HARLEQUIN

マルエージング鋼

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Bizarre Youth

16話

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 コトリ、と机の上にマグカップが置かれる。暖炉の火にくべられた薪がパチパチと音を立てて、火を燃やすための礎となって赤々と燃えている。そのマグカップが置かれた場所の前に、忍び込んで叔父である『Dimディム・Ratstock』に見つかったクロードが居た。

 事の顛末を全て叔父に伝えると、額を抑えて何とも言い難いことであると言わんばかりに唸った。何せ勝手に忍び込んだ挙句MAKINAに寄生され、さらにはあのマギウスの手によって奪われたのだから。これ以上ない程に頭を抱え、胃をキリキリさせる出来事が起きるのだろうか。いやない。

 そうして一通りクロードの身の上話が終わってくると、苛立ちを通り越して呆れた溜息しか出なかったディムはクロードへと視線を移し口を開く。


Although you did not know知らなかったとはいえit is not good to touch darkness触って良い訳では無いんだぞ. ……Howeverしかしit was a surprising finding that MAKINA was manipulated without any inhibitorマキナを抑制剤も無しに操ったのは意外な発見だWas it something that was recognizedある意味認められたか or wanted to avoid troubles面倒事を避けたかったのか?」
What do you meanどういうこと?」
Although Claude, who had been adapted unintentionally, would not have thought it知らずに適合していたクロードは思いもしないだろうがit would be nearly impossible to manipulate it本来は抑制剤を寄生主に without prior administration of the inhibitors予め投与しなければprimarily by parasites操ることはほぼ不可能なんだ.
 As you already know知っているだろうがthere is an ego in both MAKINA and EXマキナにもイクスにも自我が存在するAnd because it is connected with the brain nerveそして脳神経とも繋がるためにit can read human thinking思考を読み取ることができるThat's why many of them gave rejection故に多くの実験体に拒否反応が出たのだ. ……The rest will be understood without saying後は言わなくても分かるだろう.」
Yeahうん…… may be多分.」
And that's what I meanそして私がこの話をしていることは、 by saying thisそういう意味だ.」
You have created artificial parasites叔父さんたちが、人工寄生生命体を作ったんでしょ. ……But whyでも、何でWhy did you get away with MAKINA何で叔父さんはマキナを連れて逃げたの?」


 そう言ったクロードに対して、ディムは深く呼吸をして片目を手で覆い隠し髪をかきあげる。その表情に映るのは、何物でもないの表情だ。次第にディムの顔が青白くなり、暖かい室内で流れた汗ではなく、何かに怯えるような冷や汗を流していた。


「…… Two years ago二年前I saw a sceneある光景を見てしまった.
 At first始めはa group of many people, centered on Magiusマギウスを中心とした幾人もの数が集まった集団を偶然happened to be seen in the forest near the Institute研究所近くの森で見かけたことからだったI wondered why they were going into a forestあまり誰も立ち入ることの無い森に、 where there wasn't a lot of people coming in何故入っていくのか気になった私はI followed them奴らを尾行したんだ. ……And I saw itそして私は見てしまった.
 In the place where I arrived辿り着いた先の場所でthey started some sort of ritual奴らは何かしらの儀式を始めたんだIn a momentそしてすぐにa horrible sign began to drift aroundおぞましい気配が辺りを漂い始めた……!
 From that point on, it is because Iそこから先は私も分からない、 ran away to so much fear that I don't knowあまりの恐ろしさに逃げ出したせいだI don't know what they are thinking奴らが何を考えているか分からんがbut at least I thought that少なくとも私は MAKINA and EX would be usedマキナとイクスが利用されると考えand I ran away逃亡を謀った. ……It is this state just remembering now今思い出しただけでこのザマだDon't get involved with them奴らに関わってはならないthough I've decided thatそう決めていた筈なのに…… .」


 何度か呼吸を繰り返して落ち着こうとしているが、如何せん恐怖が治まりきっていない。少なくとも、あの場ですぐに発狂せず逃げ出したのは幸いだったと言えよう。もしもあの場に残り続けていたのなら、確実に人生が終わっていただろう。

 そしてその話を聞いていたクロードもまた、自責の念を募らせていた。最終的に何かしらの陰謀から引き離せたであろう存在を、マギウスの望んだ本来の使用用途の一部に使われるのだから。

 言葉に怒気を孕んでいたディムであったが、暫く間を経ることでその表情と声色に落ち着きを取り戻していく。


「…… There is no need for you to feel responsible別にクロードが責任を感じる必要はないI am responsible for making MAKINA奴らの思惑を知らずにマキナ and EX without knowing their speculationとイクスを作った私に責任はあるNo matter what process you take to take MAKINAお前がどんな過程を経てマキナを奪われたとしてもit is me that did not immediately destroy奴の手に渡る可能性を the possibility of giving it to his hand即座に潰さなかったのは私だ.
 Besidesそれにyou will come to this place to get back MAKINAお前はマキナを取り返すためにこの場所に来たんだろうThe judge was goodその判断は良かったぞ.」
Is there a way何かあるの?!」
In that basementあの地下室にはresearch materials of that time are also confused当時の研究資料も紛れているIn the materialその資料の中にはI wrote down the state that the artificial人工寄生生命体が拒否反応を parasitic creature showed the rejection response in detail示した状態を事細かく書き記しているからな.」


 ディムがロウソクを持って部屋を出ていこうとするので、クロードも床を壊さないようにゆっくりと歩いて着いていく。あの階段下の扉を開けてまた地下室へとくだり地下室へと入ると、木枠の本棚の中の1冊のノートを手に取りクロードにそれを渡した。

 それを開いてみたものの、クロードはあまり科学への理解は無いせいか記されていることにチンプンカンプンであった。“しまった”と思ったディムはすぐに助言する。


Open page 22 of the notebookそのノートの22ページを開いてみろIt should be written in the description8行目の記述に of the eighth line書いてあるはずだ .【It shows a refusal response to一定以上量の電気エネルギー a certain amount of electric energyに拒否反応を示す】.」


 早速そのページを捲り8行目の記述に目を通すと、確かにその通りにある。どういう事かを聞こうとしてディムの方を見ると、すぐに答えた。


There are drawbacks to artificial parasitic organisms人工寄生生命体にも欠点があるThat's electricityそれが電気だIt can also be said to be a side寄生した宿主の神経全ての effect of the ability to read all the electrical電気信号を読み取る signals of the host's nerves that have been parasitic機能による副作用とも言っていい.
 In other wordsつまりif you give electricity to the parasitic寄生した宿主の脳に敢えて host's brain to judge it is dangerous危険だと判断する電気を与えるとthe artificial parasite will move away人工寄生生命体は生き延びる from the host to surviveために宿主から離れていくんだ.」
「…… Then what was the injection that was struck thenじゃあ、あの時打たれた注射は何だったんだ?」
It is a release agent剥離剤だHoweverもっともbecause it is only at that industryそれはあの会社にしかないからwe have to separate it from him by electricity俺たちは電気で奴から分離させなければならないが.」


 その事を前提に踏まえて、ディムとクロードの2人は人工寄生生命体を奪い返すための策を練っていくのであった。
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