優しい誓い

南野月奈

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優しい誓い

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 なんかこの前きたときより大きくなってる……目の前のピラルクーは大きな水槽をゆっくり体を振りながら泳いでいる。それは正月営業の家族連れでごった返しているこちら側のことなんてまるで興味のないといった風情でそれが少しばかり羨ましい。

「なんか前より大きくなってない?熱帯の魚ってでかいって聞くけど」
 
 そうやって目の前の佳穂に問いかけると佳穂は軽く頷く。

「さっきあれ読んだけど最大では5メートルとかになるらしいよ」
 
 そうやって佳穂が指さした水槽の横にはこの前来た時にはスルーしてしまっていた説明板が掲示してあって父親が子供に熱心に説明したりしている。

「5メートル!佳穂の三倍以上じゃん」
「まあ、飼育下だとそこまではいかないらしいけどね、でもまだまだ大きくなりそうだよね寿命も十五年以上あるって」
 
 この水族館にはでっかい魚もカラフルな魚もかわいい小動物もいたけれどピラルクーに心奪われてしまって私は帰りに水族館の売店でピラルクーの多少デフォルメされたぬいぐるみを買った。

「なっちゃん、そういえばなんでピラルクーのぬいぐるみ買ったの?カワウソとかもあったじゃん?」
 
 正月のレストランはどこもめちゃくちゃに混んでいて私たち二人はなんとかいかにも昭和から生き残っている小さな家族経営のドライブインを検索でみつけ意外とおいしい親子丼にありついている。二人ともお腹がすいていたので口紅がとれるのも気にしないでがっついて。

「おまじない……かな?」
「おまじない?」
「あのピラルクーがもっとでっかくなったときに佳穂と一緒に見られますようにって」
「そのときには二人ともアラフォーだね、きっと大変だよあの水族館意外と広いし、今日みたいにヒールでおしゃれして元気になんて周れないよ」
「パンツにスニーカーだっていいよ二人だったら」
「じゃあ、行こうね!でもおまじないはいやだな……うーん、それより誓いとかどうかな?」
「誓いのピラルクーのぬいぐるみ!いいね!私たちっぽくて」
 
 照れ隠しに二人ともけたけた笑う。
 
 なにが私たちっぽいのかは謎だけど、二人の新居には思わぬ同居人ができたことは喜ばしいことだ。
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