この異世界住人が卑猥すぎて魔王討伐が進まない……

パイ吉

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第23話この異世界で俺はけっこう人気者らしい……

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 俺が目を覚ますと、そこはクレアの部屋だった。窓から差し込む日の光がまぶしい。もう日が高い。時計を見ると、昼の12時を過ぎていた。ずいぶん長い時間、眠っていたようだ。ベッドから下りて部屋を出る。体中が痛い。ガーゴイルから受けたダメージなのか、筋肉痛なのか、おそらく両方だろう。力の入らない膝をかばいながら、一歩一歩慎重に階段を降りる。1階からは、お客たちの賑やかな声が聞こえる。この時間帯は大勢の客が昼食をとりにきているから、クレアもさぞかし大忙しだろう。邪魔しないように、俺はこっそり厨房を覗いた。厨房では4人の女の子が手際よく料理を作っていた。
「Aセット上がりました!」
「はーい!」
 ウェイトレスの女の子が料理を受け取り、店内へ運ぶ。
 やはり忙しそうだ。
「あぁぁぁ! 勇者様が起きた!」
 客が食べ終えた皿を運んできたきたウェイトレスが俺に気がついた。
 彼女の声に、厨房の女の子たちがこちらを振り向く。
「ど、どうもです」
 俺はペコリと頭を下げた。
 俺が居候してること、クレアはお店の人に話してくれてたのかな? クレアは店長だから問題はないと思うけど、あいさつもしないでいきなり転がり込んで、やっぱ印象悪いよな?
 すごく気まずかったが、隠れるわけにもいかず、俺はのそのそと厨房に足を運んだ。
「勇者様、町を救ってくださり、ありがとうございます!」
「勇者様はこの町の救世主です!」
 4人の女の子たちが俺を取り囲む。
 え、なに? もしかして俺、歓迎されてる?
「あの、クレアさんはどこですか?」
「店長は商工会へ出向いています」
 クレアさん、出かけてるのかあ。
「勇者様、こちらにいらしてください」
 ウェイトレスの女の子に手を引かれ、ホールへ連れていかれる。
「みなさーん、勇者様がお目覚めになりましたよ」
「おぉぉぉぉぉ! 勇者さまぁぁぁ!」
 店内の大勢の客から、歓声が沸き上がった。
「あぁ……ど、どうもです。えっと、雄二と申します。皆さん、よろしくお願いします」
 何を言えばよいのか全く分からず、思わず自己紹介してしまった。
 これ、どういう状況? 勇者登場って、そんなに盛り上がっちゃうものなの?
 勇者フィーバーの波に乗り切れない俺は、みんなとの温度差に若干戸惑いつつも、空気を察して作り笑顔で手を振った。
「勇者様が手を振ってくださったぞぉ!」
「勇者さまぁ!」
 店内の客が一斉に手を振って返す。
 なにこれ? アイドルのコンサートですか?
「ユージ! 目が覚めたの?」
 帰って来たクレアが俺に飛びつく。
 お客たちから拍手と歓声が起こった。
 なんだか恥ずかしい……。
「なんか、色々迷惑かけちゃったみたいで、ごめんなさい」
「何言ってるのよ。君は町を救った英雄よ。体は大丈夫? 3日間も眠ったままだから、心配したのよ」
「み、3日!?」
 驚いた。まさか3日間も眠り続けていたとは。
「勇者様、クレアを助けていただき深く感謝申し上げます」
 若く美しい女性が近づいて来て俺に頭を下げた。クレアと同じ、いい香りがした。顔を上げた女性が俺に微笑む。身長は俺より少し高い。端整な顔立ちに細身の体、くびれたウェストから丸みを帯びたヒップのラインが美しい。スタイル抜群の美女を目の前にして、思わずほおが緩む。
「イタっ」
 俺の脇をクレアが肘で小突いた。
 その様子を見て、美女がクスリと笑った。
「ホント、君は綺麗な人に弱いんだから」
 クレアが口をとがらせる。
「えっとクレアさん、この方は……」
「わたくし、この店のオーナーをしております、クララと申します」
 美女が上品に微笑む。
 おぉぉ、店のオーナーさんか。店長のクララに続いて経営者まで美女だったとは。
「私のママよ」
「……はひ?」
 この若くて綺麗なお姉さんがクレアのお母さん?
 間抜けな声を出した俺は、この異世界に来て、またしても驚愕の真実を知ってしまった。
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