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思わぬ再会
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しおりを挟むそっと声をかけたが起きる気配のない流奈(恐らく)。彼女は1度寝るとなかなか起きないし朝に弱い。まだ俺たちが小学生の頃、彼女が家に泊まりに来ることが何度かあったが、その時も彼女は朝、なかなか起きなかったし、加えて2か月前ーー彼女が転校する前ーー登校時はいつも眠そうにしていた。今は朝ではないが、授業中も1度睡魔の海に溺れたら陸に引っ張り上げるのは相当難しかったし、それはきっと今回もそうだろう。
ーーいや、待てよ?
今は授業中でもないし、周りに人の目もないからアレが使えるのか。
彼女が泊まっていた時はよくこれで起こしていたが……。
果たして今でも通用するだろうか?
とはいえ。
取り敢えずこの女の子・流奈(推定)が本当に彼女なのかどうかを確認しなくては。
俺はそっと近づいて、向こう側にある壁に片腕をついて、慎重に斜め上から顔を覗き込んだ。
……コンタクト外したからよく見えんな。
俺は昔から本が好きだったこともあって裸眼の視力は最低ランクのEだ。1m先の相手の顔もぼんやりしているレベルで目が悪い。そのため普段はコンタクトをしているが、今は風呂に入ったために外している。
「むぅ」
少し絵面は悪くなるが、やるしかあるまいよ。
俺は女の子の顔を認識するために、依然として右手を向こう側の壁につきながら立った状態から片膝をベッド脇に立て、再び顔を覗き込むーーこれでお互いの顔の距離が縮んでなんとか……見えた。
うん、やっぱり彼女だ。
俺のよく知る、彼女の寝顔だ。
……しかし改めて見るときれーな肌してんなぁ。お兄さん感心。唇はさくらんぼ色にぷるんとしていて、元気いっぱいの瞳を塞ぐ瞼の先には長い睫毛がくるんっと立っている。
「可愛すぎ。天使なんですか?ずっと見てたいわ」
しかし長時間見ていると私の心臓は多分保ちません。もう今だって、鼓動がヤバくて可愛すぎてしんど……「ヌルっ」
と。
壁についていた右手が滑ってーーもしもの時の事故を起こさないように右腕を向こう側の壁に突っ張り棒のようにして立てていたのだが、壁が思ったよりも遠かったのと風呂上がりで手が汗ばんでいたのもあって……いやいや、これは彼女に見惚れた私の落ち度ですねーー俺は彼女の上に倒れそうになる。
これで起きたらマジもんの事案発生だな。
妙に冷静な頭でそんなことを思った。
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