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アルゴーの集落編 〜クーリエ 30歳?〜

X-43話 集落を訪れた理由

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 コルルは黙って俺の話を、長く長く続く話を聞いてくれた。時折、ユウシがあまりの話の重さに嘲笑まじりの冗談を入れ込んでくるが二人ともそれに触れることはなく、次第に彼の口数も減っていった。

特に、彼が操られてこの集落を炎で包んだという話と、集落で秘密裏に行われていた多数の人的被害を生んだ人体実験に関する話は言葉を選びながら慎重に話さざるを得なかった。それは、内容によっては彼女の心に大きな傷を作るきっかけになり得る。全ての話を終えた時、彼女は一筋の涙を朴に描いてみせた。すでに夜は明けつつある。その光に当てられて、それは一夜まともに寝なかった俺の目にはとても眩しく映った。

「色々あったんだね、この集落で。そしてユウシさんにも。でも、それなら一番早くに誤解を招くような言動はしてほしくなかったわ。あんな全て自分が悪いんです、みたいな感じで登場されるとこちら側も強く当たってしまうものだわ」

コルルの言葉にユウシは首をすくめてみせる。まるで気にしないと言いたげそうな手振りだ。

「僕が今回の全てを引き起こしたわけではないけど、半分ほど関与しているのは真実だからね。嘘はつきたくないのさ。ところで大きく話は逸れるんだけど、なぜクーリエ達はこの集落に訪れようと思ったんだい? あんまいい噂なかったでしょ、この集落。偏屈者たちの集まりだし、みんな医学的なことにしか興味がない。

別に医学的な知見を求めてきたようにも見えないし。なんか他に理由とかあるのかって会った時から不思議に思ってたんだ。もしかするとクーリエと一緒についてきた女性がいるって話だったし、その人が病気かなんかしてるのかと思って今夜きてみたけど元気そのものだしね」

「そういえば、私もクーリエさんにこの集落に行くってことは教えてもらったけど、それ以上の目的とかは聞いてなかったわよね・・・。何をしたくてアルゴーにきたかったの?」

 二人から同時に注がれる視線。俺はこの時二人に聞かれてようやくハッとした。なぜ、自分はこの集落にきたかったのかと。その明確な理由が色々立て続けに起きたことがきっかけで頭から綺麗に抜け落ちていた。

「あぁ。ちゃんとした理由があるよ。つい今しがた思い出したんだけど」

 冷たい視線がコルルから向けられるが、それは無視しておこう。

「人に会いにきたんだ。今も生きているか分からないが、この集落の出身のね」
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