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食べる
さてさて、お腹が空きすぎて立ち眩みした私は、とっても紳士な瞭くんに横抱きされたまま、ソファに座っている……って何で!? 何でこんなことになった!? しかもわざわざ瞭くんがハムを食べさせてくれている。あれ、私今日で人生終わるのかな? もしそうだったらもっと可愛い食べ物用意しておけばよかった。苺とか。
そんなしょうもないことを考えてたら、瞭くんが心配そうに顔を覗き込んでくる。
「大丈夫か……?」
「え、あ……うん、大丈夫。心配かけてごめんね。その……自分で食べれるから、もういいよ。わざわざごめんね」
そう言ってハムを持とうとしたら、スッと躱された。
「だめだ。俺が食べさせる」
ん? 何で?
頭の中がハテナで埋め尽くされるけど、瞭くんは私の動揺なんかお構いなしに、せっせと餌付けしてくる。
ちょっ、ちょっとこの展開、私に都合良すぎない? 何なら私の自分さえ知らなかった妄想が具現化してる?
昨日の諸々があったせいで瞭くんへの気持ちが恋心だって気づいてしまった私からしたら、ただのご褒美のような時間だ。まぁ実際には、ときめきと恥ずかしさと苦しさと切なさが混在していて、純粋に喜ぶことはできてないんだけど。
でも瞭くんに優しくされるのはやっぱり嬉しくて、不相応だなんて思いながらもちゃっかり口は開いてる。ちょろいな、私。
「ん? なんだ?」
瞭くんをぼーっと見つめてたら気づかれてしまった。いや、そりゃそうだよね。こんな至近距離で見つめてたら誰だって気づく。でも瞭くんに気づかれたことに変に動揺しちゃって、慌てて目を逸らしたら瞭くんが覗き込んできた。
「逃げるな。言いたいことがあるなら言え」
瞭くんの綺麗なブラウンの瞳に私の顔が映っちゃうんじゃないかってくらい間近で見つめられて、一瞬息ができなくなる。
あ、だめ、それ以上見つめられたら心臓が……。
「また泣いてる」
「え……?」
瞭くんが何を言ったのかわからなくて呆然としてると、大きな手で頬を包むように撫でられて涙を拭われた。
私、いつの間に……。
「昨日も泣いてたな……いや、俺が泣かせたのか」
そう言った瞭くんの目が怪しく光った気がして、背筋がゾクッとする。
この目、覚えてる。昨日ベッドの上でいっぱい気持ちいいことした時と一緒の目。だめ、そんなこと考えたらあそこがキュンキュンしちゃうからだめ……だめなのに。
「ハッ、何? 俺とヤッた時のこと思い出してんの? 足擦り合わせてるけど……」
口の端を上げて意地悪そうに笑った瞭くんが、内腿を撫でてくる。部屋着は薄手のショートパンツだから戦闘力はほぼ0で、隙間から侵入してきた瞭くんの節くれ立った指がショーツを掠めるのを止めることができない。
「ち、ちがっ、」
すぐに火照る身体が恥ずかしくて、いやらしいって思われたくないのに瞭くんに触られると簡単に感じてしまって、内腿で大きな手を挟み込むみたいに力を入れてしまう。それでも瞭くんの手は内腿を無理やりこじ開けるようにして、ショーツの上から敏感な突起を探り当ててきた。
「は、ぁっ……♡」
「何が違うんだ?」
しゅりっ♡ しゅりしゅりしゅり……♡
「ふっ、ぅ……それ、やめて♡」
「昨日は気持ちいいって言って俺に縋り付いてきてたけど?」
しゅりしゅり、しゅりしゅり……♡
「んっ♡ うぅ……やだ、言わないで」
「明花里が逃げるから悪い」
え、何で名前……?
突然のことに動揺していたら、瞭くんに口付けられていた。昨日みたいに深いやつじゃなくて、触れるだけの優しいキス。
「気持ちいいって言えよ」
そう不機嫌そうに睨まれたけど、怖いっていう感情は一切湧かなかった。名前を呼ばれた衝撃が大きすぎて、何がなんだかよくわからない。
「瞭くん……私の名前、知ってたの?」
「はぁ? そりゃ知ってるに決まってるだろ?」
「だって今、初めて呼ばれた」
瞭くんをまじまじと見つめると、なぜだか一瞬気まずそうな顔をする。
「呼んだだろ……昨日」
じわじわ頬が紅くなる瞭くんを見ていたら、昨日の記憶がブワッと湧いてきた。
お腹の中に注がれた瞭くんの熱と荒い息、どうしようもないほどの快感……。
『はぁ……はぁ、明花里……』
あ、本当だ、呼ばれてた。
「やっと思い出したのか」
あ、やば。すっかり思い出に浸ってしまってた……というか頬が熱い。それに瞭くんに触れてるところ全てが燃えるように熱い気がして、このままじゃおかしくなりそう。
生命の危機を回避すべく速やかに避難しようとしたら、瞭くんに抱き竦すくめられる。
「っ、…………また逃げるのか?」
な、何その声!? なんかこっちまで切なくなるんですけど!?
「離さないから」
ぎゅっと抱きしめられながら小さく囁かれて、全身に甘い痺れが走る。
どうしよう、背骨が溶けちゃう……。瞭くん、一体私をどうしたいの……?
「順番が違ったのはわかってる。でも、我慢できなかった。好きな人に笑いかけられて身体に触られたらもう……」
ああ、ごめんなさいごめんなさい、軽率な行動をしてごめんなさい……ってん? あれ? 今、好きな人って言った……?
「それに全然俺のこと拒まないし。むしろ気持ちいいとか幸せとか言うし……普通両思いだと思うだろ」
「ええっ!?」
りょ、両思い!? え、あの噂の、選ばれし者のみに起こると言われている両思い……? 待って待って、瞭くんと私が両思いってこと? ええ……これ現実かな。
あまりに信じられなさすぎて手の甲をつねってみたけど、ちゃんと痛かった。あ、現実か。
「何そんなに驚いてんだよ。ってかお前、やっぱ俺のこと好きだろ?」
目元を紅く染めながらも、瞭くんが開き直って聞いてくる。ああ、可愛い……じゃなくて。瞭くん好きかどうかだよね? うん好き。好きなんだけど……。
「わからない……」
「わからないって何だよ」
「だって……なんか現実じゃないみたいというか……あ、そうだ! あの女の人は?」
「誰だよ」
「ほら、あの、街でよく一緒にいる金髪碧眼の美女!」
そうだ、瞭くんには金髪碧眼でナイスバディの美女の知り合いだか友人だかがいるのだ。こんなとこで私なんかを口説いている場合ではない。うう、推しに口説かれるなんて、なんという贅沢……!
「あー……あの人はただの知り合いだ」
「そうなの? あんなにお似合いなのに……」
「なぁ、遠回しに俺のこと拒否ってる?」
「え!? いえいえそんな……」
拒否るなんてとんでもない! 可能ならば今すぐにでも好きだと叫びたい。でも無理だ。今の私じゃ無理。だって全然見た目可愛くないし、中身も可愛くない。正直瞭くんが何で私のこと好きって言ってくれるのか皆目検討がつかない。
「仕方ねぇな」
ウジウジしてる私に呆れたのか、瞭くんが大きなため息をついた。
そうだよね……こんな何の取り柄もない私なんて。
「ひゃっ!?」
「おい、暴れるな」
若干ドスの効いた声で脅されて身体が硬直する。瞭くんがいきなり立ち上がって、横抱きのままどこかへ連れて行かれる。
「あ、あの……」
瞭くんを見上げても何も答えてくれない。
え、これなんかまずいやつ……?
そんなしょうもないことを考えてたら、瞭くんが心配そうに顔を覗き込んでくる。
「大丈夫か……?」
「え、あ……うん、大丈夫。心配かけてごめんね。その……自分で食べれるから、もういいよ。わざわざごめんね」
そう言ってハムを持とうとしたら、スッと躱された。
「だめだ。俺が食べさせる」
ん? 何で?
頭の中がハテナで埋め尽くされるけど、瞭くんは私の動揺なんかお構いなしに、せっせと餌付けしてくる。
ちょっ、ちょっとこの展開、私に都合良すぎない? 何なら私の自分さえ知らなかった妄想が具現化してる?
昨日の諸々があったせいで瞭くんへの気持ちが恋心だって気づいてしまった私からしたら、ただのご褒美のような時間だ。まぁ実際には、ときめきと恥ずかしさと苦しさと切なさが混在していて、純粋に喜ぶことはできてないんだけど。
でも瞭くんに優しくされるのはやっぱり嬉しくて、不相応だなんて思いながらもちゃっかり口は開いてる。ちょろいな、私。
「ん? なんだ?」
瞭くんをぼーっと見つめてたら気づかれてしまった。いや、そりゃそうだよね。こんな至近距離で見つめてたら誰だって気づく。でも瞭くんに気づかれたことに変に動揺しちゃって、慌てて目を逸らしたら瞭くんが覗き込んできた。
「逃げるな。言いたいことがあるなら言え」
瞭くんの綺麗なブラウンの瞳に私の顔が映っちゃうんじゃないかってくらい間近で見つめられて、一瞬息ができなくなる。
あ、だめ、それ以上見つめられたら心臓が……。
「また泣いてる」
「え……?」
瞭くんが何を言ったのかわからなくて呆然としてると、大きな手で頬を包むように撫でられて涙を拭われた。
私、いつの間に……。
「昨日も泣いてたな……いや、俺が泣かせたのか」
そう言った瞭くんの目が怪しく光った気がして、背筋がゾクッとする。
この目、覚えてる。昨日ベッドの上でいっぱい気持ちいいことした時と一緒の目。だめ、そんなこと考えたらあそこがキュンキュンしちゃうからだめ……だめなのに。
「ハッ、何? 俺とヤッた時のこと思い出してんの? 足擦り合わせてるけど……」
口の端を上げて意地悪そうに笑った瞭くんが、内腿を撫でてくる。部屋着は薄手のショートパンツだから戦闘力はほぼ0で、隙間から侵入してきた瞭くんの節くれ立った指がショーツを掠めるのを止めることができない。
「ち、ちがっ、」
すぐに火照る身体が恥ずかしくて、いやらしいって思われたくないのに瞭くんに触られると簡単に感じてしまって、内腿で大きな手を挟み込むみたいに力を入れてしまう。それでも瞭くんの手は内腿を無理やりこじ開けるようにして、ショーツの上から敏感な突起を探り当ててきた。
「は、ぁっ……♡」
「何が違うんだ?」
しゅりっ♡ しゅりしゅりしゅり……♡
「ふっ、ぅ……それ、やめて♡」
「昨日は気持ちいいって言って俺に縋り付いてきてたけど?」
しゅりしゅり、しゅりしゅり……♡
「んっ♡ うぅ……やだ、言わないで」
「明花里が逃げるから悪い」
え、何で名前……?
突然のことに動揺していたら、瞭くんに口付けられていた。昨日みたいに深いやつじゃなくて、触れるだけの優しいキス。
「気持ちいいって言えよ」
そう不機嫌そうに睨まれたけど、怖いっていう感情は一切湧かなかった。名前を呼ばれた衝撃が大きすぎて、何がなんだかよくわからない。
「瞭くん……私の名前、知ってたの?」
「はぁ? そりゃ知ってるに決まってるだろ?」
「だって今、初めて呼ばれた」
瞭くんをまじまじと見つめると、なぜだか一瞬気まずそうな顔をする。
「呼んだだろ……昨日」
じわじわ頬が紅くなる瞭くんを見ていたら、昨日の記憶がブワッと湧いてきた。
お腹の中に注がれた瞭くんの熱と荒い息、どうしようもないほどの快感……。
『はぁ……はぁ、明花里……』
あ、本当だ、呼ばれてた。
「やっと思い出したのか」
あ、やば。すっかり思い出に浸ってしまってた……というか頬が熱い。それに瞭くんに触れてるところ全てが燃えるように熱い気がして、このままじゃおかしくなりそう。
生命の危機を回避すべく速やかに避難しようとしたら、瞭くんに抱き竦すくめられる。
「っ、…………また逃げるのか?」
な、何その声!? なんかこっちまで切なくなるんですけど!?
「離さないから」
ぎゅっと抱きしめられながら小さく囁かれて、全身に甘い痺れが走る。
どうしよう、背骨が溶けちゃう……。瞭くん、一体私をどうしたいの……?
「順番が違ったのはわかってる。でも、我慢できなかった。好きな人に笑いかけられて身体に触られたらもう……」
ああ、ごめんなさいごめんなさい、軽率な行動をしてごめんなさい……ってん? あれ? 今、好きな人って言った……?
「それに全然俺のこと拒まないし。むしろ気持ちいいとか幸せとか言うし……普通両思いだと思うだろ」
「ええっ!?」
りょ、両思い!? え、あの噂の、選ばれし者のみに起こると言われている両思い……? 待って待って、瞭くんと私が両思いってこと? ええ……これ現実かな。
あまりに信じられなさすぎて手の甲をつねってみたけど、ちゃんと痛かった。あ、現実か。
「何そんなに驚いてんだよ。ってかお前、やっぱ俺のこと好きだろ?」
目元を紅く染めながらも、瞭くんが開き直って聞いてくる。ああ、可愛い……じゃなくて。瞭くん好きかどうかだよね? うん好き。好きなんだけど……。
「わからない……」
「わからないって何だよ」
「だって……なんか現実じゃないみたいというか……あ、そうだ! あの女の人は?」
「誰だよ」
「ほら、あの、街でよく一緒にいる金髪碧眼の美女!」
そうだ、瞭くんには金髪碧眼でナイスバディの美女の知り合いだか友人だかがいるのだ。こんなとこで私なんかを口説いている場合ではない。うう、推しに口説かれるなんて、なんという贅沢……!
「あー……あの人はただの知り合いだ」
「そうなの? あんなにお似合いなのに……」
「なぁ、遠回しに俺のこと拒否ってる?」
「え!? いえいえそんな……」
拒否るなんてとんでもない! 可能ならば今すぐにでも好きだと叫びたい。でも無理だ。今の私じゃ無理。だって全然見た目可愛くないし、中身も可愛くない。正直瞭くんが何で私のこと好きって言ってくれるのか皆目検討がつかない。
「仕方ねぇな」
ウジウジしてる私に呆れたのか、瞭くんが大きなため息をついた。
そうだよね……こんな何の取り柄もない私なんて。
「ひゃっ!?」
「おい、暴れるな」
若干ドスの効いた声で脅されて身体が硬直する。瞭くんがいきなり立ち上がって、横抱きのままどこかへ連れて行かれる。
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