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15)解放への扉
「で、どこにいるの?」
アルファだと名乗る男は、数人の男が集う部屋を見回し、梓を探しているようだった。その堂々とした姿勢からは、アルファらしい雰囲気が漂い、周囲の空気を一変させた。
部屋に充満する煙が目にしみる中、アルファの男は視線を梓の方へ向けた。
「ああ、あそこか」とつぶやきながら、一通り辺りを見回すが、すぐには梓に近寄ろうとはしなかった。
「どうやって番になるの?ヒートは自然原理じゃん?」
軽い口調ながらも、どこか棘のある表情が彼の内面を覗かせる。
自分以外の男たちが部屋にいることが、彼の機嫌を損ねたのかもしれない。
丸馬は勝手に男の気持ちを推し量り、その解釈を深めた。
「帰ってもらおうか?」
丸馬が煙草を吸う男たちを指さすと、アルファと名乗る男は横に首を振った。
「いいや、いい。一緒に楽しもう」
その言葉が響くと、引き締まっていた空気が急激に緩んだ。
「おーおー、アルファ様、相当良い性癖持ってらっしゃる」
と、赤髪の男がニヤニヤとしながら口を開いた。
「それで、どうやって番になるんだ?」
赤髪の男の言葉には反応せず、アルファを名乗る男は丸馬に問う。
「大丈夫、すぐにヒートになるから」
「どうやって?」
「んー?魔法の薬」
丸馬の足元には、大小さまざまな小瓶が散乱している。使用済みの注射器が乱雑に置かれ、足を一歩前に出せば、小さな瓶がピシッ、パリンと音を立てて割れ、透明なガラス片が床に散らばる。
その中には、未使用と思われる瓶も転がっていた。
「これ違法じゃないの?」
アルファの男が疑問を投げかけると、赤髪の男はケラケラと笑いながら言った。
「兄さん、この場所に来た時点でそんなの関係ないよー!共犯者だ」
「今すぐ警察に連絡しても?」
「はははっ、そん時は逃げるし、お前はこの街を歩けなくなるだろうな」
赤髪の男の言葉に、アルファの男は何かを感じ取ったのか、口元に笑みを浮かべた。
「兄さんも、楽しみにきたんでしょ。俺の特性の薬でそのオメガを上等のもんにしてやるよ」
その狂気じみた微笑みに、アルファを名乗る男は興味を引かれたのか、にやりと笑った。
「あんたが作ったの?」
「そうそう、作って売ってんの。こういう薬を求めてる人間は意外と居てな。良い儲けになるんだよ」
「そのアプリかサイト見てきたんだろ?そこの利用者の中ではちょっとした有名話だ。知らないなんて言わせないぜ?犯罪って解ってここに来た兄さんも、同罪。楽しもうぜ」
明白な犯罪に満ちた状況を目の当たりにしながらも、アルファの男は自らの笑みを抑えきれない様子だった。
「じゃあ、早速……」
丸馬が注射器と液体の入った瓶を手に取った瞬間、アルファを名乗る男が言った。
「待って」
彼は丸馬の腕を掴み、嬉しそうに続けた。
「現行犯」
その言葉が、丸馬の心に警鐘を鳴らす。
アルファだと名乗る男は、数人の男が集う部屋を見回し、梓を探しているようだった。その堂々とした姿勢からは、アルファらしい雰囲気が漂い、周囲の空気を一変させた。
部屋に充満する煙が目にしみる中、アルファの男は視線を梓の方へ向けた。
「ああ、あそこか」とつぶやきながら、一通り辺りを見回すが、すぐには梓に近寄ろうとはしなかった。
「どうやって番になるの?ヒートは自然原理じゃん?」
軽い口調ながらも、どこか棘のある表情が彼の内面を覗かせる。
自分以外の男たちが部屋にいることが、彼の機嫌を損ねたのかもしれない。
丸馬は勝手に男の気持ちを推し量り、その解釈を深めた。
「帰ってもらおうか?」
丸馬が煙草を吸う男たちを指さすと、アルファと名乗る男は横に首を振った。
「いいや、いい。一緒に楽しもう」
その言葉が響くと、引き締まっていた空気が急激に緩んだ。
「おーおー、アルファ様、相当良い性癖持ってらっしゃる」
と、赤髪の男がニヤニヤとしながら口を開いた。
「それで、どうやって番になるんだ?」
赤髪の男の言葉には反応せず、アルファを名乗る男は丸馬に問う。
「大丈夫、すぐにヒートになるから」
「どうやって?」
「んー?魔法の薬」
丸馬の足元には、大小さまざまな小瓶が散乱している。使用済みの注射器が乱雑に置かれ、足を一歩前に出せば、小さな瓶がピシッ、パリンと音を立てて割れ、透明なガラス片が床に散らばる。
その中には、未使用と思われる瓶も転がっていた。
「これ違法じゃないの?」
アルファの男が疑問を投げかけると、赤髪の男はケラケラと笑いながら言った。
「兄さん、この場所に来た時点でそんなの関係ないよー!共犯者だ」
「今すぐ警察に連絡しても?」
「はははっ、そん時は逃げるし、お前はこの街を歩けなくなるだろうな」
赤髪の男の言葉に、アルファの男は何かを感じ取ったのか、口元に笑みを浮かべた。
「兄さんも、楽しみにきたんでしょ。俺の特性の薬でそのオメガを上等のもんにしてやるよ」
その狂気じみた微笑みに、アルファを名乗る男は興味を引かれたのか、にやりと笑った。
「あんたが作ったの?」
「そうそう、作って売ってんの。こういう薬を求めてる人間は意外と居てな。良い儲けになるんだよ」
「そのアプリかサイト見てきたんだろ?そこの利用者の中ではちょっとした有名話だ。知らないなんて言わせないぜ?犯罪って解ってここに来た兄さんも、同罪。楽しもうぜ」
明白な犯罪に満ちた状況を目の当たりにしながらも、アルファの男は自らの笑みを抑えきれない様子だった。
「じゃあ、早速……」
丸馬が注射器と液体の入った瓶を手に取った瞬間、アルファを名乗る男が言った。
「待って」
彼は丸馬の腕を掴み、嬉しそうに続けた。
「現行犯」
その言葉が、丸馬の心に警鐘を鳴らす。
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