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トラップ
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(大きく振りかぶり、必殺の斬撃を振り下ろーす!!)
ザコ魔獣であればそれだけの事。
ドロップする結晶も微々たるものである。
今のオレにはゴミのような物でしかなかった。
迷宮は更に深度を増してゆく…
階層主であればそれなりの手応えはあるものの、幾多の迷宮をクリアしてきたオレにとっては先程のザコ魔獣と大差はなかった。
そんなオレがこの迷宮に降りてきたのは、この迷宮にしかないと言われているレアトラップに挑戦する為であった。
存在する階層はこの次の階層である。
それ程深い階層ではないが、ある程度のスキルのある冒険者でなければ到達できない階層であり、更に下の階層を攻略できる冒険者では素通りできるレベルの階層であった。
つまり、オレのように意識してこの階層を目指す冒険者しかそのトラップに出会う事はないのだ。
問題の階層に足を踏み入れた。
手に入れた情報に従い、トラップの場所に向かう。
位置的には階層主に直接向かう方向ではないので、配置された魔獣もそう多くはなかった。
そして、この先が問題のトラップの存在する部屋だった。
扉の隙間から明かりが漏れている。
全体的に暗がりとなっている迷宮の中でこの明るさはかなり珍しい。
その隙間に指を掛け、扉を開いた…
(ここはどこだ?)
明るく照らされて室内には、ショッピングセンターの中にいるかのように、様々な衣服が陳列されていた。
その多くがカラフルな女性用の衣服である。
スカートやワンピース、様々な下着。
サンダルやパンプス、ブーツ等の靴類にカバン、帽子…
様々な化粧品も並べられている。
問題のレアトラップはその中心部に存在する…
「試着室」
その札が掲げられているカーテンで仕切られた一画がそのトラップということらしい…
が、オレの研ぎ澄まされた探知力には何のアラームも上がって来てはいなかった。
(どういう事だ?)
オレはカーテンを捲り中を覗いてみた…
服の吊り下げられたハンガーが掛かっている。
もう一面は全体が鏡となっていて、覗き込んだオレを映している。
どこから見ても普通の「試着室」でしかない。
ブーツを脱いで中に入ってみた。
カーテンが閉じられる。
(トラップが発動したのか?)
確かに、内側からカーテンを開けようとしてもびくともしなかった。
フッと身体が軽くなった。
鏡には「オレ」が映っている。
が、ズッしりとオレを包んでいた防具が消え失せていた。
そこに映っているのは下着一枚のオレの姿であった。
急に涼しくなっていた。
(下着一枚のままでは風邪をひいてしまう!!)
そう、何か着なければ…
そして、そこに一着の服が掛かっていた。
(これを着れば風邪をひかなくて済む♪)
オレはハンガーから服を外し、ファスナーを下げていった。
拡げられた背中から両脚を通し、左右の腕を差し込んだ。
首の後ろのフックを留め、背中のファスナーを引き上げる。
鏡にはワンピースを着た「オレ」が映っている。
(何か足りない!!)
オレはカーテンを開けると足りないものを探して廻った。
鏡の前に戻り、持ってきたアクセサリーを身に着けてみた。
首元にスカーフを巻き、指に指輪を、手首にブレスレットを填めた。
耳飾りを着けると耳元で揺れる飾りを感じることができた…
(まだ、足りない!!)
向かったのは化粧品コーナーだった。
そこにある鏡に向かい、様々な化粧品を顔に塗り付ける。
口紅を塗り終えたあと、ふと指先に目が行った。
そう…ネイルだ!!
唇と同じ深紅に爪を染め上げた。
オレ…じゃない、アタシ…は試着室に戻り、全身を鏡に映した。
(そう…コレが「アタシ」なのよ♪)
(今度は別のコーデを試してみよう♪)
と、アタシは次に着る服を探し始めていた。
アタシ自身が着せ替え人形となって、そこにあった様々な衣服を着ては鏡に映してみる。
清楚なお嬢様…キラキラのアイドル…ピシッとしたキャリア系…
(そう…セクシーな下着も良いわね♪)
着ていた服を全部脱ぎ去り、際どいデザインの上下を着けてみた。
鏡の前で、両腕を揃えて胸を膨らますポーズ…
(今度はアタシがトラップそのものになったりして♪)
ザコ魔獣であればそれだけの事。
ドロップする結晶も微々たるものである。
今のオレにはゴミのような物でしかなかった。
迷宮は更に深度を増してゆく…
階層主であればそれなりの手応えはあるものの、幾多の迷宮をクリアしてきたオレにとっては先程のザコ魔獣と大差はなかった。
そんなオレがこの迷宮に降りてきたのは、この迷宮にしかないと言われているレアトラップに挑戦する為であった。
存在する階層はこの次の階層である。
それ程深い階層ではないが、ある程度のスキルのある冒険者でなければ到達できない階層であり、更に下の階層を攻略できる冒険者では素通りできるレベルの階層であった。
つまり、オレのように意識してこの階層を目指す冒険者しかそのトラップに出会う事はないのだ。
問題の階層に足を踏み入れた。
手に入れた情報に従い、トラップの場所に向かう。
位置的には階層主に直接向かう方向ではないので、配置された魔獣もそう多くはなかった。
そして、この先が問題のトラップの存在する部屋だった。
扉の隙間から明かりが漏れている。
全体的に暗がりとなっている迷宮の中でこの明るさはかなり珍しい。
その隙間に指を掛け、扉を開いた…
(ここはどこだ?)
明るく照らされて室内には、ショッピングセンターの中にいるかのように、様々な衣服が陳列されていた。
その多くがカラフルな女性用の衣服である。
スカートやワンピース、様々な下着。
サンダルやパンプス、ブーツ等の靴類にカバン、帽子…
様々な化粧品も並べられている。
問題のレアトラップはその中心部に存在する…
「試着室」
その札が掲げられているカーテンで仕切られた一画がそのトラップということらしい…
が、オレの研ぎ澄まされた探知力には何のアラームも上がって来てはいなかった。
(どういう事だ?)
オレはカーテンを捲り中を覗いてみた…
服の吊り下げられたハンガーが掛かっている。
もう一面は全体が鏡となっていて、覗き込んだオレを映している。
どこから見ても普通の「試着室」でしかない。
ブーツを脱いで中に入ってみた。
カーテンが閉じられる。
(トラップが発動したのか?)
確かに、内側からカーテンを開けようとしてもびくともしなかった。
フッと身体が軽くなった。
鏡には「オレ」が映っている。
が、ズッしりとオレを包んでいた防具が消え失せていた。
そこに映っているのは下着一枚のオレの姿であった。
急に涼しくなっていた。
(下着一枚のままでは風邪をひいてしまう!!)
そう、何か着なければ…
そして、そこに一着の服が掛かっていた。
(これを着れば風邪をひかなくて済む♪)
オレはハンガーから服を外し、ファスナーを下げていった。
拡げられた背中から両脚を通し、左右の腕を差し込んだ。
首の後ろのフックを留め、背中のファスナーを引き上げる。
鏡にはワンピースを着た「オレ」が映っている。
(何か足りない!!)
オレはカーテンを開けると足りないものを探して廻った。
鏡の前に戻り、持ってきたアクセサリーを身に着けてみた。
首元にスカーフを巻き、指に指輪を、手首にブレスレットを填めた。
耳飾りを着けると耳元で揺れる飾りを感じることができた…
(まだ、足りない!!)
向かったのは化粧品コーナーだった。
そこにある鏡に向かい、様々な化粧品を顔に塗り付ける。
口紅を塗り終えたあと、ふと指先に目が行った。
そう…ネイルだ!!
唇と同じ深紅に爪を染め上げた。
オレ…じゃない、アタシ…は試着室に戻り、全身を鏡に映した。
(そう…コレが「アタシ」なのよ♪)
(今度は別のコーデを試してみよう♪)
と、アタシは次に着る服を探し始めていた。
アタシ自身が着せ替え人形となって、そこにあった様々な衣服を着ては鏡に映してみる。
清楚なお嬢様…キラキラのアイドル…ピシッとしたキャリア系…
(そう…セクシーな下着も良いわね♪)
着ていた服を全部脱ぎ去り、際どいデザインの上下を着けてみた。
鏡の前で、両腕を揃えて胸を膨らますポーズ…
(今度はアタシがトラップそのものになったりして♪)
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