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◎二年目、五月の章

■明里から里奈と由芽はあるものを渡される

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 決闘のあとのことである。久遠と晴は明里に外へ連れ出されたかと思ったら、しばらくして二人は両手にぱんぱんに詰まったビニール袋を持っていた。

 コンビニあたりへ買いだしにでも行ってきたのだろう。問題はそれをどうしてこの寮まで運んできたのかだ。

「用事は終わったんじゃないんですか?」

 里奈は暗になぜ帰らないのかと明里に訊ねていた。というか、もう帰ってほしかった。

「勝負が終わったんなら、あとは宴会だろうが」

 明里から逆に「バカなのか?」という顔で覗かれる。

「あと、近づきの印だ。しっかり励みなよ」

 明里から里奈と由芽に小箱が手渡される。何だろうと思って箱を見てみるとそれは避妊具であった。

 由芽は絶句している。

 里奈は久遠を睨むことにした。すると「僕は関係ないだろ」と表情で訴えてくる。

 明里は「あっはっはっ」と笑いながら談話室へ葵と一緒に向かっていき、その後ろを晴が続く。

「どういう流れでこうなったの?」

「僕が強引に連れだされたのを見ていただろ」

「そうね。明里ってひとに胸を当てられて鼻の下伸ばしてたもんね」

「そ、そんなことは……」ないとは完全に否定できないようだ。実はボディタッチを遠巻きに見ていただけで、事細かに把握していたわけではなかったのだが、当たらずも遠からずだったようである。

「で、これは何?」

 久遠の目に入れてやろうかという勢いで、避妊具の入った小箱を顔に押しつける。

「し、知らないよ。道中で二人との関係を聞かれたくらいだから」

「じゃあ、何て答えたの?」

「二人とはただのクラン仲間だって言ったよ」

 それはそれでなぜか腹が立ったので、里奈はあらん限りの力で久遠の足を踏みつける。

 まったくもって、いい迷惑だと里奈は思った。

「ほら、いつまでそうしてるの」

 里奈は由芽の手を取ると明里のあとを追う。

 面倒ごとはまだ続くということだろう。
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