持ってくるなんて。でも、そんなもんかと軽く流した私が馬鹿だったよ。理由を言えとアルベルトが言ったんだからな?だから正直に言う。ベントナー家の経営が成り立たなくなってきているだろ。」
そう言ってティーオドルは、扉の際に立っていた執事のイエスタに目で合図をすると、イエスタが部屋を出て行き、すぐに書類を手に戻って来て、ティーオドルへと手渡した。
ティーオドルは、そこから数枚の書類をアルベルトへと投げつけるようにテーブルに置いた。
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