9 / 11
9話
しおりを挟む
海斗はもはやドアが開かないこと、そしてこの家の中には誰もいないという無慈悲な現実を受け入れざるを得なくなり、膝を落とした。
「なんであのカマ野郎は知ってて、俺は知らねぇんだよ……」
地面に染みを作りながらそう呟いた。
その瞬間、パサ。と一枚の封筒が落ちた。
そこには見慣れた早紀の字で『海斗はんと真はんへ』と記されていた。
震える手でその封筒に手を伸ばした海斗は恐る恐る封を切った。
「海斗はん、真はん、いままでありがとーな。うちは今度、家庭の都合で大阪に戻ることになったんや。多分こんなこと伝えたら、二人とも心配して見送りとかしてくれるかもしれへんなぁ。それもそれでうれしかったけど、やっぱり平日やし二人には迷惑かけられへん。だがらこーして、手紙をかいてるんや……。いつこれを見るかわからへんけど、うちのことは心配せずに、そっちでうまくやってーな。わかった? ps ゆきちゃんにもよろしゅうな」
震える声で読み上げる海斗。
手紙の内容をしった俺も思わず涙が出かける。
俺たちのことを心配して、黙っててくれたのに俺たちは授業を抜け出してしまった。
早紀の意図をことごとく無視してしまったことのへのふがいなさと、もう長い間会えないかもしれないという喪失感で胸がいっぱいになっていた。
海斗も、もう長くは会えないだろうちう事実を突きつけられ、手紙を持ったまま固まっていた。
俺たち二人が固まっていると、後ろから車の音が聞こえた。
何事かと思い、恐る恐る振り返る俺と海斗。
直後、バックと教科書が投げつけられる。
「何すんだよ!」
声を張り上げる海斗。
「何ちんたらしてるんですか!」
バックを投げた主は聞きなれた声だった。
声のほうへを視線を向けるとそこにはゆきがいた。
「話は先生から聞きました! ほら、行きますよ!」
「いくって、何処にだよ?」
俺がそうゆきに尋ね返すと、ゆきは含み笑いで「空港、ですよ」と答えた。
車に乗り込むと運転席には築茂が座っていた。
「叔父さん……」
元気なさそうに海斗が声をひねり出すと築茂はバツが悪そうに
「ここに私は教師としてではなく、柳瀬海斗の叔父としているのよ」
といった。
素直じゃないな、この人は。とも思いつつ、海斗と築茂が少しばかり重なって見えた。
「だけどあんたは……処分されるんじゃないか?」
不安そうに尋ねる海斗に築茂は笑うと
「甥っ子が泣き叫んでるのに我が身惜しさにそれを見過ごす叔父がどこにいるのよ」
「たまにはカッコイイこと言うじゃんかよ」
海斗は目元をこすりながら泣きじゃくった。
「早紀ちゃんからね。どうしてもって言われたんだけどあんたたちが授業サボってまで行くの見ちゃって。ね?」
そんな築茂の言葉に俺は涙が出そうになった。
やっぱり、この人は最期まで俺たちのことを心配しているんだ。
そう思うと安心した。
空港に着いた俺たちは築茂を置いて全力で走った。
大阪に向かう便で使う保安検査場は一つしかない。
多分いままで生きてきた人生の中で一番全力で走ったと思う。
数分と走らないうちに早紀の後ろ姿が見えた。
「早紀!」
海斗が叫んだ。
だが一瞬、早紀は歩みを止めただけでこちらに振り返ろうとはしなかった。
「見間違いじゃないのか?」
おれが海斗にそう尋ねた。
だが、彼だけは自分を信じて疑わなかった。
なんというか、確信があったと思う。
そして彼は息を吸い込んだ。
「早紀! 俺はお前のことを愛してる! 大好きだ!」
海斗は周りの目など気にせずに叫んだ。
こちらに背を向けていたはずの早紀は歩みを止めて、こちらに振り返った。
「なんで、なんで今言うん?」
目元には涙が浮かんでいた。
「今、言うしかないとおもったから」
海斗は質問の意図を解せていないようで、いや、理解しているのだろうか。
どちらにせよ、とてもまっすぐな目で先を見つめていった。
「バカ。このままいけばうちはみーんな忘れて大阪にいけたんに……」
「それは、いやだから。大好きな早紀に。愛してる早紀に忘れられたくなかった」
「ほんま、自己中やなぁ……」
早紀は目元の涙をぬぐって笑う。
そして海斗に問うた。
「なんでうちなん? ゆきちゃんのほうがよっぽどかわええやろうし。うちより胸が大きい娘だってぎょうさんおるやろ?」
その問いに海斗は「その……」言葉を詰まらせた。
恐らくは言うのが恥ずかしいのだろう。
だから俺は、彼の背中をバンッとたたいた。
驚いたような、抗議するような眼でこちらを見たが俺が親指を立てて笑うと彼はうなずいてそれに応えた。
「俺はだな、言うほど巨乳は好きじゃない。それに……なんだ。おまえの見た目が特に……ッ! 好みなんだ!」
海斗はそう言った。
早紀は驚いたように目を見開いた。
「迷惑、だったか?」
慌てて海斗はそう聞いた。
そして彼は口を開いた。
恐らく「忘れてくれ」と言いたかったのだろう。
自己中で、普段は適当な彼も。
他者を気遣うことができる、いや人一倍それが得意だ。
「ほんに、迷惑やなぁ。なんで、もっと早く言ってくれへんかったん?」
「え?」と驚きの声を上げる海斗。
「こんな時に言うなんて、海斗君らしくないわぁ。ロマンチックすぎるやろ」
うつむいたまま、震えた声で言う早紀。
「すまん」と海斗は俯いて謝った。
「でも、うれしい。海斗君? うちも、海斗君のこと、大好きや」
顔を上げて笑う早紀。
こんな表情もできるんだなと思った。
普段はまとめ役の彼女だが、この時の表情は一人の恋する少女の顔だった。
「遠距離になるかもしれへんけど、よろしゅうな?」
笑って髪を揺らす、早紀。
それに海斗は号泣しながら抱き着いた。
「わわっ。なんや?!」
「うわぁぁぁぁ。さきぃぃぃぃ」
「なんで海斗君が泣くんや」
だが早紀はそんな海斗を優しく抱きしめるとその背中をポンポンとたたいて慰めた。
「ふふっ。やっと。やっとこの恋が実ったんやな」
早紀は海斗を抱きしめながら嬉しそうにつぶやく。
いまだに号泣する海斗。
早紀はそんな彼の肩を叩くと
「ほら、男らしくシャキッと!」
と言って海斗を元気づける。
「いつまで女々しゅう泣いとるんや……男は笑顔で見送りぃ!」
早紀の言葉に海斗は背筋を伸ばす。
そして早紀は海斗の頬に口づけすると笑う。
「うちは、いっつも元気にしてる海斗君が大好きなんや。最後は笑顔でおりくだしてーな?」
それに「わかった」と答える海斗。
そのころアナウンスが鳴る。
「ううこんな時間なんか。ほな、うちは行くから」
そういっていこうとする早紀。
海斗はそれを呼び止めると、怪訝そうな顔をする早紀にこういった。
「また、会おう」
早紀はそれに、頷いて応えると保安検査場のほうに向かっていった。
俺とゆきは手を振って彼女を送るが、海斗は一切そのようなことをしなかった。
「いいんですか?」
ゆきが海斗に尋ねると海斗は満開の笑顔で。
「いいんだよ。どうせまたいつか会えるんだから」
と言って身をひるがえした。
「そっちは出口じゃねぞ?」
「いいんだよ! 早紀の奴を展望デッキから送るぞ!」
海斗はそういうと、保安検査場で順番待ちをする早紀を置いて、三階に駆けあがっていった。
最後に一言。
海斗は展望デッキでつぶやいた。
「どれが早紀の乗ってる飛行機だ?」
俺たちはその一言に大笑いすると、何機も飛び立っていく大阪行きの飛行機に全力で見送った。
たぶん、あの中に早紀もいたんだろう。
そして、他の飛行機にも俺たちみたいなストーリーがあるはずだ。
「なんであのカマ野郎は知ってて、俺は知らねぇんだよ……」
地面に染みを作りながらそう呟いた。
その瞬間、パサ。と一枚の封筒が落ちた。
そこには見慣れた早紀の字で『海斗はんと真はんへ』と記されていた。
震える手でその封筒に手を伸ばした海斗は恐る恐る封を切った。
「海斗はん、真はん、いままでありがとーな。うちは今度、家庭の都合で大阪に戻ることになったんや。多分こんなこと伝えたら、二人とも心配して見送りとかしてくれるかもしれへんなぁ。それもそれでうれしかったけど、やっぱり平日やし二人には迷惑かけられへん。だがらこーして、手紙をかいてるんや……。いつこれを見るかわからへんけど、うちのことは心配せずに、そっちでうまくやってーな。わかった? ps ゆきちゃんにもよろしゅうな」
震える声で読み上げる海斗。
手紙の内容をしった俺も思わず涙が出かける。
俺たちのことを心配して、黙っててくれたのに俺たちは授業を抜け出してしまった。
早紀の意図をことごとく無視してしまったことのへのふがいなさと、もう長い間会えないかもしれないという喪失感で胸がいっぱいになっていた。
海斗も、もう長くは会えないだろうちう事実を突きつけられ、手紙を持ったまま固まっていた。
俺たち二人が固まっていると、後ろから車の音が聞こえた。
何事かと思い、恐る恐る振り返る俺と海斗。
直後、バックと教科書が投げつけられる。
「何すんだよ!」
声を張り上げる海斗。
「何ちんたらしてるんですか!」
バックを投げた主は聞きなれた声だった。
声のほうへを視線を向けるとそこにはゆきがいた。
「話は先生から聞きました! ほら、行きますよ!」
「いくって、何処にだよ?」
俺がそうゆきに尋ね返すと、ゆきは含み笑いで「空港、ですよ」と答えた。
車に乗り込むと運転席には築茂が座っていた。
「叔父さん……」
元気なさそうに海斗が声をひねり出すと築茂はバツが悪そうに
「ここに私は教師としてではなく、柳瀬海斗の叔父としているのよ」
といった。
素直じゃないな、この人は。とも思いつつ、海斗と築茂が少しばかり重なって見えた。
「だけどあんたは……処分されるんじゃないか?」
不安そうに尋ねる海斗に築茂は笑うと
「甥っ子が泣き叫んでるのに我が身惜しさにそれを見過ごす叔父がどこにいるのよ」
「たまにはカッコイイこと言うじゃんかよ」
海斗は目元をこすりながら泣きじゃくった。
「早紀ちゃんからね。どうしてもって言われたんだけどあんたたちが授業サボってまで行くの見ちゃって。ね?」
そんな築茂の言葉に俺は涙が出そうになった。
やっぱり、この人は最期まで俺たちのことを心配しているんだ。
そう思うと安心した。
空港に着いた俺たちは築茂を置いて全力で走った。
大阪に向かう便で使う保安検査場は一つしかない。
多分いままで生きてきた人生の中で一番全力で走ったと思う。
数分と走らないうちに早紀の後ろ姿が見えた。
「早紀!」
海斗が叫んだ。
だが一瞬、早紀は歩みを止めただけでこちらに振り返ろうとはしなかった。
「見間違いじゃないのか?」
おれが海斗にそう尋ねた。
だが、彼だけは自分を信じて疑わなかった。
なんというか、確信があったと思う。
そして彼は息を吸い込んだ。
「早紀! 俺はお前のことを愛してる! 大好きだ!」
海斗は周りの目など気にせずに叫んだ。
こちらに背を向けていたはずの早紀は歩みを止めて、こちらに振り返った。
「なんで、なんで今言うん?」
目元には涙が浮かんでいた。
「今、言うしかないとおもったから」
海斗は質問の意図を解せていないようで、いや、理解しているのだろうか。
どちらにせよ、とてもまっすぐな目で先を見つめていった。
「バカ。このままいけばうちはみーんな忘れて大阪にいけたんに……」
「それは、いやだから。大好きな早紀に。愛してる早紀に忘れられたくなかった」
「ほんま、自己中やなぁ……」
早紀は目元の涙をぬぐって笑う。
そして海斗に問うた。
「なんでうちなん? ゆきちゃんのほうがよっぽどかわええやろうし。うちより胸が大きい娘だってぎょうさんおるやろ?」
その問いに海斗は「その……」言葉を詰まらせた。
恐らくは言うのが恥ずかしいのだろう。
だから俺は、彼の背中をバンッとたたいた。
驚いたような、抗議するような眼でこちらを見たが俺が親指を立てて笑うと彼はうなずいてそれに応えた。
「俺はだな、言うほど巨乳は好きじゃない。それに……なんだ。おまえの見た目が特に……ッ! 好みなんだ!」
海斗はそう言った。
早紀は驚いたように目を見開いた。
「迷惑、だったか?」
慌てて海斗はそう聞いた。
そして彼は口を開いた。
恐らく「忘れてくれ」と言いたかったのだろう。
自己中で、普段は適当な彼も。
他者を気遣うことができる、いや人一倍それが得意だ。
「ほんに、迷惑やなぁ。なんで、もっと早く言ってくれへんかったん?」
「え?」と驚きの声を上げる海斗。
「こんな時に言うなんて、海斗君らしくないわぁ。ロマンチックすぎるやろ」
うつむいたまま、震えた声で言う早紀。
「すまん」と海斗は俯いて謝った。
「でも、うれしい。海斗君? うちも、海斗君のこと、大好きや」
顔を上げて笑う早紀。
こんな表情もできるんだなと思った。
普段はまとめ役の彼女だが、この時の表情は一人の恋する少女の顔だった。
「遠距離になるかもしれへんけど、よろしゅうな?」
笑って髪を揺らす、早紀。
それに海斗は号泣しながら抱き着いた。
「わわっ。なんや?!」
「うわぁぁぁぁ。さきぃぃぃぃ」
「なんで海斗君が泣くんや」
だが早紀はそんな海斗を優しく抱きしめるとその背中をポンポンとたたいて慰めた。
「ふふっ。やっと。やっとこの恋が実ったんやな」
早紀は海斗を抱きしめながら嬉しそうにつぶやく。
いまだに号泣する海斗。
早紀はそんな彼の肩を叩くと
「ほら、男らしくシャキッと!」
と言って海斗を元気づける。
「いつまで女々しゅう泣いとるんや……男は笑顔で見送りぃ!」
早紀の言葉に海斗は背筋を伸ばす。
そして早紀は海斗の頬に口づけすると笑う。
「うちは、いっつも元気にしてる海斗君が大好きなんや。最後は笑顔でおりくだしてーな?」
それに「わかった」と答える海斗。
そのころアナウンスが鳴る。
「ううこんな時間なんか。ほな、うちは行くから」
そういっていこうとする早紀。
海斗はそれを呼び止めると、怪訝そうな顔をする早紀にこういった。
「また、会おう」
早紀はそれに、頷いて応えると保安検査場のほうに向かっていった。
俺とゆきは手を振って彼女を送るが、海斗は一切そのようなことをしなかった。
「いいんですか?」
ゆきが海斗に尋ねると海斗は満開の笑顔で。
「いいんだよ。どうせまたいつか会えるんだから」
と言って身をひるがえした。
「そっちは出口じゃねぞ?」
「いいんだよ! 早紀の奴を展望デッキから送るぞ!」
海斗はそういうと、保安検査場で順番待ちをする早紀を置いて、三階に駆けあがっていった。
最後に一言。
海斗は展望デッキでつぶやいた。
「どれが早紀の乗ってる飛行機だ?」
俺たちはその一言に大笑いすると、何機も飛び立っていく大阪行きの飛行機に全力で見送った。
たぶん、あの中に早紀もいたんだろう。
そして、他の飛行機にも俺たちみたいなストーリーがあるはずだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
裏切りの代償
中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。
尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。
取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。
自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。
あの日、幼稚園児を助けたけど、歳の差があり過ぎてその子が俺の運命の人になるなんて気付くはずがない。
NOV
恋愛
俺の名前は鎌田亮二、18歳の普通の高校3年生だ。
中学1年の夏休みに俺は小さい頃から片思いをしている幼馴染や友人達と遊園地に遊びに来ていた。
しかし俺の目の前で大きなぬいぐるみを持った女の子が泣いていたので俺は迷子だと思いその子に声をかける。そして流れで俺は女の子の手を引きながら案内所まで連れて行く事になった。
助けた女の子の名前は『カナちゃん』といって、とても可愛らしい女の子だ。
無事に両親にカナちゃんを引き合わす事ができた俺は安心して友人達の所へ戻ろうとしたが、別れ間際にカナちゃんが俺の太ももに抱き着いてきた。そしてカナちゃんは大切なぬいぐるみを俺にくれたんだ。
だから俺もお返しに小学生の頃からリュックにつけている小さなペンギンのぬいぐるみを外してカナちゃんに手渡した。
この時、お互いの名前を忘れないようにぬいぐるみの呼び名を『カナちゃん』『りょうくん』と呼ぶ約束をして別れるのだった。
この時の俺はカナちゃんとはたまたま出会い、そしてたまたま助けただけで、もう二度とカナちゃんと会う事は無いだろうと思っていたんだ。だから当然、カナちゃんの事を運命の人だなんて思うはずもない。それにカナちゃんの初恋の相手が俺でずっと想ってくれていたなんて考えたことも無かった……
7歳差の恋、共に大人へと成長していく二人に奇跡は起こるのか?
NOVがおおくりする『タイムリープ&純愛作品第三弾(三部作完結編)』今ここに感動のラブストーリーが始まる。
※この作品だけを読まれても普通に面白いです。
関連小説【初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺】
【幼馴染の彼に好きって伝える為、幼稚園児からやり直す私】
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる