イドとエゴ

葛城

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少年

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「イドはこの世界を崩壊寸前まで追い込み、我らの生活を狂わせたのです。彼らの奇妙な姿は、とても人とは呼べるものではなくなっていたのです。」



そうか!だからイドを地下へ追いやったのか。彼は黒い制服に身を包み、熱心に授業を受ける。


ペンを握って黒板を写す姿は、真面目な印象を受ける。背中はまっすぐで、彼はまるで人間のようであった。


彼はこのクロカベ居住区に住むロボットである。ロボットといっても、ほとんど人と変わりない容姿で、人と変わらない生活をしている。人と違うところといえば、妙に機械めいた甲高い声と、彼の左手首にある数字くらいである。



男とは思えないその声は、人とロボットを見分ける際に役に立ち、左手首の数字は、病院と併設されている検査場に入る為のパスポートなどに使われている。




彼らのほとんどは、普通の夫婦に普通の子供として育てられ、普通の子供と同じ学校に行っている。
働き盛りの女性が、休みたくないけど子供は欲しいと買っていくのだ。とても値段が高いので、本気で子供が欲しいと思う人にしか買えないようになっている。しかし、同時に貧乏人には買うことのできないものである。


しかし、彼の親は金持ちでもなく、若い夫婦でもなく、働いているかわからない、貧乏な男だった。彼は貧乏なこの男が何故自分を育てる事ができているのか知らなかった。

男は、朝彼を起こして学校に行かせて、夜、彼が学校から帰ると必ず家にいる。休みの日、彼は外に遊びに行ったりするのだが、彼は男が何故にいるかその時知らない。

男は自分のことを人に話さないタイプらしく、人付き合いもしないタイプだった。

彼以外の人と話しているのを見た事がないし、彼も男をあまり詮索しないようにした。興味があることを尋ねたら、結構真面目に、時々ふざけて返してくれるが、自分のことになると別らしい。


男は優しいが、素っ気なく、少し長めの髪とポツポツ生えているヒゲ、シンプルで暗い服装は、近所の人から見ると、関わりにくい雰囲気を醸し出していた。


しかし、彼は男のそういう素朴なところがが好きであり、頼もしかった。
働いている姿は見たことがないが、きっとどこかで金になることをしているのだろうと思っていた。
 

チャイムが鳴って、彼はリュックに荷物を詰めた。

他の子供は彼のことは嫌っていない。しかし彼と仲の良いものは一人か二人程度である。

なぜなら、大半は彼が男と一緒にいるのを知ってったからだ。男は近所で有名な悪党だったようで、どこかでひょっこり拾ってきた幼いロボットが彼だったらしい。彼を抱えて通りを歩く男の姿を見て、近所の人は、どこかの女と作ってきた子供だろうと噂した。


そんな男と一緒にすむ彼を、好いてくれる子供はやはり少なかった。しかし、彼の静かで優しい性格のおかげで、彼はいじめられることもなく、楽しく学校に通っていた。


「ハツ、帰ろう。」そう友達から言われ、彼はリュックを背負って走っていった。



そう、彼の名前はハツ、エゴが住む地上で学校に通う、ちょっと変わったロボットである。
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