Venus And The SAKURA

モカ☆まった〜り

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貴族領地編

0097 バレットとリョウタ

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「美味いメシにいい湯だった!」と機嫌がいいのはバレット国王。
「ああ、また来いよ!」
「それでだ、リョウタさんにはいつ会えるのだ?」
「ん?いつ会いたい?」
「それは、会えるのなら今すぐにでも会いたいさ。」
「じゃあ明日、宮廷で会おう!」
「え?そんなに早く会えるのか?」
「任せておけ!また明日な!」
 バレットは玲子と共に帰って行った・・・。

 バレットを見送った俺はすぐにリョウタに連絡をとる。
「あ、リョウタ?俺だけど。」
「オウカ様、この間は妻がお世話になりました!」
「いやいや、お世話になってるのはこっちの方だよ。使節団の人には俺が礼を言ってたって伝えといてよ。」
「解りました。それで、今日はどんな用件ですか?」
「ああ、急で申し訳ないんだけど、明日は開けといてくれ。」
「どういうことですか?」
「お前の国を守る為の第一歩さ。」

 その声にリョウタは声を沈め、「それは、どういう事でしょうか?」
「王国と国交を開いてもらう。」

 俺は、今現在の王国の事情を話し、今の王国を救えるのは二ホン国だけだと言った。
「だから、明日は正装をして来いよ!くれぐれも魔族の外見で来るなよ!」
「解りました。」



 俺はすぐに普段来ている迷彩服からスーツに着替え、王国に行く準備をする。
 同行者には、リリアと茜を指名した。ジギルとローズが護衛をつけないのはマズいです!と言っていたが、この方が効果的なんだよと説得をして、残ってもらう事にした。

「久しぶりだなー!」王国は順調に復興に向けて進んでいるようだ。
 近所の露店に顔を出してみる。やはり戦後という事もあって、食べ物の量に比べて料金が高い。
主人に聞いてみると、まだまだ材料が乏しいとの事。
「これは、さっさと解決しないといけないな。」

「ただいまー!」ベルサイユ宮殿に戻る。
「ご主人様!お帰りなさい!」「主様!よくぞご無事で!」と皆が迎えてくれる。
「あれ?玲子は?」
「相変わらず、炊き出しを配ってますよ!」とダダンが言った。
「今夜は、宴ですね。準備をします!」といろはが言う。
「そうだな。久しぶりに皆で騒ぐか!」

「傭兵団の皆は、頑張っているみたいだね。」
「はい!王国の傭兵団とも上手くやっているようです。」ダダンが答える。
「そうか、それはよかった。これで差別もなくなるな。」
「それなんですが。」ダダンが5名ほどの獣人を連れてきた。
「この人達は?」
「はい。王国内にいた獣人族です。」
「え?まだいたの?」
「はい、スラムで細々と暮らしていたようです。」
「よし解った。この人達も面倒を見るように。名前はダダン、お前が付けてやるように。それから、傭兵団の手伝いをさせてあげて。」
「畏まりました。」

 日も落ちてきたころ、玲子たちが帰って来た。
「お帰りなさい、桜花さん。」玲子は満面の笑顔を浮かべている。
「ご主人様ー!寂しかったです!」と女性陣が抱きついてくる。
「皆、毎日のように炊き出しをしてくれてありがとうね。」と全員を労う。
「まだ、領地の方は完全じゃないのでしょ?」玲子が聞いてくるので、
「ああ、軌道に乗るまではまだまだって感じだな。」
「今日の帰りは、何のためなの?」
「バレットをリョウタに引き合わす。」
「ええ、その方がお互いにいいものね。いつ引き合わすの?」
「ああ、これからだよ。」
「そう。じゃあ、宴会の準備をして待ってるわ。」
「頼むよ。じゃあ行ってきます。」
 俺は、宮殿に向かった。


「二ホン国とは一体、どのような国なのだろう?ゼノンよ、知っているか?」と言っているのはバレットである。
ここは、バレットの仕事場。バレットは毎日のように復興の指示と毎日のように会議と、中々眠れない日々を送っている。

「オウカ殿の紹介なのです。安心しても良いのではないでしょうか。なんでも、ヒガシムラヤマ領の再建にも携わっていると聞いています。」
「そうか・・・。早く会って見たいものだ。」
「王よ、そろそろオウカ殿が参られる時間です。お着替えを。」
「ああ、そうだな。」バレットは執務室を後にした。


「オウカ殿が参られました!」とアム・ロッシが王宮の間にいるバレットに声を掛ける。
「来たか、通せ。」と一言。
「やあ、久しぶり!」とバレットが桜花を迎える。
「昨日、会ったばかりじゃないか」と笑顔で答える。
「昨日は、お忍びなんだよ。だからヒガシムラヤマ領には行ってない事になってるんだ。」
「そうなのか?ゼノン司祭も連れてくればよかったのに。」
ゼノン司祭は「バレット王は毎日、せかせかと動いておりますからな。私が疲れるぐらいなのですよ。」と笑みを浮かべている。
「それで、今日の段取りなのだが・・・。」と桜花が真剣な顔つきをするので、バレットも顔つきを変える。
「王宮の間では簡単な挨拶ぐらいにして、食事をしながら話そうじゃない。」
「ああ、その方がいいね。私も未だにこの椅子がなじまないのですよ。」
「今日は、リリアも連れてきてるからね。」
「何!それじゃあクロゲワギュウも食べれるのか!」バレットは嬉しそう。
「昨日も食べてなかった?」
「あれは毎日食べても良いぐらいだ!」
「王都の人達も、月に一度位のペースで食べれるようにしたいもんだよな。」
「ああ、全くだ。その為にも二ホン国の支援が必要なんだ。」

「あの、王よ。それとオウカ殿。」とアムさんが扉を開けて声を掛けてくる。
「どうした?」バレットと俺は不思議そうにアムさんに答える。
「玲子夫人が来ているのですが・・・。」
「れ、玲子が?なんで?」
「構わない、通せ。」とバレットが促す。
「ごめんなさいね。リョウタさんが転移する所がベルサイユ宮殿しかなくって、それに私に付いて来てくれってせがむものだから・・・。」
「アイツ、あの図体で小心者だからな。仕方ない。」
「では、改めまして。」とアムさんが姿勢を正す。

「二ホン国国王様のおなりでございます!」
重い両扉がゆっくりと開く。

 そこには、大柄な男と女性が立っていた。
「初めまして、ヤヌス王国国王バレット・クロゲワギュウ・コローレ殿。私が二ホン国国王リョウタ・サカグチでございます。」
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