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憎むべき、いつものやつ
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その時。
周りが一瞬明るくなった。
海辺ーー遠くで、川に、花が、咲いた。
俺は暫く何が起きたのか分からず、ぼんやりとそこに立ち尽くしていた。その間にも花はどんどん増えていった。
「ヒュ~……ドーーーン‼︎」
何か音がしているーーハッと、見上げると沢山の花火が打ち上げられていた。
風は強いものの花火は打ち上げられるという判断が下されたのだろう。先程まではもう台風来ないかな、と思っていたが今は台風が来なくて良かったと思うーー人生万事塞翁が馬だ。
俺は捜索を再開した。
花火が行われてる今がチャンスだ。花火による明滅とはいえ、さっきより周囲が明るい。
見辛いことに変わりはないが、さっきに比べれば全然マシだ。
俺は栞を捜しながら1度始めの捜索地点に戻り、そこから小走りで再び下流へ向かう。漏れがないように念を入れた方がいいという判断だ。
俺はライトで川を照らしながら走る。
花火が終わるのは毎年大体20時50分くらい。開始は20時半だから……あと15分くらいか。
まだやれるーーまだ捜せる。
諦めない。
絶対見つける。
そう心に誓って、俺はライトに照らされる川に目を凝らした。
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