1 / 1
クリスマスプレゼント
しおりを挟む
雪が降っていた…
どこか遠くから…シャンシャンシャン…と鈴の鳴るような音がしていた。
(クリスマスだからといって、サンタの橇じゃあるまいし…)
そんな事を思っていると、鈴の音がどんどん近づいてきた。
パカパカと蹄の音のようなものも聞こえだした。
「メリークリスマス♪」
目の前が赤い布地に遮られ、渋い男性の声が聞こえた。
声のする方…男の顔を見上げると
白い髭の奥に優し気な笑顔があった。
「もし時間があったら、わしの手伝いをしてくれないか?」
「手伝い?」
「子供たちにプレゼントを配る手伝いさ♪」
(本当にサンタクロースなのか?)
「もちろん、報酬は払うよ。宅配のアルバイトだと思ってくれれば良いよ♪」
確かに、暇を持て余していた。
明日も何か予定が入っている訳でもない。
僕はあまり深く考えもせずに「良いですよ♪」と答えていた。
「じゃあ、乗ってくれたまえ♪」
と差し伸べられた彼の手を掴むと…次の瞬間、僕は橇の上で彼の隣に座っていた。
「じゃあ出すよ。」
と彼が橇を引くトナカイに指示を与えると、橇は空高く舞い上がった。
チラつく雪の中、眼下に街の灯がまたたいていた。
橇は周りに囲いがないのだが、乗っている僕に雪が当たることは無かった。
かなりのスピードで飛んでいるにも拘わらず、風を感じることもない。
そもそも、寒さ自体感じる事がなかった。
「さて、プレゼントを配る手伝いをしてもらうのだが、その前に制服を着てもらおうか♪」
「制服って、あなたのような所謂サンタの恰好?」
「いや、これは正式にサンタと認められた者しか着ることができない。君はサポートメンバの制服になる。」
「サポートメンバの制服?」
「百聞は一見に如かずじゃ。そら♪」
彼がそう言うと、僕の着ていた服が一瞬で変化していた。
「これ…なんですか?」
赤を基調としたデザインは彼のものと同じであるが、何故かものすごく裾が長い。
そして…ズボンがない?
その代わり、膝を覆う長さの白いブーツがあった。
川釣りの長靴…ではなく、女性の履くファッション性の高い「ブーツ」だった。
そして上着の裾との間は太股が完全に露出していた。
所謂「絶対領域」である。
とはいえ、男の太股で「絶対領域」と言われても…
(?)
何かおかしい…僕の太股って、こんなだったけ?
そこには女の子のようなむっちりとした艶めかしい太股が存在していた。
上着の裾は、女の子のワンピースのスカートのようにも見える。
…って、今まで気が付かなかったが、サンタ服の胸が女の子のように膨らんでいる?
「鏡を見るかい?」
彼がそう言うと、目の前が塞がれて鏡のように僕(?)を映した。
そこに映っているのが僕自身であると理解するのには、少しだけ時間が掛かった。
(だって、サンタガールの衣装を着た女の子にしか見えないよ…)
いつの間にか顔には化粧が施されていた。
良く見るとそれは「僕」の顔なのだが、パッチリと開いた目・プルリとした真っ赤な唇…
サンタの帽子の下には金色の長い髪が揺れていた。
「ど、どうなってるの?」
「わしの手伝いに相応しい恰好をしてもらったんだが…何か問題でも?」
(確かに、サンタの手伝いにサンタガールが付くのには問題がないのだが…)
「ボ…僕は男なんですよ…」
「大丈夫♪誰が見ても君は女の子だし、ちゃんと中身も変えてあるからね♪」
「中身…って?」
「そんな事より、さっさと仕事を片付けてしまおう♪子供たちが待っているよ♪」
そして、慌ただしい時間が過ぎていった。
「お手伝い」もなかなかハードで、自分の恰好がどうのとかを気に掛ける暇もなかった…
「さぁ、これが最後だよ♪」
橇はどこか見覚えのある家の上に浮かんでいた。
「…これって、僕の家?」
「では、これをベッドの脇に置いてきてくれ♪」
と、ひと際大きな箱が渡された。
これまでと同じように、窓を開け、部屋の中に入ってゆく。
…そこは「僕」の部屋…
ベッドに近づくと、スースーと朗らかな寝息をたてている「僕」が寝ていた。
(どういう事?)
『今夜はありがとう。これが君への報酬だよ♪』
鈴の音が遠ざかるなか、彼の声が耳元に聞こえた。
僕はサンタからのプレゼントを彼に言われた通りにベッドの脇に置いた…
すると、箱に掛けられたリボンが解け、蓋が外れた…
箱はカラッポでプレゼントとなるようなものは見当たらない…
(どういうこと?)
と思っているうちに全身が締め付けられる感覚に襲われた。
(身体を動かす事ができない?)
それは指一本どころか、まばたきさえもできなくなっていた。
身体が宙に浮き、箱に背中を向けられる。
その箱にゆっくりと納められ…外れた蓋が元通りに閉じられてゆく。
暗闇の中、リボンが再び結ばれてゆく音が聞こえる。
そして…
闇の中…「僕」の朗らかな寝息だけが響いていた。
朝、目が覚めるとベッドの脇に大きな箱が置かれていた。
夢ではなかった?サンタからのクリスマスプレゼントだ…
リボンを解き蓋を外すと、中には女の子の人形が入っていた。
(違う…)
着ているのは昨夜僕が着ていたサンタガールの衣装だったが…
良く見ると彼女…彼は…「僕」そっくりだった。
お化粧すれば昨夜の僕のように「女の子」に見えなくもないが…
胸の膨らみは潰れているし…股間にはソレの形が浮き出ている?
(人形が「僕」…という事は、今の僕は?)
自分を見下ろすと、パジャマの胸が膨らんでいる?
はらりと左右から髪の毛が落ちてきた。
鏡で見たのと同じ金色の髪。
僕はパジャマのズボンに…
どこか遠くから…シャンシャンシャン…と鈴の鳴るような音がしていた。
(クリスマスだからといって、サンタの橇じゃあるまいし…)
そんな事を思っていると、鈴の音がどんどん近づいてきた。
パカパカと蹄の音のようなものも聞こえだした。
「メリークリスマス♪」
目の前が赤い布地に遮られ、渋い男性の声が聞こえた。
声のする方…男の顔を見上げると
白い髭の奥に優し気な笑顔があった。
「もし時間があったら、わしの手伝いをしてくれないか?」
「手伝い?」
「子供たちにプレゼントを配る手伝いさ♪」
(本当にサンタクロースなのか?)
「もちろん、報酬は払うよ。宅配のアルバイトだと思ってくれれば良いよ♪」
確かに、暇を持て余していた。
明日も何か予定が入っている訳でもない。
僕はあまり深く考えもせずに「良いですよ♪」と答えていた。
「じゃあ、乗ってくれたまえ♪」
と差し伸べられた彼の手を掴むと…次の瞬間、僕は橇の上で彼の隣に座っていた。
「じゃあ出すよ。」
と彼が橇を引くトナカイに指示を与えると、橇は空高く舞い上がった。
チラつく雪の中、眼下に街の灯がまたたいていた。
橇は周りに囲いがないのだが、乗っている僕に雪が当たることは無かった。
かなりのスピードで飛んでいるにも拘わらず、風を感じることもない。
そもそも、寒さ自体感じる事がなかった。
「さて、プレゼントを配る手伝いをしてもらうのだが、その前に制服を着てもらおうか♪」
「制服って、あなたのような所謂サンタの恰好?」
「いや、これは正式にサンタと認められた者しか着ることができない。君はサポートメンバの制服になる。」
「サポートメンバの制服?」
「百聞は一見に如かずじゃ。そら♪」
彼がそう言うと、僕の着ていた服が一瞬で変化していた。
「これ…なんですか?」
赤を基調としたデザインは彼のものと同じであるが、何故かものすごく裾が長い。
そして…ズボンがない?
その代わり、膝を覆う長さの白いブーツがあった。
川釣りの長靴…ではなく、女性の履くファッション性の高い「ブーツ」だった。
そして上着の裾との間は太股が完全に露出していた。
所謂「絶対領域」である。
とはいえ、男の太股で「絶対領域」と言われても…
(?)
何かおかしい…僕の太股って、こんなだったけ?
そこには女の子のようなむっちりとした艶めかしい太股が存在していた。
上着の裾は、女の子のワンピースのスカートのようにも見える。
…って、今まで気が付かなかったが、サンタ服の胸が女の子のように膨らんでいる?
「鏡を見るかい?」
彼がそう言うと、目の前が塞がれて鏡のように僕(?)を映した。
そこに映っているのが僕自身であると理解するのには、少しだけ時間が掛かった。
(だって、サンタガールの衣装を着た女の子にしか見えないよ…)
いつの間にか顔には化粧が施されていた。
良く見るとそれは「僕」の顔なのだが、パッチリと開いた目・プルリとした真っ赤な唇…
サンタの帽子の下には金色の長い髪が揺れていた。
「ど、どうなってるの?」
「わしの手伝いに相応しい恰好をしてもらったんだが…何か問題でも?」
(確かに、サンタの手伝いにサンタガールが付くのには問題がないのだが…)
「ボ…僕は男なんですよ…」
「大丈夫♪誰が見ても君は女の子だし、ちゃんと中身も変えてあるからね♪」
「中身…って?」
「そんな事より、さっさと仕事を片付けてしまおう♪子供たちが待っているよ♪」
そして、慌ただしい時間が過ぎていった。
「お手伝い」もなかなかハードで、自分の恰好がどうのとかを気に掛ける暇もなかった…
「さぁ、これが最後だよ♪」
橇はどこか見覚えのある家の上に浮かんでいた。
「…これって、僕の家?」
「では、これをベッドの脇に置いてきてくれ♪」
と、ひと際大きな箱が渡された。
これまでと同じように、窓を開け、部屋の中に入ってゆく。
…そこは「僕」の部屋…
ベッドに近づくと、スースーと朗らかな寝息をたてている「僕」が寝ていた。
(どういう事?)
『今夜はありがとう。これが君への報酬だよ♪』
鈴の音が遠ざかるなか、彼の声が耳元に聞こえた。
僕はサンタからのプレゼントを彼に言われた通りにベッドの脇に置いた…
すると、箱に掛けられたリボンが解け、蓋が外れた…
箱はカラッポでプレゼントとなるようなものは見当たらない…
(どういうこと?)
と思っているうちに全身が締め付けられる感覚に襲われた。
(身体を動かす事ができない?)
それは指一本どころか、まばたきさえもできなくなっていた。
身体が宙に浮き、箱に背中を向けられる。
その箱にゆっくりと納められ…外れた蓋が元通りに閉じられてゆく。
暗闇の中、リボンが再び結ばれてゆく音が聞こえる。
そして…
闇の中…「僕」の朗らかな寝息だけが響いていた。
朝、目が覚めるとベッドの脇に大きな箱が置かれていた。
夢ではなかった?サンタからのクリスマスプレゼントだ…
リボンを解き蓋を外すと、中には女の子の人形が入っていた。
(違う…)
着ているのは昨夜僕が着ていたサンタガールの衣装だったが…
良く見ると彼女…彼は…「僕」そっくりだった。
お化粧すれば昨夜の僕のように「女の子」に見えなくもないが…
胸の膨らみは潰れているし…股間にはソレの形が浮き出ている?
(人形が「僕」…という事は、今の僕は?)
自分を見下ろすと、パジャマの胸が膨らんでいる?
はらりと左右から髪の毛が落ちてきた。
鏡で見たのと同じ金色の髪。
僕はパジャマのズボンに…
1
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる