死んだと思った愛犬が生き返った。何言っているか(略

雪楽党

文字の大きさ
1 / 11

1話

しおりを挟む
 幼いころ、犬を飼っていた。
 何時からかはよく覚えてはいないが親が言うには俺が一歳の時からだそうだ。
 中型で白く、美しい犬。
 可愛くて、愛らしくて、時には自分勝手で、でも普段は忠実な犬。
 俺は妹のような感覚を抱いていた。
 恋心とはまた違う愛情。
 そんなものを俺は抱いていた。


 長い夢から目を覚ますと普段とは違うぬくもりを感じた。
 毛布でも、布団でも味わえないような温かさに俺は普段よりも目をつむっていたかった。
 目を閉じながら問答するが、結局学校に遅刻してしまったら元も子もない。
 要約すれば今起きるしか俺に選択肢はなかったのだ。
 目を開け、いまだ覚醒しきらない脳で前を見つめるとそこには銀色の髪の少女がいた。
 肌は白く、眼は黒い。
「美しい」を思わず出かけた言葉を飲み込む。
 初対面の相手にいきなりこんなことを言うのは失礼だし、なにより自分の中で何かが引っかかっていた。
 そもそも――
 この少女は誰だ?
 目の前の少女は俺のことをじぃっと見つめている。
 すると満足したように頬を緩め、笑った。
「お兄様、おはようございます」
 少女の声は透き通っていて、聞いていて心地よかった。
 少女はゆっくりと起き上がり、また俺を見て
「では、ご飯の準備をしてきますね」
 というと、居間のほうに向かっていった。
 俺は呆然とするしかなかった。
 それ以外に、何も出来なかった。
 部屋の隅にある電子時計は8月20日の午前7時と表示していた。
 
 居間に向かうとみそ汁と、生姜焼きのにおいが漂ってきた。
 中央に置かれたテーブルの上を見るとそこには皿に盛られた生姜焼きとキャベツの千切り、ご飯と箸がそれぞれ二人分置いてあった。
 視線を上にあげると先ほどの少女が鼻歌を歌いながら肩を揺らしてみそ汁を盛り付けているのが見えた。
 背後からドアの閉まるガチャンという音が響くと少女は振り返った。
 少し驚いた表所を見せた少女だったが、すぐに笑顔を見せた。
「いま準備しますね」
 俺の言葉など待つことなく少女はこう言ってきた。
 呆然とする俺は「あ、あぁ」としか返せない。
 コト、コト、と二つの味噌汁が入った碗を置くと少女は椅子の脇に立ってこちらを見つめた。
「さ、どうぞ」
 少女に促されるまま、俺は少女の向いにおいてある椅子に座る。
 俺が座ったことを確認すると少女も静かにちょこんと椅子に座った。
「?」
 俺が座ったままで何もしないところを見せ少女は小首をかしげる。
「た、食べていいのか?」
 耐え切れずに訪ねた。
 このにおいをかいでは腹の虫が静かにしているはずもなく、空腹を抑えきれそうにない。
 少女は俺の問いに満面の笑みで「はい」と嬉しそうに答えていた。
 おそるおそる箸を手に取り、生姜焼きをつまんで口に運ぶ。
「うまい」
 思わず口に出ていた。
 ハッと思い前を見上げると少女はうれしそうに笑っていた。
「な、なんだよ」
「いえ、美味しかったんですか」
 語尾に音符が付くのではないかというような口調で少女は喜ぶ。
 俺は少し戸惑いながらもご飯と生姜焼きを口に運び続ける。
 美味い、美味いのだ。
 一人暮らしを始めて二年目、最近これほどまでに美味い飯を食ったことはあっただろうか。
 いや、ない。
 学食にも勝り、そこらの定食屋にも勝るこの味、まるで俺の好みを把握しているかのような味だった。
 気が付けば、皿の上は空になっていた。
 少し残念にも思ったが、余っている味噌汁を一気に飲み干す。
 これもまた、美味い。
 塩分や出汁の濃さ、すべてが俺好みだ。
「ご馳走様でした」
 これほどまでに早く食べ終わったのも始めただ。
 内心驚きながら少女を見る。
 こちらを見て微笑んで、何か楽しそうにしている。
「お粗末様でした」
 俺の言葉に少女はこう返すと小さな手で箸を持ち上げて小さく「いただきます」と言って生姜焼きやらを小口に運び始めた。
 その一挙手一投足が小さく愛らしい、というべきなのだろうか。
 見た目小学生にも見える少女がこれほどまでにしっかりしていることに驚きを隠せない。
「なぁ」
 気が付けばそんな言葉を口にしていた。
 少女は箸をと止めて「何でしょう」と問い返す。
「お前、何者だ」
「どういうことですか?」
 少女は首をかしげておどけて見せる。
 からかっているようにしか見えない。
 相手が何者かと自分は知っているかのようにすら思えるその余裕を持った態度。
 忘れるはずもないという自信を持った態度に俺は揺らぐ。
 だが、と。
 こんな小学生のような少女にこんな知り合いはいない。
 いたとしても単身で自宅に上がり込んでくるような子に身に覚えはない。
「解らないん……ですか?」
 今まで余裕の笑みを見せていた少女は突如、不安そうな表情を見せる。
 その表情の変わり方に俺は焦る。
 少女を泣かせるたら男の恥。 
「まて、まってくれ!」
 思わず叫んでいた。
 泣かせてはいけない、脳が警鐘を鳴らす中脳を全力で回転させる。
 白い髪、白い肌、俺をよく知っている。
 俺を『兄』と呼ぶ、これが一番のポイントだろう。
 朦朧としている意識の中でのことだったから見逃していたが、まさか――
「ユキ、なのか?」
 思いついたのは、愛犬の名前だった。
 一昨年の夏、誰にも見守られることなくこの世を去った、愛犬の名前だった。
 少女は俯いて、何も言わなかった。
 ポタリ、ポタリと小さな滴を床に落とす。
「はい、そうでうす!」
 顔をバッと挙げたユキは満開の笑みで笑った。


「て、ことがあったんだよな」
 教室で俺は親友と話していた。
「は? なにそれ羨ましいんだが」
 俺の前にいるのは柳瀬海斗(やなせかいと)。
 顔だちも整っていて、高身長。体系も悪くないのだが――
「朝からロリとベッドインとか裏山けしからん」
「お、おう」
 俺は困惑しながら相槌を打つ。
 いわゆるイケメンという部類の海斗にも欠点はある。
 周囲の女子から「またやってる……」だの「あれがなければねー」などと憐みの目線が向けられる。
「で、その娘のおっぱ――」
海斗がそこまで言いかけたところで彼の頭上に教科書が振り落とされた。
ガン! という鈍い音を当てた後に海斗は机に突っ伏した。
「海斗はん? そーゆうのはよくないと思うんはうちだけやろか?」
 海斗を見下しながら声を発したのは鵜原早紀(うのはらさき)、関西生まれの少女でその訛りも隠すことなく発露している。
 早紀の見た目は長く伸びた茶色い髪に少し茶色が勝った瞳、目は垂れていて温厚そうに見えが、実のところ怒らせると一番怖いのは早紀だろう。
「いってぇな!」
 海斗はバッと振り返り早紀に抗議する。
「うちはセクハラ発言をしようとした愚か者に罰をくだしただけやんからな~」
「なにがセクハラなんだよ!」
「女の子の胸の話を女子の前でするのはセクハラとちゃうんか!?」
「どこに女子がいるんだよ!」
「ここにいるやろ!」
「おぉ、そういえばお前女だったな! すまんすまん失念してたわ」
 海斗があおると早紀は机の上に肩掛けバッグをたたきつけた。
「なんやて!?」
「なんか文句あんのかよ!」
「文句ないように見えるんかいね!」
 まぁまぁ、と二人の仲裁に入ろうとするが「お前は黙っとき」だの「うるせぇ」だのの心の声が聞こえ、おとなしく席に座ることにした。
 うるさいなぁとも思うんだが、実際のところこんな毎日が楽しい。
 ただ、そろそろ終いにしないと――
 突然、教室のドアが開いた。
「みんなおはよー」
 中性的な声が響く。
 高いことには高いのだが、どうしても男としての声が抜けない声だ。
「あら~、鵜原ちゃんに柳瀬くん、けんかしてるのー?」
 いわゆるおかまと呼ばれるこの教師は俺たちの担任、築茂優斗(つくもゆうと)。
 彼は教団の前に立つと垂れ下がった優しい目で二人を見ると
「喧嘩しちゃ……だめよ?」
 と本人はかわいらしいと思っているのであろうしぐさで二人を注意した。
 だが二人は――
「うっせぇクソカマ野郎!」
「うるさいねん、この半端者!」
 などと築茂を睨んで叫んだ。
 その瞬間、微笑むような眼で見ていた築茂の表情が曇った。
「お、おい。まずいって」
 俺が二人をいさめようとするが時すでに遅し。
「てめぇら二人とも後で職員室な」
 冷え切った築茂の声。
 一瞬誰だがわからなくなるのだが、まぎれもなくこれは築茂の声なのだ。
 普段は温厚で、優しい築茂なのだがある一定の条件に限ってこのように怒ることがある。
「助けてくれ」という無言の圧力を海斗にかけられるが俺は無視して黒板の前に立つ築茂のほうを見る。
「まぁそんなことはどうでもいいのよ。今日はみんなにお知らせがあるの」
 築茂の言葉にどよめきが起きる。
 この男? がこういうことを言うということはとてつもなく嫌なことかもしくはよいことなのだ。
「お、おい。何か知ってるか?」
 海斗が不安そうな顔で訪ねてくる。
 こいつのすぐ顔に感情が出るところは嫌いじゃない。
「まぁ、悪いことじゃないとだけ」
 俺から言えるのはそれだけだ。
 正直言って俺も事態を飲み込めていない。
「何だよ、知ってんのかよ」
「あぁ、まぁ」
 曖昧な返しをする。
「じゃぁ、呼ぶわよ。入ってらっしゃい」
「は、はい!」
 築茂が呼ぶと小さい少女のような声が届いた。
 教室のざわめきはさらに大きくなり、動揺も混じる。
 ガラッと戸が開き、銀色の髪の少女。
 ゆきが入ってきた。
 教室内のどよめきや動揺は一瞬にして静まり返り、静寂が訪れた。
 カタ、コトと小さな足音が教室に響く。
 見るからに少女は緊張している。
 築茂の前横に少女は立つとこちらを向いて一礼した。
「えっと……橋本ゆき、です。転校してきました、よろしくお願いします」
 簡素なあいさつに教室からまばらな拍手が送られる。
 少女の名前は橋本ゆき、俺こと橋本真(かんばら まこと)の元飼い犬で、いまは――
 俺の妹だ。
 
「その……」
 教室があまりにも静まり返っていることにゆきは困惑していた。
 築茂はゆきの肩に手を置いて
「じゃぁ、質問あるかしら? こんな見た目だけどゆきちゃんは本当に高校生で貴方達と同い年だからね?」
 するといくつかの手が上がった。
 一人ひとり築茂が手を挙げた人物を指名すると次々に生徒が質問していった。
 生まれはどこか、誕生日、血液型など様々で俺との関係についても聞かれていた。
「えっと……双子の兄妹です」
 しばし悩んでからゆきはこう言った。
 なるほど、『そういうこと』になっているのかと感心する。
 彼女は俺にしか正体を明かしていない。
 つまりは、そうい設定で生きていくということなのだ。
 彼女の答えに嫉妬の混じった目線が俺に向けられる。
 下半身に脳が支配されている哀れな奴らめ、とあざ笑う。
 幾度と質問が繰り返された後、スッと一本の右手が上がった。
 ハッと思い横を見ると海斗がこれでもかという姿勢の良さで挙手しているのだ。
 目を閉じ穏やかな表情を見せている。
 築茂が海斗を指名する。
 彼はゆっくりと立ち上がり、口をゆっくり開いた。
「御機嫌よう見目麗しきお嬢様。私の名前は柳瀬海斗、お兄様の唯一無二の友であります」
 恭しく礼をするとこんな風にしゃべり始めた。
 一瞬気でも狂ったのではないかと思ったが、もとからくるっているということを思い出しすぐに冷静になった。
 当のゆきは「は、はい」と困惑の色を隠しきれていない。
「ところでお嬢様、いま椅子を欲してはおりませんか? なんなら私が――」
「ストオオオオオオオップ!」
 俺は思わず声を張り上げた。
 これ以上こいつに話させてはならん。
 そう本能で察したからだ。
「邪魔立てするなわが友よ!」
「うるせぇ! さっきからそのしゃべり方気持ちわりぃんだよ!」
「何を言うか、見目麗しきお嬢様がおられる前で貴様のような小汚いしゃべり方などできるか!」
「誰が小汚いだと!?」
 気が付けば口論が始まっていた。
「そのへんにしときー。ゆきちゃんも困ってるやろ」
「黙れこのおっぱい爆弾! 脂肪の塊ではないか!」
「なんやて?」
 海斗が早紀を煽る。
 そろそろ止めに入らないとまずいかなと一歩引いて冷静になっていると築茂が声を発した。
「あんたたち、反省してないみたいね」
 柔和な声にも聞こえるが、内情よく冷えている声だった。
 さすがにこれ以上はまずいと二人は思ったのか、素直に謝ると姿勢を正した。
「ほかにあるかしら?」
 築茂が声をかけるとまた数本の腕が上がり、ゆきへの質問が行われた。


「お兄様、今日は面白かったです」
 夕暮れ時を俺とゆきは歩いていた。
 彼女の足取りは軽く、軽くスキップさえしている。
「とくにあの二人が面白かったです!」
 後ろで手を組んで前を進んでいたゆきが振り向く。
「あの二人か。あいつらは面白いよな」
「はい! すごく、ふれんどりー? で馴染みやすかったですし面白かったです!」
 ゆきは満面の笑顔を浮かべる。
 可愛らしいな、と素直に思う。
 まるで妹ができたような感覚に襲われる。
 いやそうなのだが、実際のところ彼女は元犬なのだ。
「お兄様? どうしたんですか?」
 上り坂の少し奥でゆきはこちらを見つめていた。
 夕日と彼女の頭がかぶさり、神秘的に見える。
 思わず、声を失った。
 美しい、そう直感した。
「い、いやなんでもない」
 俺はごまかすようにそう言った。
 恥ずかしい、頬が熱くなる。
「お兄様、笑顔ですよ! 笑顔」
 ゆきは俺の前に駆け寄って俺の頬を掴み上げた。
 彼女の顔が近くなる。
 大きな目に長いまつ毛、整った顔立ちに美しい髪。
 愛らしい、美しいとこれほどまでに思ったことはない。
 さすがは俺の自慢の妹で、犬だ。
 俺の誇りだ。
「……そうだな」
 彼女の励ましに俺は笑う。
「やっぱり! お兄様は笑っているときのほうがかっこいいです!」
 無邪気にゆきはそう叫んで笑った。
 あまりからかうんじゃない、そういいたかった。
 だが――
 
――たまにはいいだろう。

俺はそう思って言葉をのどに押し込んだ。
「競争だ!」
 俺はめんどくさくなって駆けだした。
 ゆきの横を横切って家のほうに向かう。
「負けませんよ!」
 ゆきが後ろから叫ぶ。
 楽しいな。
 久しぶりに心から楽しいと思った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

裏切りの代償

中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。 尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。 取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。 自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。

あの日、幼稚園児を助けたけど、歳の差があり過ぎてその子が俺の運命の人になるなんて気付くはずがない。

NOV
恋愛
俺の名前は鎌田亮二、18歳の普通の高校3年生だ。 中学1年の夏休みに俺は小さい頃から片思いをしている幼馴染や友人達と遊園地に遊びに来ていた。 しかし俺の目の前で大きなぬいぐるみを持った女の子が泣いていたので俺は迷子だと思いその子に声をかける。そして流れで俺は女の子の手を引きながら案内所まで連れて行く事になった。 助けた女の子の名前は『カナちゃん』といって、とても可愛らしい女の子だ。 無事に両親にカナちゃんを引き合わす事ができた俺は安心して友人達の所へ戻ろうとしたが、別れ間際にカナちゃんが俺の太ももに抱き着いてきた。そしてカナちゃんは大切なぬいぐるみを俺にくれたんだ。 だから俺もお返しに小学生の頃からリュックにつけている小さなペンギンのぬいぐるみを外してカナちゃんに手渡した。 この時、お互いの名前を忘れないようにぬいぐるみの呼び名を『カナちゃん』『りょうくん』と呼ぶ約束をして別れるのだった。 この時の俺はカナちゃんとはたまたま出会い、そしてたまたま助けただけで、もう二度とカナちゃんと会う事は無いだろうと思っていたんだ。だから当然、カナちゃんの事を運命の人だなんて思うはずもない。それにカナちゃんの初恋の相手が俺でずっと想ってくれていたなんて考えたことも無かった…… 7歳差の恋、共に大人へと成長していく二人に奇跡は起こるのか? NOVがおおくりする『タイムリープ&純愛作品第三弾(三部作完結編)』今ここに感動のラブストーリーが始まる。 ※この作品だけを読まれても普通に面白いです。 関連小説【初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺】     【幼馴染の彼に好きって伝える為、幼稚園児からやり直す私】

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない

文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。 使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。 優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。 婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。 「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。 優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。 父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。 嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの? 優月は父親をも信頼できなくなる。 婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

処理中です...