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第5章 届け! これがVTuberの全てをこめた「クリア耐久配信」だ!
第36話 お泊まりばにずん晩酌配信(前編)
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「……ところで、アンタなんか臭くない?」
「……あ、やっぱり臭いますかね?」
「臭いますかねって⁉ ちょっと、よく見たら昨日と同じ服じゃない⁉」
「…………うへへ」
幸せな時間は唐突な現実感と共に終わりを迎えた。
私の体臭に気がついたずんだ先輩がそっと私を突き放す。
ジロジロと眺めるのは私の服装。
お察しの通り、昨日の夜から私の衣装は変わっていない。
どうしてか。それはとても単純な話。
「コラボ配信したあと、そのまま疲れてうみの家で寝ちゃって。起きたら、先輩との約束の時間でだったんですよね。着替えを取りに帰る暇もなくって」
「暇もなくってじゃないわよ! うっかりベッドに座らせちゃったじゃない!」
「そんな! 人をまるで汚物みたいに!」
あわてて私を立ち上がらせるずんだ先輩。
彼女はすぐさま奥のクローゼットをあさるとそこから紙袋を取り出した。
中には、バスタオルと無地のTシャツ、あと、新品のパンツとスポーツブラ。歯ブラシやカミソリなんかも入っていた。
間違いない!
これはお泊まりセット――!
「今すぐお風呂に入りなさい! 女の子がお風呂に入らないなんてダメよ!」
「……私、お風呂は三日に1回とかですけれど?」
「よし、さっさと引っ越し先を決めるわよ。それと、女の子の文化的に最低限の生活がどういうものか、みっちり教えてあげるわ」
どうやら私は女の子失格だったらしい。
尊敬している先輩から言われるとしんどいな。
(´・ω・`)
痛いくらいに背中を押してずんだ先輩は私をバスルームに放り込んだ。
先輩の家でお風呂を使わせてもらうなんて申しわけない。「すぐに銭湯に行きますから」と主張する私を、「いいからとっとと入れ!」とずんだ先輩は一喝した。
とほほ。
私はあきらめて服を脱ぐ。
すると、ずんだ先輩がすかさず脱衣所に入ってきた。
お決まりの「きゃあ、先輩のエッチ」みたいな流れを一切無視して、彼女は浴室に私を押し込む。そして、磨りガラスの引き戸をぴしゃりと閉めた。
「私はアンタの服を洗濯しておくから、ゆっくり湯船につかってなさい! 待って、その前にシャワーを浴びて! ちゃんと汚れを落としてから湯船につかって!」
「だからぁ、人をばい菌みたいに言わないでくださいよぉ!」
「ばい菌みたいな状態でしょ!」
「ひどい! さっきまでやさしかった先輩はどこに!」
「十分やさしいでしょ! そのまま家の外に放り出さないだけ感謝しなさい!」
お風呂に入らないと出られない先輩の家。
かくして私はしぶしぶ先輩の家でお風呂に入らせてもらった。
彼女の家のお風呂はジャグジーだった。
シャンプーなどもかなりお高いものだった。
なにより浴槽にアロマが置かれているのが新鮮だった。
女子力たっけぇ。
「ずんだ先輩、お風呂、ありがとうございます」
「いいわよ。それより、ドライヤーとか保湿剤とかお風呂上がりのケアに必要なもの準備しとくから。上がったらすぐにダイニングキッチンに来なさい」
「……まだ続くんですかこれ?」
「当然!」
「とほほ」
「まったく、アンタの女子力のなさには、毎度のことだけど驚かされるわ」
「ご迷惑をおかけいたします」
「いったいどういう生き方してたらそんな風になるのよ。まさかアンタ、女じゃない――ってことはないわよね」
「なに見てるんですかぁ!」
磨りガラスの向こうに浮かぶずんだ先輩のシルエット。
その手がつまんでいるのは一張羅(おでかけ用)のブラジャー。
やめてください。
そんなのジロジロ見ないでください。
うみ(DStarsのセクハラ常習犯)じゃないんだから。
あれ?
けど、ちょっと待て――?
「先輩? 服、洗濯しちゃうんですか?」
「そうよ。この洗濯機、乾燥機能つきだから。3時間もすれば乾くわ」
「3時間ですか?」
「なにか問題でも?」
「いや、まぁ、その……今日も一応、配信の予定を告知しておりまして」
「あら、そうなの? 何時から?」
これだけお洒落なお風呂場だ。
時計があるかなと探してみたが、残念なことに見つからなかった。
そうこうしているうちに軽やかな電子音が脱衣所から響いた。
水が流れる音も一緒に――。
「えっと、一応、今日の20時からなんですけれど」
「20時ね。今、17時47分だから」
「服が乾くのが3時間なので」
「「……帰れるのは21時くらいか」」
あれ、間に合わなくない?
そう私たちが気づいた時には、洗濯機が「ゴウン」と音を立てて回りだしていた。
やってしまった――。
「ちょっと待って⁉ アンタ、耐久配信のあとなのに配信するつもりだったの⁉」
「まぁ。元々、スケジュール告知してましたし」
「くそっ! 流石は私が見込んだVTuber! 配信にかける熱意が違う!」
「それよりどうしましょう先輩? また配信環境を貸してもらってもいいですか?」
「それは構わないけど、アンタまたゲーム機持ってないんじゃないの?」
「そうでした!」
「もう1回、ミニファミコンで併走は、流石にファンも飽きるわよ……」
今度こそ万事休すか。
川崎ばにら、痛恨の配信ドタキャン。
金盾配信からここまで、危ない橋を渡ってきたがそれもここまで――。
そう思った時、ずんだ先輩が急に浴室の扉を開けた。
「きゃあ! ずんだ先輩のエッチ!」
「バカなこと言ってんじゃないの!」
「けど、びっくりするじゃないですか! いきなりお風呂を覗かれたら!」
「いいから! ばにら、アンタ今年で何歳?」
「ピッチピッチの18歳な、レースクイーンバニーガールバニよ」
「実年齢!」
「……26歳です」
「成人しているから飲酒してもヨシ!」
どうしてヨシなのか。
なにがヨシなのか。
けれども、ずんだ先輩が何をする気なのか分かってしまった。
だってVTuberだから。
「ばにらちゃん、ウイスキーはロックと水割りどっち派?」
「ばにらはどっちかっていうと、ミルク派バニですよ……」
ずばり――「お泊まり晩酌配信」だ!
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
先行連載しているカクヨムにて本日最終話更新しております。
もし続きが今すぐ気になる……という方は、よろしくお願いします。m(__)m
https://kakuyomu.jp/works/16817330649719403871
「……あ、やっぱり臭いますかね?」
「臭いますかねって⁉ ちょっと、よく見たら昨日と同じ服じゃない⁉」
「…………うへへ」
幸せな時間は唐突な現実感と共に終わりを迎えた。
私の体臭に気がついたずんだ先輩がそっと私を突き放す。
ジロジロと眺めるのは私の服装。
お察しの通り、昨日の夜から私の衣装は変わっていない。
どうしてか。それはとても単純な話。
「コラボ配信したあと、そのまま疲れてうみの家で寝ちゃって。起きたら、先輩との約束の時間でだったんですよね。着替えを取りに帰る暇もなくって」
「暇もなくってじゃないわよ! うっかりベッドに座らせちゃったじゃない!」
「そんな! 人をまるで汚物みたいに!」
あわてて私を立ち上がらせるずんだ先輩。
彼女はすぐさま奥のクローゼットをあさるとそこから紙袋を取り出した。
中には、バスタオルと無地のTシャツ、あと、新品のパンツとスポーツブラ。歯ブラシやカミソリなんかも入っていた。
間違いない!
これはお泊まりセット――!
「今すぐお風呂に入りなさい! 女の子がお風呂に入らないなんてダメよ!」
「……私、お風呂は三日に1回とかですけれど?」
「よし、さっさと引っ越し先を決めるわよ。それと、女の子の文化的に最低限の生活がどういうものか、みっちり教えてあげるわ」
どうやら私は女の子失格だったらしい。
尊敬している先輩から言われるとしんどいな。
(´・ω・`)
痛いくらいに背中を押してずんだ先輩は私をバスルームに放り込んだ。
先輩の家でお風呂を使わせてもらうなんて申しわけない。「すぐに銭湯に行きますから」と主張する私を、「いいからとっとと入れ!」とずんだ先輩は一喝した。
とほほ。
私はあきらめて服を脱ぐ。
すると、ずんだ先輩がすかさず脱衣所に入ってきた。
お決まりの「きゃあ、先輩のエッチ」みたいな流れを一切無視して、彼女は浴室に私を押し込む。そして、磨りガラスの引き戸をぴしゃりと閉めた。
「私はアンタの服を洗濯しておくから、ゆっくり湯船につかってなさい! 待って、その前にシャワーを浴びて! ちゃんと汚れを落としてから湯船につかって!」
「だからぁ、人をばい菌みたいに言わないでくださいよぉ!」
「ばい菌みたいな状態でしょ!」
「ひどい! さっきまでやさしかった先輩はどこに!」
「十分やさしいでしょ! そのまま家の外に放り出さないだけ感謝しなさい!」
お風呂に入らないと出られない先輩の家。
かくして私はしぶしぶ先輩の家でお風呂に入らせてもらった。
彼女の家のお風呂はジャグジーだった。
シャンプーなどもかなりお高いものだった。
なにより浴槽にアロマが置かれているのが新鮮だった。
女子力たっけぇ。
「ずんだ先輩、お風呂、ありがとうございます」
「いいわよ。それより、ドライヤーとか保湿剤とかお風呂上がりのケアに必要なもの準備しとくから。上がったらすぐにダイニングキッチンに来なさい」
「……まだ続くんですかこれ?」
「当然!」
「とほほ」
「まったく、アンタの女子力のなさには、毎度のことだけど驚かされるわ」
「ご迷惑をおかけいたします」
「いったいどういう生き方してたらそんな風になるのよ。まさかアンタ、女じゃない――ってことはないわよね」
「なに見てるんですかぁ!」
磨りガラスの向こうに浮かぶずんだ先輩のシルエット。
その手がつまんでいるのは一張羅(おでかけ用)のブラジャー。
やめてください。
そんなのジロジロ見ないでください。
うみ(DStarsのセクハラ常習犯)じゃないんだから。
あれ?
けど、ちょっと待て――?
「先輩? 服、洗濯しちゃうんですか?」
「そうよ。この洗濯機、乾燥機能つきだから。3時間もすれば乾くわ」
「3時間ですか?」
「なにか問題でも?」
「いや、まぁ、その……今日も一応、配信の予定を告知しておりまして」
「あら、そうなの? 何時から?」
これだけお洒落なお風呂場だ。
時計があるかなと探してみたが、残念なことに見つからなかった。
そうこうしているうちに軽やかな電子音が脱衣所から響いた。
水が流れる音も一緒に――。
「えっと、一応、今日の20時からなんですけれど」
「20時ね。今、17時47分だから」
「服が乾くのが3時間なので」
「「……帰れるのは21時くらいか」」
あれ、間に合わなくない?
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「それよりどうしましょう先輩? また配信環境を貸してもらってもいいですか?」
「それは構わないけど、アンタまたゲーム機持ってないんじゃないの?」
「そうでした!」
「もう1回、ミニファミコンで併走は、流石にファンも飽きるわよ……」
今度こそ万事休すか。
川崎ばにら、痛恨の配信ドタキャン。
金盾配信からここまで、危ない橋を渡ってきたがそれもここまで――。
そう思った時、ずんだ先輩が急に浴室の扉を開けた。
「きゃあ! ずんだ先輩のエッチ!」
「バカなこと言ってんじゃないの!」
「けど、びっくりするじゃないですか! いきなりお風呂を覗かれたら!」
「いいから! ばにら、アンタ今年で何歳?」
「ピッチピッチの18歳な、レースクイーンバニーガールバニよ」
「実年齢!」
「……26歳です」
「成人しているから飲酒してもヨシ!」
どうしてヨシなのか。
なにがヨシなのか。
けれども、ずんだ先輩が何をする気なのか分かってしまった。
だってVTuberだから。
「ばにらちゃん、ウイスキーはロックと水割りどっち派?」
「ばにらはどっちかっていうと、ミルク派バニですよ……」
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もし続きが今すぐ気になる……という方は、よろしくお願いします。m(__)m
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