146 / 247
146.
翌日の入学式には父もやってきて家族4人とその従者、護衛少数で学園へと向かう。
少し早めに学園に馬車で乗り付けたものの、やはり同じように馬車で乗り付ける貴族家は多いので、乗降場所は混み合いつつあった。
「ねえ、まだですか?」
「もう少しかかるだろう。それに、少し早めについているからそれほど焦らなくていい」
入学式における素敵な出会いに焦がれているのか、それとも入学式が待ち遠しいのかは分からないが、とにかくカトリーヌがかなり乗り気で早く馬車を乗り付けてほしいとばかりの言葉ばかりを口にする。
それが意外だったのもあり、ヴァルファズルは少し目を丸くしながらも少し時間がかかる旨を伝えれば、カトリーヌは少しむくれるような表情をした。
カトリーヌとしては、入学式などにおける校門のハプニングであったり、ぶつかったり迷ったりしたところで声をかけられたりといった出会いのきっかけを求めていた。
早すぎると攻略対象者がまだ来ていない可能性が高くなり、イベントが起こせない。
けれど遅すぎるとそのイベントを誰か他の人が起こしてしまうかもしれない可能性があるため、遅くはない、けれどちょっと早めで余裕のあるこの時間帯にとにかく着いておきたいという気持ちが強かったのだ。
「(この世界は乙女ゲームの世界だとは思うけれど、NPCたちが自由に動くし、自由にあれこれ言う世界だもの。
もしかすると私の代わりに勝手にイベントを起こすような人もいるかもしれないわ)」
長い年月がかかったものの、「乙女ゲームの世界だとは思う」という少しの疑問が入ったような言葉が彼女の中で思い浮かんだことを知れば、グウェンドリンは大喜びするだろう。
グウェンドリンはカトリーヌが乙女ゲームの世界だと思い込んでいる事を知らないものの、花畑思考においてそういう言葉も多少使っているので、かなり都合の良い事ばかり考えているのだけはよくわかっていた。
そんなカトリーヌがもしもを考えて早めに行こうと考えているのは、グウェンドリンや両親からしてみれば結構な成長であった。
何事も都合よく、自分に良い事が起こるというのを信じ切っているような思考をしていた彼女が、「もしかすると」という自分に不都合なことが起こる可能性があると考える事ができるようになるだけで、拍手ものだ。
変わっていないのであればまず急いでくれとは言わないし、自分が行けばイベントが発生するだろうから入り口付近をウロウロしてみようというような考えを持つだけだ。
まだかまだかというカトリーヌをなだめすかしながら、20分もすれば馬車から降りることができた。
そう思うとそれほどの混み具合ではない。
父のエスコートでまず母が降り、次にグウェンドリン、そして最後にカトリーヌが降りる。
グウェンドリンが馬車から降りて上を見上げれば、伯爵邸のよりも大きく、そしてシンプルながらも品の良い瀟洒な校舎が目に入る。
現代日本における学校の校舎とはまた違う校舎にグウェンドリン、そしてカトリーヌも目を輝かせた。
「入学式の会場はこっちだな」
「さ、2人とも、こちらへいらっしゃい」
両親の言葉に応えるように少し早足で二人は校舎へ向けて足を踏み出した。
少し早めに学園に馬車で乗り付けたものの、やはり同じように馬車で乗り付ける貴族家は多いので、乗降場所は混み合いつつあった。
「ねえ、まだですか?」
「もう少しかかるだろう。それに、少し早めについているからそれほど焦らなくていい」
入学式における素敵な出会いに焦がれているのか、それとも入学式が待ち遠しいのかは分からないが、とにかくカトリーヌがかなり乗り気で早く馬車を乗り付けてほしいとばかりの言葉ばかりを口にする。
それが意外だったのもあり、ヴァルファズルは少し目を丸くしながらも少し時間がかかる旨を伝えれば、カトリーヌは少しむくれるような表情をした。
カトリーヌとしては、入学式などにおける校門のハプニングであったり、ぶつかったり迷ったりしたところで声をかけられたりといった出会いのきっかけを求めていた。
早すぎると攻略対象者がまだ来ていない可能性が高くなり、イベントが起こせない。
けれど遅すぎるとそのイベントを誰か他の人が起こしてしまうかもしれない可能性があるため、遅くはない、けれどちょっと早めで余裕のあるこの時間帯にとにかく着いておきたいという気持ちが強かったのだ。
「(この世界は乙女ゲームの世界だとは思うけれど、NPCたちが自由に動くし、自由にあれこれ言う世界だもの。
もしかすると私の代わりに勝手にイベントを起こすような人もいるかもしれないわ)」
長い年月がかかったものの、「乙女ゲームの世界だとは思う」という少しの疑問が入ったような言葉が彼女の中で思い浮かんだことを知れば、グウェンドリンは大喜びするだろう。
グウェンドリンはカトリーヌが乙女ゲームの世界だと思い込んでいる事を知らないものの、花畑思考においてそういう言葉も多少使っているので、かなり都合の良い事ばかり考えているのだけはよくわかっていた。
そんなカトリーヌがもしもを考えて早めに行こうと考えているのは、グウェンドリンや両親からしてみれば結構な成長であった。
何事も都合よく、自分に良い事が起こるというのを信じ切っているような思考をしていた彼女が、「もしかすると」という自分に不都合なことが起こる可能性があると考える事ができるようになるだけで、拍手ものだ。
変わっていないのであればまず急いでくれとは言わないし、自分が行けばイベントが発生するだろうから入り口付近をウロウロしてみようというような考えを持つだけだ。
まだかまだかというカトリーヌをなだめすかしながら、20分もすれば馬車から降りることができた。
そう思うとそれほどの混み具合ではない。
父のエスコートでまず母が降り、次にグウェンドリン、そして最後にカトリーヌが降りる。
グウェンドリンが馬車から降りて上を見上げれば、伯爵邸のよりも大きく、そしてシンプルながらも品の良い瀟洒な校舎が目に入る。
現代日本における学校の校舎とはまた違う校舎にグウェンドリン、そしてカトリーヌも目を輝かせた。
「入学式の会場はこっちだな」
「さ、2人とも、こちらへいらっしゃい」
両親の言葉に応えるように少し早足で二人は校舎へ向けて足を踏み出した。
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ボロ雑巾な伯爵夫人、やっと『家族』を手に入れました。~旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます2~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
第二夫人に最愛の旦那様も息子も奪われ、挙句の果てに家から追い出された伯爵夫人・フィーリアは、なけなしの餞別だけを持って大雨の中を歩き続けていたところ、とある男の子たちに出会う。
言葉汚く直情的で、だけど決してフィーリアを無視したりはしない、ディーダ。
喋り方こそ柔らかいが、その実どこか冷めた毒舌家である、ノイン。
12、3歳ほどに見える彼らとひょんな事から共同生活を始めた彼女は、人々の優しさに触れて少しずつ自身の居場所を確立していく。
====
●本作は「ボロ雑巾な伯爵夫人、旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます。」からの続き作品です。
前作では、二人との出会い~同居を描いています。
順番に読んでくださる方は、目次下にリンクを張っておりますので、そちらからお入りください。
※アプリで閲覧くださっている方は、タイトルで検索いただけますと表示されます。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
虐げられた人生に疲れたので本物の悪女に私はなります
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
伯爵家である私の家には両親を亡くして一緒に暮らす同い年の従妹のカサンドラがいる。当主である父はカサンドラばかりを溺愛し、何故か実の娘である私を虐げる。その為に母も、使用人も、屋敷に出入りする人達までもが皆私を馬鹿にし、時には罠を這って陥れ、その度に私は叱責される。どんなに自分の仕業では無いと訴えても、謝罪しても許されないなら、いっそ本当の悪女になることにした。その矢先に私の婚約者候補を名乗る人物が現れて、話は思わぬ方向へ・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています