沈黙の代償

くねひと

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#13 調教は続く…

「ほお。また、落とすかと思ったが、今度は何とか踏み止まったようだな。よし、十数えるから、そのまま持ちこたえていろよ」

 須藤がゆっくりとカウントを取り始める。落下しなかったとは云え、分銅3個の重みと三浦の菊花を締め付ける力の微妙なバランスの上に、筒具は束の間静止しているに過ぎない。

(早く…十数え終わってくれ…)
 そんな三浦の願いを見透かしているかのように、須藤はゆっくり、ゆっくりと数え上げていくのだ。
 4……、5…………、

 ぴったりと重ね合わせた三浦の太ももがブルブルと震えてくる。ほんの僅かずつではあるが、筒具がずり落ち始めたことを三浦は知覚する。
 あ…後、少しだ。何とかもってくれ。
 ………9、……………10…
「ようし、合格だ」
 須藤の言葉が終わるか終わらない内に、筒具は床に落下し、3個の分銅はガチッとくぐもった金属音をたてた。

 須藤は典型的なサディストではあるが、男色の気はそう強くはなかった。彼にしてみれば自分の嗜虐癖が満たされるならば、その対象が男でも女でも性差は問わない、そんな考え方なのだろう。

 だから先程までの執拗な菊花調教でいくら三浦の肉壁の締まりが良くなろうと、それで須藤が三浦をバックから犯すということはなかった。

 須藤はただ調教それ自体を楽しんでいるのだ。調教の目的などはない。その調教に三浦が羞じらい、苦しみ、それでも須藤の命令に服従しなければならないその無念の気持ちが須藤に伝わるとき、彼の全身は言いようのない快感に打ち震えるのだ。

 今、須藤はパンツを脱ぎ去り、ベッドの縁に腰掛けていた。その正面には三浦が同じく素裸の身で(ただこちらは厳しく高手後手に両手を縛り上げられているのだが)正座していた。

「しゃぶれ!」
 言葉短く須藤が命じる。
 彼は口舌奉仕をしてもらうなら、男より女の方が余程いいと思っている。だが、それを敢えて三浦にやらせるのは、口舌奉仕を強要することで三浦が精神的に打ちのめされることを熟知しているからに他ならない。

 三浦を汚物まみれにさせたあの一夜以来、少なくとも表面上、三浦は須藤に楯突くことはなくなっている。
 しかし、よく気をつけていれば、三浦が顔を歪めるときがあることに須藤は気付いている。

 それは男としてのプライド、もしくは人間としての尊厳を踏みにじられるような命令に対してのときが多い。
 そう、三浦に対しては、鞭のような肉体を痛めつけるプレイよりも、屈辱感を煽るようなプレイの方が、数段効果があるのだ。
 今も須藤は三浦の表情が一瞬哀しげに曇ったのを見逃さなかった。
「どうした。どこをしゃぶったらいいのか分からないのか?」
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