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04話 薬師?
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俺は考えていた。
どうやって薬の効果を発動させる事ができるのか。
さっきまでは『目覚めよ。俺の力!』と色々中二病風なことを部屋で叫んだりしたが、反応は全くこれっぽちも無い。
恥ずかしい。
薬の効果はいずれ分かるだろう。
考えることが面倒と感じたので、薬の力がどんなものなのか妄想することにした。
あの薬は遺伝子改造する薬で、勇者と同じ遺伝子となり最強とか。
あの薬は魔力を人間の限界まで増やし、最強魔法師になるとか。
あの薬は……とか。
ラノベやマンガで知り得た知識を最大限まで活用して妄想を膨らませていた。そんな時、頭にふわっとある言葉が出てきた。
薬師?
薬師ってあの紙のも書いてあった薬師なのか?
でも何でこんな言葉が思いついたんだろう……。
光は頭の隅にあった薬師と書いてある言葉に、注目した。
すると薬師と書いてある言葉はパッと眩しい光を放ったと思うと、すぐに収まりそこには薬師と書いてあった言葉1文字も無い。
消えた文字を頭の中で浮かべてみると、各薬の作り方のレシピが書かれていた。まるで今まで薬師をやっていたような感覚だった。
えっと……もしかしてこれが薬の力?
冗談でしょ?
でもこれしか考えられないよな……。
てか薬で薬師になるのって複雑な気持ちだな。
よし。こうなったら本当に薬師になったのか実験してみよう!
リュックサックにお金を詰め込んで、他は何にも入れなかった。
理由は薬を作るために必要な器具や材料を買い、中に入れるスペースが必要だからだ。
何が必要なのかは頭が勝手に憶えているので、特に困ることはない。
街の大通りには冒険者ギルドがあるため、防具屋、薬屋、紹介屋と全部揃っている。
俺も一応冒険者なのでギルドには好きな時に入ることが出来る。
あくまでも今回は薬屋で必要な物を買うだけなので、寄ることはない。
ここが薬屋か。
案外綺麗だな。
でも少し薬の香りがするな。
当たり前か。
中に入っていくと、外見と似合わないほど綺麗だった。
店員はレジで他の客と話をしていたので、1人で探すことにした。
アルコールランプ風のランプ。すり鉢。たらい。マッチ。沸騰しても割れないビンにそれを置く三脚。薬の元になる素材。布。あれ? 出来た薬を入れるビンがない?
材料や、器具が並んでるところを見るとやはり無い。
店員に聞こうとレジに向かおうと振り向くと、ビンが置いてあったのに気が付く。
ビンはレジの置くに綺麗に並べられている。
レジで頼む物だと理解したので、早速買う物をレジのカウンターに置きビンを四つ頼んだ。
「全部で4ゴル50シルバね」
「はい」
この世界のお金はゴル、シルバと二つで成り立っている。
1ゴルは100シルバでなってる。
村人では1ゴルは貴重で家によっては家宝にされてる程貴重な物。
王からは20ゴル貰ったので、そうとうな大金を手に入れたことになる。
結果、お金は大切!
買った物をリュックサックに入れてると、店員から声がかかってきた。
「おまえさん薬師を始めるのかい?」
あれ?まずかったかな?
王から貰った紙には特に条件などはなかったはずなんだけど……。
変な事を口に出さないように注意しないと。
「はい。始めようかな、と思っています」
「……それが何か?」
「いーや。薬師になるのは簡単だが、薬を作るまでは難しいから。まあ頑張りな」
そういう事だったのか。
薬師は貴族でないとなれないとか、あの紙には書いてない条件とかがあるかと思った。
取り敢えず良いことを聞いたな。
でも、この薬の力ってまだどんな効果があるか分からないんだよな~。
だからこその実験か。
「そうなんですか。それは良いことを聞きました。なんとか頑張ってみます」
薬屋を出ると、日が傾き始めていたので帰り道の露店で夕食の食材を買うことにした。
今日の夕食はトマトソースを絡ませたパスタにすると薬屋に向かってる途中で決めていたので、迷うことなく食材を買った。
リュックサックには薬を作る器具や素材が入って満杯だったので、お店の人に頼み袋の中に食材を入れる。
トマトに、乾燥した麺に、ベーコンに、玉ねぎに、にんじん。
よし! 全部揃ってるな。
やっと帰れるな。
後ろにも、前にも重い物を持つのはそこそこ大変だったが、なんとか家までたどり着く。
部屋に入ると、キッチンに食材を。リビングにリュックサックを置き。
光はこっていた肩を回しながら『はぁー疲れた』とおじさんぽく呟いた。
さてと! 早く夕食を作らないと薬を作る時間が無くなってしまうな。
えっとー調味料や調理器具は揃ってるよな。
よーし! 作るぞ~!!
まずは初級水魔法で桶に水を入れトマトを軽く洗い、その後木のボウルに入れ潰します。
え? 何故魔力0のお前が魔法を使えているのかって? それは俺の方が知りたい。だってあの薬を飲んだら使えるようになっていたんだから。
潰し終えたら、水(同じく水魔法)が入った鍋に火(これも初級火魔法)を通し、沸騰するまで待ちます。
沸騰するまでの時間で、ベーコンをお好きなサイズで切ります。にんじんと玉ねぎもお好きなサイズで。
鍋の水が沸騰したら、乾燥した麺を入れ少し芯が残るぐらいまで茹でます。
麺が芯が少し残るまで茹でたら、フライパンに移し、切った具材と潰したトマトを入れ炒めます。切った具材に火が通ったら、火を止め器に盛りつけます。
完成でーす!!
お好みでペッパーを入れるとより、美味しくなります。
器をリビングにある机に置くと、冷めないうちに食べた。
うんうん。我ながら良い物を作ったな~。
普通に美味しい。
はっ! 食べるのに集中してたらもう無くなってしまった。
また今度作れば良いか。
食べ終えると、使った食器や調理器具を水魔法で洗い、早速薬を作る準備をした。
床に器具と材料を並べ、頭に入ってる知識で薬を作る。
えっと何々今から作る薬は回復薬なのか。
どれくらいの価値なのか分からないが、作ってみよう。
まずは薬の基礎となる薬草を水で良く洗い、すり鉢の中に入れ擦り潰し。
潰した薬草を布で絞り、三脚の上に置いたビンの中に入れる。
そして絞り汁を殺菌するために、火のついたアルコールランプ風のランプで熱す。
その後は、薬を入れるビンに絞り汁を入れ粗熱が取れたあと薬師専用魔法をかけて回復薬が完成。
あれ? 店の人は難しいとか言ってたけど、あっさり出来てしまった。
これがあの薬の力なのか。
それに魔法の才能が無かったのに、魔法が使えるようになっている。薬師専用魔法だけなのか? これも実験する必要があるな。
出来た回復薬をリビングの机に飾ると、ある事が頭に出てきた。
他にはどんな薬が作れるんだろう。と。
回復薬の時のように、頭の中に入ってる知識を見ていると気になった薬の名前が片隅の方にあった。
英雄薬。
薬の詳細を見ると、書いてある材料は水、薬を入れるビン。としか書かれてなかった。材料はここに揃ってるのでお試しに作ってみることにした。
水を薬を入れるビンに入れ、薬師専用魔法をかけるだけか。
専用魔法が少し特殊なだけで、他は簡単だけど本当にこれで完成するのかな?
物は試しだ。
『英雄の魂よ――聖水に宿りたまえ――『オーガス』」
専用魔法(詠唱魔法)を唱えると、ビンの中に入っていた水が白く白銀に輝き始めた。輝きは徐々に収まり、中に入っていた水は透き通るような金色に変化していた。
おお? 成功した!?
まさか俺ってもの凄い力を手にしたんじゃ……。
ま、まあこれも迷宮で使ってみないと分からないからな。
明日行くか。
その後も回復薬を何個か作り、ベッドに横になり眠りにつく。
どうやって薬の効果を発動させる事ができるのか。
さっきまでは『目覚めよ。俺の力!』と色々中二病風なことを部屋で叫んだりしたが、反応は全くこれっぽちも無い。
恥ずかしい。
薬の効果はいずれ分かるだろう。
考えることが面倒と感じたので、薬の力がどんなものなのか妄想することにした。
あの薬は遺伝子改造する薬で、勇者と同じ遺伝子となり最強とか。
あの薬は魔力を人間の限界まで増やし、最強魔法師になるとか。
あの薬は……とか。
ラノベやマンガで知り得た知識を最大限まで活用して妄想を膨らませていた。そんな時、頭にふわっとある言葉が出てきた。
薬師?
薬師ってあの紙のも書いてあった薬師なのか?
でも何でこんな言葉が思いついたんだろう……。
光は頭の隅にあった薬師と書いてある言葉に、注目した。
すると薬師と書いてある言葉はパッと眩しい光を放ったと思うと、すぐに収まりそこには薬師と書いてあった言葉1文字も無い。
消えた文字を頭の中で浮かべてみると、各薬の作り方のレシピが書かれていた。まるで今まで薬師をやっていたような感覚だった。
えっと……もしかしてこれが薬の力?
冗談でしょ?
でもこれしか考えられないよな……。
てか薬で薬師になるのって複雑な気持ちだな。
よし。こうなったら本当に薬師になったのか実験してみよう!
リュックサックにお金を詰め込んで、他は何にも入れなかった。
理由は薬を作るために必要な器具や材料を買い、中に入れるスペースが必要だからだ。
何が必要なのかは頭が勝手に憶えているので、特に困ることはない。
街の大通りには冒険者ギルドがあるため、防具屋、薬屋、紹介屋と全部揃っている。
俺も一応冒険者なのでギルドには好きな時に入ることが出来る。
あくまでも今回は薬屋で必要な物を買うだけなので、寄ることはない。
ここが薬屋か。
案外綺麗だな。
でも少し薬の香りがするな。
当たり前か。
中に入っていくと、外見と似合わないほど綺麗だった。
店員はレジで他の客と話をしていたので、1人で探すことにした。
アルコールランプ風のランプ。すり鉢。たらい。マッチ。沸騰しても割れないビンにそれを置く三脚。薬の元になる素材。布。あれ? 出来た薬を入れるビンがない?
材料や、器具が並んでるところを見るとやはり無い。
店員に聞こうとレジに向かおうと振り向くと、ビンが置いてあったのに気が付く。
ビンはレジの置くに綺麗に並べられている。
レジで頼む物だと理解したので、早速買う物をレジのカウンターに置きビンを四つ頼んだ。
「全部で4ゴル50シルバね」
「はい」
この世界のお金はゴル、シルバと二つで成り立っている。
1ゴルは100シルバでなってる。
村人では1ゴルは貴重で家によっては家宝にされてる程貴重な物。
王からは20ゴル貰ったので、そうとうな大金を手に入れたことになる。
結果、お金は大切!
買った物をリュックサックに入れてると、店員から声がかかってきた。
「おまえさん薬師を始めるのかい?」
あれ?まずかったかな?
王から貰った紙には特に条件などはなかったはずなんだけど……。
変な事を口に出さないように注意しないと。
「はい。始めようかな、と思っています」
「……それが何か?」
「いーや。薬師になるのは簡単だが、薬を作るまでは難しいから。まあ頑張りな」
そういう事だったのか。
薬師は貴族でないとなれないとか、あの紙には書いてない条件とかがあるかと思った。
取り敢えず良いことを聞いたな。
でも、この薬の力ってまだどんな効果があるか分からないんだよな~。
だからこその実験か。
「そうなんですか。それは良いことを聞きました。なんとか頑張ってみます」
薬屋を出ると、日が傾き始めていたので帰り道の露店で夕食の食材を買うことにした。
今日の夕食はトマトソースを絡ませたパスタにすると薬屋に向かってる途中で決めていたので、迷うことなく食材を買った。
リュックサックには薬を作る器具や素材が入って満杯だったので、お店の人に頼み袋の中に食材を入れる。
トマトに、乾燥した麺に、ベーコンに、玉ねぎに、にんじん。
よし! 全部揃ってるな。
やっと帰れるな。
後ろにも、前にも重い物を持つのはそこそこ大変だったが、なんとか家までたどり着く。
部屋に入ると、キッチンに食材を。リビングにリュックサックを置き。
光はこっていた肩を回しながら『はぁー疲れた』とおじさんぽく呟いた。
さてと! 早く夕食を作らないと薬を作る時間が無くなってしまうな。
えっとー調味料や調理器具は揃ってるよな。
よーし! 作るぞ~!!
まずは初級水魔法で桶に水を入れトマトを軽く洗い、その後木のボウルに入れ潰します。
え? 何故魔力0のお前が魔法を使えているのかって? それは俺の方が知りたい。だってあの薬を飲んだら使えるようになっていたんだから。
潰し終えたら、水(同じく水魔法)が入った鍋に火(これも初級火魔法)を通し、沸騰するまで待ちます。
沸騰するまでの時間で、ベーコンをお好きなサイズで切ります。にんじんと玉ねぎもお好きなサイズで。
鍋の水が沸騰したら、乾燥した麺を入れ少し芯が残るぐらいまで茹でます。
麺が芯が少し残るまで茹でたら、フライパンに移し、切った具材と潰したトマトを入れ炒めます。切った具材に火が通ったら、火を止め器に盛りつけます。
完成でーす!!
お好みでペッパーを入れるとより、美味しくなります。
器をリビングにある机に置くと、冷めないうちに食べた。
うんうん。我ながら良い物を作ったな~。
普通に美味しい。
はっ! 食べるのに集中してたらもう無くなってしまった。
また今度作れば良いか。
食べ終えると、使った食器や調理器具を水魔法で洗い、早速薬を作る準備をした。
床に器具と材料を並べ、頭に入ってる知識で薬を作る。
えっと何々今から作る薬は回復薬なのか。
どれくらいの価値なのか分からないが、作ってみよう。
まずは薬の基礎となる薬草を水で良く洗い、すり鉢の中に入れ擦り潰し。
潰した薬草を布で絞り、三脚の上に置いたビンの中に入れる。
そして絞り汁を殺菌するために、火のついたアルコールランプ風のランプで熱す。
その後は、薬を入れるビンに絞り汁を入れ粗熱が取れたあと薬師専用魔法をかけて回復薬が完成。
あれ? 店の人は難しいとか言ってたけど、あっさり出来てしまった。
これがあの薬の力なのか。
それに魔法の才能が無かったのに、魔法が使えるようになっている。薬師専用魔法だけなのか? これも実験する必要があるな。
出来た回復薬をリビングの机に飾ると、ある事が頭に出てきた。
他にはどんな薬が作れるんだろう。と。
回復薬の時のように、頭の中に入ってる知識を見ていると気になった薬の名前が片隅の方にあった。
英雄薬。
薬の詳細を見ると、書いてある材料は水、薬を入れるビン。としか書かれてなかった。材料はここに揃ってるのでお試しに作ってみることにした。
水を薬を入れるビンに入れ、薬師専用魔法をかけるだけか。
専用魔法が少し特殊なだけで、他は簡単だけど本当にこれで完成するのかな?
物は試しだ。
『英雄の魂よ――聖水に宿りたまえ――『オーガス』」
専用魔法(詠唱魔法)を唱えると、ビンの中に入っていた水が白く白銀に輝き始めた。輝きは徐々に収まり、中に入っていた水は透き通るような金色に変化していた。
おお? 成功した!?
まさか俺ってもの凄い力を手にしたんじゃ……。
ま、まあこれも迷宮で使ってみないと分からないからな。
明日行くか。
その後も回復薬を何個か作り、ベッドに横になり眠りにつく。
応援ありがとうございます!
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