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1章 英雄譚にあこがれた少年
1-4 安定を求めた少年④-求めた強さ-
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レオは今思えば生き急いでいた時期があったなと自分のこれまでを振り返る。
世の中にはあんなに恐ろしいものが存在するのだと思うと、怖くて怖くて仕方がなかったのだ。
そんな自分の心を落ち着けるためには自分自身が強くならなければならないという思考に至った。
強さとは何か?自分はどうしたら強くなれるのか?そんなことはよくわからなかったからとりあえずまずは体を鍛え始めた。
体を限界まで追い込み、倒れ込むまで走った。倒れ込むまで自分の肉体をいじめ続けた。
そんなころに同じ孤児院に居たグエンが声をかけてきた。その時に孤児院に居た子供たちの中で一番年上だったグエンは、毎日のように気の狂った鍛錬を続ける俺のことをそれなりに気にしていたらしい。ただ、双方の少年時代は今ほど器用に相手のことを思いやった言葉をかけることができずに…
毎日のように殴り合いの喧嘩をしていた。孤児院の大人たちは自分たちの殴り合いを見て止めに入るが、2人で決まって「強くなりたくて手合わせをしてました」と言うと続けることを許してもらえたからそういう言い訳を使ってグエンとの殴り合いを続けた。
俺はその時に種族の壁を知った。
俺は獣人のような筋力もなければ動体視力もない。同じようにやろうとしてはダメだ。
俺はエルフのような膨大な魔力を持っていない。同じようにやろうとしてはダメだ。
そこから、俺は戦闘方法について学んだ。いろんな武器を試している時にケイオスとサージュと仲良くなった。
魔法を学ぼうと本を読んでいた時に同じように本を読むことが好きなココアと仲良くなり、一緒に魔法について学び続けた。
それから3年が経ち、グエンが孤児院を出て冒険者になったと聞いた。日々の鍛錬相手を失って、自分の求める強さをいま一度考えることがあった。どうやったら、みんなを守ることができるのか?どうやったら自分を守ることができるのか?その問いにふと答えが降りてきた。
「自分が強くなり続ける必要はない…?得意なことをしながら助け合えたら…つまり?」
そこから、俺は孤児院を飛び出して冒険者ギルドに向かって走った。
それから起きた出来事は完全に若気の至りとしか言いようがない内容なのだが、そこでとある人に養父になってもらえるように頼み込み、5年後俺は冒険者ギルドの職員となった。
「推測も多い。だから、お前たちの意見が欲しいんだ」
レオが並べていった資料は古いものが多い。どれもレオが冒険者ギルドに入ってからの記録ではない。
「おいおい、これって7年前のあれだろ?俺も参加したから覚えてるぜ?あの時は確か…森の中になぜかワニ型のモンスターが現れたんだよな。それと、13年前のは…」
グエンはそう言って3人に確認した資料を回していく。13年前の件に関して言い切る前に俺はグエンの言葉にかぶせて話し始める。
「ここにあるのはこれまでのこの町で起きたモンスターの生息域移動が確認された後に発生した上位モンスターの出現記録だ。おそらく、今回も同様のことが起きているのではないかと思っている。これについて異論があるやつはいるか?」
4人は首を横に振る。
「それじゃ、《白狼の牙》にギルドから指名依頼だ。この上位モンスターの特定をお願いしたい」
「話は分かった。そんで、依頼内容も分かった。お前らもいいよな?」
グエンの言葉にココア、ケイオス、サージュの3人が頷く。
「ところでこれ、おやっさんは知ってんのか?副ギルドマスター(仮)だったとしても勝手に依頼をポンポン出していいわけじゃねぇだろ?」
おやっさんとはうちのギルドマスターのことである。グエンはなぜかうちのギルドマスターのことをおやっさんと呼ぶのだが、あの人もあの人でそれを許しているところはある。
「大丈夫だ。今回の件、早めに動いた方がいいのは確かだ。許可など後からもぎ取ればいいからな。俺としてはできればそんなモンスターは存在してほしくないから無駄足であってほしいんだけどな」
「んな!?お前…俺らに無駄足かもしれない依頼を出すのかよ…おい、レオ。お前もし無駄足だった時はわかってるよな?」
無駄足だったとしても報酬が出るようにするから何も問題はないはずなのだが…こいつらそんなに金にがめつかったろうか?
「無駄足だったらレオ!俺と手合わせしろ!」
あ、追加要求の方ですか…そうですか…めんどくさ。
「えー!グエンだけあるのずるい!みんなで調査するんだから私も何か欲しい!!」
グエンの話を聞いて黙っていられなかったのか、珍しくココアがごね始める。あぁ、もうだめだこれ。
「グエンの件は…まぁ…検討する。ココアのは…そうだなぁ…キリエに次の空いてる日を聞いておくよ。それをどう使うかはココア次第ってことで。ケイオスとサージュは何かあるか?」
「オラぁ…何もなかったら、ちょっとゆっくりしたいなぁ」
「私は特にないですよ」
「では、《白狼の牙》にギルドからの直接依頼をお願いします。内容は町周辺で起きているモンスターの異変の原因となる可能性のある上位モンスターの発見と報告。それでは、皆様お気を付けて!」
依頼の受諾をする際の文言をあえて伝えて《白狼の牙》には依頼に出発してもらった。
イナールの町の冒険者ギルドに入って5年。これまでたくさんのことをしてきた。
自分の目指す強さを体現するために、自分のできることを常に探してやり続けてきたつもりだ。
結果としては、現在イナールの町の冒険者ギルドは依頼達成率98%という他のギルドの追随を許さない実績を作り上げることができたのだ。
依頼の達成率は、それだけ依頼元である困っている人たちの困りごとの解決率が98%であるということである。それだけに、この町での冒険者への期待値は高くなっているが、それだけ信頼をされている裏返しとも言える。
その中で頭角を現したのが《白狼の牙》である。常に難しい依頼をこなしながら成り上がってきたパーティだ。
俺の追い求める強さの中に彼らは欠かせないピースになっている。
あいつらなら問題がない。あいつらならこの町を守るための行動をとってくれる。
そんなことを考えながらレオは一人で机に広げた資料を片付け終わり、そろそろ落ち着いてきたであろう受付カウンターに戻るのであった。
世の中にはあんなに恐ろしいものが存在するのだと思うと、怖くて怖くて仕方がなかったのだ。
そんな自分の心を落ち着けるためには自分自身が強くならなければならないという思考に至った。
強さとは何か?自分はどうしたら強くなれるのか?そんなことはよくわからなかったからとりあえずまずは体を鍛え始めた。
体を限界まで追い込み、倒れ込むまで走った。倒れ込むまで自分の肉体をいじめ続けた。
そんなころに同じ孤児院に居たグエンが声をかけてきた。その時に孤児院に居た子供たちの中で一番年上だったグエンは、毎日のように気の狂った鍛錬を続ける俺のことをそれなりに気にしていたらしい。ただ、双方の少年時代は今ほど器用に相手のことを思いやった言葉をかけることができずに…
毎日のように殴り合いの喧嘩をしていた。孤児院の大人たちは自分たちの殴り合いを見て止めに入るが、2人で決まって「強くなりたくて手合わせをしてました」と言うと続けることを許してもらえたからそういう言い訳を使ってグエンとの殴り合いを続けた。
俺はその時に種族の壁を知った。
俺は獣人のような筋力もなければ動体視力もない。同じようにやろうとしてはダメだ。
俺はエルフのような膨大な魔力を持っていない。同じようにやろうとしてはダメだ。
そこから、俺は戦闘方法について学んだ。いろんな武器を試している時にケイオスとサージュと仲良くなった。
魔法を学ぼうと本を読んでいた時に同じように本を読むことが好きなココアと仲良くなり、一緒に魔法について学び続けた。
それから3年が経ち、グエンが孤児院を出て冒険者になったと聞いた。日々の鍛錬相手を失って、自分の求める強さをいま一度考えることがあった。どうやったら、みんなを守ることができるのか?どうやったら自分を守ることができるのか?その問いにふと答えが降りてきた。
「自分が強くなり続ける必要はない…?得意なことをしながら助け合えたら…つまり?」
そこから、俺は孤児院を飛び出して冒険者ギルドに向かって走った。
それから起きた出来事は完全に若気の至りとしか言いようがない内容なのだが、そこでとある人に養父になってもらえるように頼み込み、5年後俺は冒険者ギルドの職員となった。
「推測も多い。だから、お前たちの意見が欲しいんだ」
レオが並べていった資料は古いものが多い。どれもレオが冒険者ギルドに入ってからの記録ではない。
「おいおい、これって7年前のあれだろ?俺も参加したから覚えてるぜ?あの時は確か…森の中になぜかワニ型のモンスターが現れたんだよな。それと、13年前のは…」
グエンはそう言って3人に確認した資料を回していく。13年前の件に関して言い切る前に俺はグエンの言葉にかぶせて話し始める。
「ここにあるのはこれまでのこの町で起きたモンスターの生息域移動が確認された後に発生した上位モンスターの出現記録だ。おそらく、今回も同様のことが起きているのではないかと思っている。これについて異論があるやつはいるか?」
4人は首を横に振る。
「それじゃ、《白狼の牙》にギルドから指名依頼だ。この上位モンスターの特定をお願いしたい」
「話は分かった。そんで、依頼内容も分かった。お前らもいいよな?」
グエンの言葉にココア、ケイオス、サージュの3人が頷く。
「ところでこれ、おやっさんは知ってんのか?副ギルドマスター(仮)だったとしても勝手に依頼をポンポン出していいわけじゃねぇだろ?」
おやっさんとはうちのギルドマスターのことである。グエンはなぜかうちのギルドマスターのことをおやっさんと呼ぶのだが、あの人もあの人でそれを許しているところはある。
「大丈夫だ。今回の件、早めに動いた方がいいのは確かだ。許可など後からもぎ取ればいいからな。俺としてはできればそんなモンスターは存在してほしくないから無駄足であってほしいんだけどな」
「んな!?お前…俺らに無駄足かもしれない依頼を出すのかよ…おい、レオ。お前もし無駄足だった時はわかってるよな?」
無駄足だったとしても報酬が出るようにするから何も問題はないはずなのだが…こいつらそんなに金にがめつかったろうか?
「無駄足だったらレオ!俺と手合わせしろ!」
あ、追加要求の方ですか…そうですか…めんどくさ。
「えー!グエンだけあるのずるい!みんなで調査するんだから私も何か欲しい!!」
グエンの話を聞いて黙っていられなかったのか、珍しくココアがごね始める。あぁ、もうだめだこれ。
「グエンの件は…まぁ…検討する。ココアのは…そうだなぁ…キリエに次の空いてる日を聞いておくよ。それをどう使うかはココア次第ってことで。ケイオスとサージュは何かあるか?」
「オラぁ…何もなかったら、ちょっとゆっくりしたいなぁ」
「私は特にないですよ」
「では、《白狼の牙》にギルドからの直接依頼をお願いします。内容は町周辺で起きているモンスターの異変の原因となる可能性のある上位モンスターの発見と報告。それでは、皆様お気を付けて!」
依頼の受諾をする際の文言をあえて伝えて《白狼の牙》には依頼に出発してもらった。
イナールの町の冒険者ギルドに入って5年。これまでたくさんのことをしてきた。
自分の目指す強さを体現するために、自分のできることを常に探してやり続けてきたつもりだ。
結果としては、現在イナールの町の冒険者ギルドは依頼達成率98%という他のギルドの追随を許さない実績を作り上げることができたのだ。
依頼の達成率は、それだけ依頼元である困っている人たちの困りごとの解決率が98%であるということである。それだけに、この町での冒険者への期待値は高くなっているが、それだけ信頼をされている裏返しとも言える。
その中で頭角を現したのが《白狼の牙》である。常に難しい依頼をこなしながら成り上がってきたパーティだ。
俺の追い求める強さの中に彼らは欠かせないピースになっている。
あいつらなら問題がない。あいつらならこの町を守るための行動をとってくれる。
そんなことを考えながらレオは一人で机に広げた資料を片付け終わり、そろそろ落ち着いてきたであろう受付カウンターに戻るのであった。
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