Venus And The SAKURA

モカ☆まった〜り

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魔王国編

0058 魔王の名前と女神の願い

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「名前ないんですか?魔王なのに?」俺はびっくりした。

「だってさ、皆わしの事、魔王様、魔王様って言うもんだから、もういいやってなった訳だ。」

「な、なるほど。」

「でも、いいんですか?俺に名前を付けられるって事は、俺に忠誠を誓うって事ですよ。」

「それが、狙いなんじゃよ。」と魔王は緑茶を啜りながら、夕焼け空を見上げた。


「昔の事じゃ、一人の勇者が召喚された。理由はわしを討伐するためじゃ。」

「じゃが、実際にわしと会った時に、彼は疑問を持ったんじゃ。なんで、何もしていない魔族を殲滅しないといけないのか。それで、勇者は剣を置いた。」

「その勇者は静岡県という所から来たという。わしらにお茶の栽培法を教えてくれた。今、オウカさんが飲んでるお茶じゃよ。」

「そして、酪農という事も少し勉強したという事で、牛?に一番近い魔物を使って、バターやアイス、チーズの作り方を教えてくれた。もちろん、美味しい牛の育て方もじゃ。」

「その勇者の態度が気にいらんかったんじゃろう、人間が軍隊を引き連れて攻めて来たんじゃ。」

「勇者は最初、言葉で説得を試みたのじゃが、それでも裏切者と決めつけられた勇者は人間にとって敵でしかない。結局、わしらを逃がして、殺されたよ。」


「わしらは恩人の勇者を失ってとても悲しんだ。もちろんサリーナもじゃ。」

「わしら二人はこんな悲しい事が二度と起こらないように考えた。」

「それが、魔族・人間の平和条約ですか?」

「ああ、そうなんじゃが、その協定もあと数年で効果が切れる。だから、新たな勇者、オウカさんを勇者として呼んだという訳じゃ。」

「俺に、戦争を止めろと?」

「ああ、それがわしの願いでありサリーナの願いなんじゃ。」

「オウカさん。どうか、協定がなくとも争いがない平和な世界を作ってくれませんか?お願いします。」魔王は床に四つん這いになり頭を床につけた。日本人なら誰でも知っている「土下座」。土下座を国のトップの魔王がこの俺にしている!

「頭を上げてください。魔王さん。」

「俺は協力しますよ!平和の為に、その代わり、魔王さんも協力してくださいよ!」

「おお、もちろんじゃ!では」右手を出してきた。俺はその手を握りお互いの誓いを立てた。


「それで、オウカさん、」

「ん?何だよ魔王さん。」

「さっきの話の続きなんじゃが・・・」

「名前の件だろ?憶えてるって!」

「是非とも、良い名を頼むぞ!」

「それでよ、魔王さん?」

「なんだ?」

「その勇者の名前は何て言うんだ?」

「立花良太さんだ。」

「じゃ、決まりだな!」

「ま、まさか・・・。」

「魔王よ!汝に女神クリス・サリーナ名のもとに、今後からリョウタ・タチバナと名乗るが良い!」

「ありがとうございます!このリョウタ、先代の勇者の名に恥じぬように努めます!」


ーーー日本語での会話終わりーーー


「オウカ様、何が起こったんですか?」ジギルが聞く

「ん?聞こえてなかったのか?」

「途中から、聞いたことのない言葉で話されていましたので、我々には分かりませんでした。そして、急に玲子様が泣き出す始末で。」

そうだった、途中から日本語で話してたんだっけ。

「あ~、皆に紹介する、こちらは魔王リョウタさんです。今日から、俺の配下に加わる君たちの仲間になる人です。よろしくやってくれ!」

「あ~そうなんですね~オウカ様も冗談がお上手で。」

「いやいや、本当の話。今、魔王にリョウタって名前を付けたんだよ。」
皆が倒れたのは言うまでもない。

ー***-

「それでだ、リョウタさん?」

「オウカ様、どうぞ呼び捨てにしてください。」

「そうか?リョウタ。久しぶりの日本人の響きに安心するよ。」

「これからは、オウカさんのしもべとして精進して参ります!」

「そうじゃなくて、これからは、友人として接して欲しい。」

「いえ、そう申されましても・・・」

「俺はさ、嬉しかったんだよ。緑茶の味が。」

「話を聞いて嬉しかったんだよ。いつまでも同郷の人間の事を想ってくれていたことが。」

「だからさ、」腰の日本刀を取り出し

「この刀をリョウタにやる。この剣は俺と良太さんの国、日本に伝わる名刀だ。お前に友情の証として、あげるよ。」

「ありがとうございます!」魔王リョウタは刀を抱きしめ涙した。


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