Light And Darkness

怠惰

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第1話 『Society』

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獲物

俺は最近社会人となった 善明 。

学生時代と社会人生活とのギャップに一抹の不安を抱いている。

学生は自由。対して社会人ときたら。

拘束 拘束 拘束

時間に縛られて生きている。

俺はそんな この国 に叛逆を誓う。

何時も中立的な立ち位置を維持したが、強く思えた太い糸は脆すぎた。

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俺は将来警察官になる為に、警察学校に通う    和麻 。

父が警察官という事もあり、憧れを持ち日々厳しい訓練に勤しんで生きている。

根が真面目な性格も相まって、 悪 を嫌っている。

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俺は高校卒業後も定職に就かず、ギャンブルで生計を立てている 勇太 。

しかしこんな生活も長くは続かないと悟り始めている。

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僕は 日向 。

家庭に恵まれ念願のIT系の会社に入社した。

裕福な環境下で何一つ不自由は無かったが、
満たされない毎日を生きている。

満たされても満たされても、補いきれない モノ を胸に抱えている。

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全ては此処から始まった。

和麻「今日も一日やり切った」

馴染みのバーで酒を嗜んでいた時だった。

?「お兄さん。」

和麻「!?」

相手の顔を観察しながら、言葉では表せない モノ を感じた。

僅かな沈黙の後。

和麻「どちら様ですか?」

?「お兄さんにとっての イイ人 だよ。」

怪しさを感じ無視して帰ろうとした時。

?「お兄さん。 職 には満足してるが
 対価 は不満だろ?」

和麻「初対面の人間に何を言っているんだ。」

何故この男は俺の抱える モノ を知っているんだ。

?「隠しても無駄。調べは付いてる。」

和麻「いったい俺をどうするつもりなんだ。」

間髪入れずに男は言う。

?「9日間のゲームをするだけだ。」

和麻「ゲーム? どんな?」

俺は興味を抱いていた。
ギャンブル好きでもある俺にとって、釣られやすいワードだった。

?「まだ情報は開示しない。残り2人の仲間が必要だ。」

和麻「仲間? それより一体お前は誰なんだ?」

善明「俺は 善明 だ。 また連絡する。」

男は紙切れを俺に渡して立ち去った。

和麻「携帯の番号か。」

ゲームの情報聞けなかったな。
一応番号登録しておくか。

和麻「俺も帰るか。」 

俺は帰宅しベットの上で考えていた。
あの男の話を今夜の酒の肴にしようと思い、地元の仲間に連絡した。

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グループライン

和麻「おーい皆起きてるか?」

勇太「久しぶりだなカズ!」

日向「こないだ呑んで以来だよな。」

和麻「それより良いネタ入ったんだよ!!」

勇太「どんな話?」

日向「気になるな。」

和麻「今日怪しい男に、バーで声掛けられてさ。何だか俺の情報にも詳しくて気持ち悪くてな。」

勇太「男にもモテモテか?」

日向「新しい世界。」

和麻「違うっての! それにヤバそうなゲームに誘われたんだ。」

勇太「ゲーム?」

日向「なにそれ?」

和麻「あぁ。 9日間のゲームに誘われたんだ。」

勇太「随分と長いな。」

日向「胡散臭さがプンプンするね。」

和麻「念のためお前達も気を付けてくれ。」

勇太「ところで。」

日向「男の名前は?」

和麻「確か 善明 とか言ってたな。」

勇太「ふーん。 聞いた事ないな。」

日向「まぁ一応用心しておくよ。」

和麻「それじゃまたね。」

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ジャラジャラ。ポンポン。

勇太「よっしゃ捲ったぞ。」

煙草をふかしながら、今日も勝てると思っている時だった。

?「もしもーし。」

俺は不意をつかれる形で肩を叩かれた。

勇太「アンタ誰?」

目の前には見ず知らずの男が立っていた。

善明「俺は善明だ。それっぽっちの金で満足か?」

表情1つ変えず男は言ってきた。

勇太「なんだと? オモテ出ろや!」

しかし男は冷めきった目で一言。

善明「もっと楽しく稼げるゲームがある。」

勇太「ゲーム!?」

この男さっき 善明 と言ったな。
まさか和麻に聞いたのはコイツの事か!?
視線を外し考えている勇太に 善明 が言う。

善明「君ウソが下手な人間だね? 隠しても無駄なんだよ。」

和麻の言っていた通りだ。
俺の内情を把握している様な口調。
考える勇太に対し男は言う。

善明「ゲームの日程が決まり次第連絡する。」

和麻の時と同じく紙切れを差し出す。

勇太「携帯の番号?」

あの 善明 とか言う男は何者だ?
兎にも角にも後で2人に話すか。

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グループライン

勇太「お疲れ。和麻 日向 居るか?」

和麻「おう。どうした?」

勇太「実は今日あの 善明 とか言う男に出会った。」

和麻「!? 何処で??」

勇太「行きつけのパーラーだ。急に後ろから肩叩かれて立ち話になったんだ。」

和麻「マジかよ。あの男居場所まで把握してるのか!?」

日向「本当かよソレ。」

勇太「 日向 丁度良かった。事の流れは把握出来たか?」

日向「ああ。次は俺の番か。」

和麻「まだ決まった訳じゃない。 日向 明日は学校休め。」

日向「いきなり言われてもな。金も掛かってるしな。」

和麻「頼む。俺や勇太は無事だが、危害を加えられる危険だってあると思う。」

勇太「和麻が本気で言ってるんだ。 日向 頼むよ。」

日向「分かったよ。学校も休むし、いつもと同じ行動は取らないようにする。」

勇太「遅い時間に悪かったな。」

和麻「構わないよ。また明日な。」

日向「またね。」

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日向「しかし学校休むと時間が長いな。」

ぼーっとベットから天井を眺めていた時。

ピーンポーン

母「はーい。どちら様でしょう?」

?「宅急便です。お荷物を届けに来ました。」

ガチャ 

母「!?」

声を出す間も無く、何者かに口を塞がれ意識を失った。

日向「ん?宅急便にしては対応長いな。」

ドン ドン ドン ドン 

何者かが階段を登る足音が聞こえる。

日向「母さん?」

問い掛けに反応は無かった。
まさか、いやそんなはずは。 

カチャ

日向「なっ!?」

目の前に立っているのは全く面識の無い男。
恐怖と怒りが入り混じる複雑な感情だった。

日向「お前誰だ?母さんに何をした!?」

無言を貫いていた男が口を開く。

善明「俺は 善明 。まぁそんなに怖がらないでくれよ。親も無事だよ。」

日向「一体何の為に不法侵入までして会いにきたんだ!?」

男は不気味な笑みを見せつつ話す。

善明「君も知っての通りだが。ゲームに参加してもらう。」

日向「そんな訳分からないゲーム参加出来る訳ないだろ!」

善明「君達に 拒否権 なんて無いんだよ。」

真顔で男は言い放った。

日向「そんな理不尽な。」

善明「安心しろ。命までは取らないさ。ただ9日間だけゲームをするだけだ。」

そう言って紙切れを手渡す。

日向「ケーバン。」

善明「ゲームの日程が決まり次第連絡をする。」

そう言い残して男は去った。

日向「うぅ。」

俺は膝から崩れ落ちた。
何をしてもヤツからは逃げられないのか。
悶々と頭を抱えながら思いだす。

日向「そうだ。アイツらに連絡しなきゃ」

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グループライン 

日向「皆居るか?」

和麻「 日向 。 大丈夫だったか?」

勇太「心配だったぞ。」

日向「ヤツが来た。俺の家に。」

和麻「何だと!?」

勇太「どうして居場所が。」

日向「安心してくれ。俺も母さんも無事だ。ただ恐ろしかった。」

和麻「本当に何者なんだアイツ。」

勇太「しかし俺達の事を知り過ぎじゃないか?」

和麻「確かにな。 善明 なんて知り合い居たっけな?」

勇太「俺達が忘れてるだけなんじゃないのかな?」

日向「これからどうなるんだ。俺達。」

和麻「分からない。だだ1つ言える事は全員一緒に居ることだ。」

勇太「そうだな。何があるか分からないし。」

日向「そうしよう。」

和麻「明日俺の家に集合してくれ。」

勇太「了解。」

日向「オッケ。」

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平凡な生活から窮地に立たされる3人。

彼等の運命は。


     次回に続く。
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