この異世界住人が卑猥すぎて魔王討伐が進まない……

パイ吉

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第72話キューベ村復興作戦①

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 アイゼン騎士団が王都へ帰還した後も、俺はキューべ村に残ることにした。レイモンドは国王への謁見や魔王討伐任務の受諾を俺に強く勧めたが丁重にお断りした。わざわざ王都へ行かなくても、俺の身の潔白はアイゼンが証言してくれるし、魔王討伐だってすでにランクSSR以上の勇者たちがクエストを受諾して動いている。今さら俺一人が参加したところで、劇的な進展があるわけでもない。それより、目の前で困っている人、自分の身近な人たちを助けることの方がよっぽど有意義に思うのだ。
 キューべ村の復興は困難を極めていた。
 村人たちが一時的に寝泊りできる仮設住宅は完成したものの、以前と同様の生活に戻るにはいくつもの難題が浮かび上がった。
 一番ネックになるのは仕事の問題だ。キューべ村の住民は酪農を主体にして生計を立てていた。
 しかし、モンスターや魔術師アウリーの襲撃によって牧場を失い、酪農を続けることができなくなってしまった。乳牛一頭の価格はおよそ50万グリムと高価で、これは村人の約半年分の生活費に相当するらしい。
 酪農を再開するには新たな牧場も必要だ。牛舎の建設や設備、道具も揃えないといけない。現段階で酪農をするための資金が全く足りないのである。
 一部の村人からは麦や野菜農家に転身するという意見も出たが、このあたりの土地は畑に適しておらず、知識や経験のない者が圧倒的多数を占め、やはり資金不足という理由もあり却下された。
 最も現実的かつ実現可能な案としては出稼ぎが有力だった。
 しかし事件の後ということもあり、女性や年寄り、子供たちだけ村に残して町に出ることに不安を感じる男たちも多く、これは意見が割れた。

「やっぱりベストなのは、今まで通り慣れている酪農を再開することだと思うんですけど、村自体を移転することは可能ですか?」
「村の移転ですか? 領主様の領土内に限り、領主様の許可さえ頂ければ可能です」
 村長の話によると、領主であるフォン・ゲーテ伯爵は温厚な人柄で領民たちからも慕われているという。
「リランの近辺は牧草地が広がってますよね? あそこに牧場を作れないでしょうか?」
 俺の提案に村長はじめ、ミーティングに参加していた村人たちから賛成意見をもらった。
「あとはゲーテ伯爵の許可をもらえばいいんですよね」
「領主様はお優しい方なので、きっとご理解くださるかと」
 村長の言葉に村人たちがうなずく。
「でもよ、資金はどうすんだ? 土地があっても金がなかったら牛一頭買えないぜ」
「そこはリランの最大手ギルド、我ら『ドラゴンブレス』の出番ですよ」
 笑って答える俺を見て、レイドが首をかしげる。
「レオンさん、この地域で高難易度あるいは攻略されていないダンジョンはありますか?」
「なるほど、そういうことですね」
 俺の考えを察したレオンが笑ってうなずいた。
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