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降臨
28.5話
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このパーティーには様々な人間が集う。有名なセレブやアーティスト、俳優や企業取締役、さらに政界の大物までも居る。そして参加者の中には最早最先端技術の先進的存在であるトーマス・コール、セレブ俳優の1人であるウォード・アレクサンドルJr、世界各国で活動している女性アーティストのリエラ・クランバルなどがパーティーを各々楽しんでいた。
だがパーティーに集まるのは、何も純粋に楽しもうとする輩ばかりではない。勿論様々な社交辞令が飛び交い、中には商談の誘いまで持ち込もうとする者とて存在する。しかしそんな会話だけで無いことはご存知の通り、今のところ精々愚痴を喋ったり近況を話し合ったりというぐらいだ。
その中で、アラブ系の服装に身を包んだ男とジャクソン・ビニガンの2人が色々と対談していた。酒の席では思いもよらない所から本音がポロリと出てしまうこともあるために、通常ならそのような会話は慎むべきなのが暗黙の了解である。
が、そのアラブ系の男。大手石油企業の代表取締役はこの時ベロベロに酔っていた。度数が高く飲みやすい日本酒をジャクソンから手渡され、それを堪能している内に酔いが回っていた。余計なことまで口走ってしまいそうな状態へと仕立て上げられたのだ。
「It is because of my own company, inventions that were caught, such as a cold fusion reactor, and they are going bankrupt.」
「I'm sorry to hear that.」
「There is almost no danger. Others are trying to use it because of the environment. ……The business is expensive.」
「To tell the truth, my business is also dangerous.」
「Why also it?」
「People sometimes demonstrate whether deterrent weapons are really needed for peace. However, despite having deterrent weapons that made peace upto now, people are moving to eliminate it.」
「You are right. They don’t know anything. 」
そしてまた日本酒を1杯。既に酔っているのにも関わらず人は何かを紛らわせるために酒を飲むということもあるが、実際のところそうらしい。
「So I have a suggestion.」
「Say anything.」
「How about having that young man of Thomas blow a whirl?」
「Oh That's good. So, how do you do?」
「That's easy. We only do what that young man can not do.」
「But is there anything that Thomas・Cole can not do?」
「I know only one. 」
「What is that?」
「It is to make weapons. That young man will not make weapons. It is because it thinks that it is not a way to peace.」
「Indeed it is good. But what kind of weapon are you making?」
「Actually I’m preparing already, will you go to see after this?」
「Sounds good, let's go see.」
そんな会話が繰り広げられている中、1人向かい側に居るマイノグーラはその会話を小耳に挟んでいた。彼女は邪神、やろうと思えば相手を指定してその人間の声だけを聞くことなんて容易い。アラブ系の男がマイノグーラに気付くが、妖艶な笑みとジェスチャーで難なく回避しその場から離れた。
ウェイターにカクテルの入っていたグラスを渡し、外へと出て行く。そして近くに停まってあったタクシーを拾って宿泊先のホテルを言って案内させた。
「……You have chosen him only. The world has changed a lot. Don’t you agree? Nyarlatohotep.」
そのタクシーから見える光景は一変する。霧が立ち込めていて視界が悪く、家屋はボロボロ。人の気配もせず、あるのはただの静寂のみ。そのような空間へ移動したマイノグーラは特に慌てる必要もなく淡々としており、次第にタクシーは止まった。
そして運転手がマイノグーラの方へと向く。するとタクシーを運転手していたのは、齢7歳ぐらいの男子へと変わっていた。
「良いでしょ、この世界は。」
「えぇ、とても。私達にとっても人間達にとっても最高よね。」
「僕が彼をこの世界に連れて来なかったら、こうはなって無かったからね。感謝してよ?」
「感謝しておくわ。で、停めたのは何でかしら?」
「それぐらい分かってる癖に~。」
本当にこれが邪神なのかすら疑うほどの会話であるが、そんなことコイツらはどうだって良い。ただ自分達が楽しめるせかいであるのならば良いというだけである。
「彼のことだよマイノグーラ。君がそう関わるのは別に良いんだけど、盛ってヤラないでよ? 石に変えられるのだけは御免なんだし。」
「それぐらい分かってるわよ。でも……彼の魂は絶対極上よねぇ、つまみ食いで良いから食べてみたいわぁ。」
「つまみ食いも絶対ダメ。アザトース様が彼の魂のレプリカを作ったから、そっち食べたらどう?」
「あら、そんなのあったの? あぁ、食べてみたいわぁ。ちょっと持ってきて。」
「僕遣いだけどアザトース様のだからね? 何で君に従わなきゃいけないわけ?」
「そんな堅いこと言わずにさぁ。」
「君たまに僕より図々しい時あるよね?」
従兄弟か従姉妹か。どちらかは定かではないにせよ1つの友愛らしきものがあった。……一応ニャルラトホテプには奥さんか居るのだが、多分無性なんだろう。マイノグーラはどうとでも。
「でもまぁ、ちょこっとアクシデントを出しといて良かったよ。おかげで勝手に人間がアクシデントを起こそうとするし。」
「そして彼は手のひらの……いえ、宇宙そのものの上で転がされていくのね。絶対見ていて飽きないでしょう?」
「まぁね。勿論この世界には彼以外にも様々な人間が居るし、そっち見てても飽きないんだよねぇ。例えば……ソロモン王の生まれ変わりとか、ニトクリスの生まれ変わりとか。」
「あら、他にも居たわよね?日本で 日向隼人直系の末裔……だったかしら。殺し屋の中では有名なのよね?」
「あの人間は興味深いね。確か奥さんと娘が居るらしいし。」
「殺し屋なのに?」
「殺し屋なのに。」
えらく邪神どもから世界の人間達を喋られたようだが、そうしたところでその彼ら彼女らの辿る物語がコイツらの影響で勝手に改変されることはない。
既に運命は、自然と修羅の道へと進ませていくのだから。
全ては必ず集う。その時が迫っている。
だがパーティーに集まるのは、何も純粋に楽しもうとする輩ばかりではない。勿論様々な社交辞令が飛び交い、中には商談の誘いまで持ち込もうとする者とて存在する。しかしそんな会話だけで無いことはご存知の通り、今のところ精々愚痴を喋ったり近況を話し合ったりというぐらいだ。
その中で、アラブ系の服装に身を包んだ男とジャクソン・ビニガンの2人が色々と対談していた。酒の席では思いもよらない所から本音がポロリと出てしまうこともあるために、通常ならそのような会話は慎むべきなのが暗黙の了解である。
が、そのアラブ系の男。大手石油企業の代表取締役はこの時ベロベロに酔っていた。度数が高く飲みやすい日本酒をジャクソンから手渡され、それを堪能している内に酔いが回っていた。余計なことまで口走ってしまいそうな状態へと仕立て上げられたのだ。
「It is because of my own company, inventions that were caught, such as a cold fusion reactor, and they are going bankrupt.」
「I'm sorry to hear that.」
「There is almost no danger. Others are trying to use it because of the environment. ……The business is expensive.」
「To tell the truth, my business is also dangerous.」
「Why also it?」
「People sometimes demonstrate whether deterrent weapons are really needed for peace. However, despite having deterrent weapons that made peace upto now, people are moving to eliminate it.」
「You are right. They don’t know anything. 」
そしてまた日本酒を1杯。既に酔っているのにも関わらず人は何かを紛らわせるために酒を飲むということもあるが、実際のところそうらしい。
「So I have a suggestion.」
「Say anything.」
「How about having that young man of Thomas blow a whirl?」
「Oh That's good. So, how do you do?」
「That's easy. We only do what that young man can not do.」
「But is there anything that Thomas・Cole can not do?」
「I know only one. 」
「What is that?」
「It is to make weapons. That young man will not make weapons. It is because it thinks that it is not a way to peace.」
「Indeed it is good. But what kind of weapon are you making?」
「Actually I’m preparing already, will you go to see after this?」
「Sounds good, let's go see.」
そんな会話が繰り広げられている中、1人向かい側に居るマイノグーラはその会話を小耳に挟んでいた。彼女は邪神、やろうと思えば相手を指定してその人間の声だけを聞くことなんて容易い。アラブ系の男がマイノグーラに気付くが、妖艶な笑みとジェスチャーで難なく回避しその場から離れた。
ウェイターにカクテルの入っていたグラスを渡し、外へと出て行く。そして近くに停まってあったタクシーを拾って宿泊先のホテルを言って案内させた。
「……You have chosen him only. The world has changed a lot. Don’t you agree? Nyarlatohotep.」
そのタクシーから見える光景は一変する。霧が立ち込めていて視界が悪く、家屋はボロボロ。人の気配もせず、あるのはただの静寂のみ。そのような空間へ移動したマイノグーラは特に慌てる必要もなく淡々としており、次第にタクシーは止まった。
そして運転手がマイノグーラの方へと向く。するとタクシーを運転手していたのは、齢7歳ぐらいの男子へと変わっていた。
「良いでしょ、この世界は。」
「えぇ、とても。私達にとっても人間達にとっても最高よね。」
「僕が彼をこの世界に連れて来なかったら、こうはなって無かったからね。感謝してよ?」
「感謝しておくわ。で、停めたのは何でかしら?」
「それぐらい分かってる癖に~。」
本当にこれが邪神なのかすら疑うほどの会話であるが、そんなことコイツらはどうだって良い。ただ自分達が楽しめるせかいであるのならば良いというだけである。
「彼のことだよマイノグーラ。君がそう関わるのは別に良いんだけど、盛ってヤラないでよ? 石に変えられるのだけは御免なんだし。」
「それぐらい分かってるわよ。でも……彼の魂は絶対極上よねぇ、つまみ食いで良いから食べてみたいわぁ。」
「つまみ食いも絶対ダメ。アザトース様が彼の魂のレプリカを作ったから、そっち食べたらどう?」
「あら、そんなのあったの? あぁ、食べてみたいわぁ。ちょっと持ってきて。」
「僕遣いだけどアザトース様のだからね? 何で君に従わなきゃいけないわけ?」
「そんな堅いこと言わずにさぁ。」
「君たまに僕より図々しい時あるよね?」
従兄弟か従姉妹か。どちらかは定かではないにせよ1つの友愛らしきものがあった。……一応ニャルラトホテプには奥さんか居るのだが、多分無性なんだろう。マイノグーラはどうとでも。
「でもまぁ、ちょこっとアクシデントを出しといて良かったよ。おかげで勝手に人間がアクシデントを起こそうとするし。」
「そして彼は手のひらの……いえ、宇宙そのものの上で転がされていくのね。絶対見ていて飽きないでしょう?」
「まぁね。勿論この世界には彼以外にも様々な人間が居るし、そっち見てても飽きないんだよねぇ。例えば……ソロモン王の生まれ変わりとか、ニトクリスの生まれ変わりとか。」
「あら、他にも居たわよね?日本で 日向隼人直系の末裔……だったかしら。殺し屋の中では有名なのよね?」
「あの人間は興味深いね。確か奥さんと娘が居るらしいし。」
「殺し屋なのに?」
「殺し屋なのに。」
えらく邪神どもから世界の人間達を喋られたようだが、そうしたところでその彼ら彼女らの辿る物語がコイツらの影響で勝手に改変されることはない。
既に運命は、自然と修羅の道へと進ませていくのだから。
全ては必ず集う。その時が迫っている。
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