【完結】毒殺疑惑で断罪されるのはゴメンですが婚約破棄は即決でOKです

早奈恵

文字の大きさ
11 / 42
本編

11.矛盾

しおりを挟む
 あの可愛い白馬が誰かに殺されたとしたら許せない。

 もし何もかもが仕組まれた結果なら、ルーザリア嬢の接近や二人の熱愛さえもが『真実の愛がもたらしたバカな行動』ではなく『罠にはまったアホな結果』なわけだ。

 それはそれで、クラウン殿下は私が思っている以上にダメな王子だと分かってしまい……国家のお荷物感がさらに増す。



 ん?

 ちょっと待って……。

 もしかして、私が殿下を見放みはなすように仕向けられているのでは?



 そこに思いいたってきもが冷える。

 これは確かめないわけにはいかない。                      



「クラウン殿下は最近、公務を減らしていると言うのは本当?」

「いや。減らしただなんて聞いてないよ」

「でも、最近学園に毎日登校されてるって話は?」

「まさか、毎日来られたら俺の気が休まらな……」



 ヴィクターはハッとして口を手でおおった。

 周囲には聞こえなかったようで私もホッとする。



「……ちなみに昨日は?」

「えーっと、隣国の大使と会談だったな。まだ公にはできない案件だけど……」

「昨日中庭で、ルーザリア嬢にひざ枕してもらっていたって、私の友人が目撃して教えてくれたの……」



 私たちは無言で見詰めあった。



「おかしいですわね」

「……オカシイネ」



 幼なじみだからこそかもしれないけど、何か違和感はあった。

 だけどヴィクターが教えてくれないなら、今ここでそこに時間を使うべきではない。

 今はこの、こんがらがった話を元に戻すほうが先だ。

 私の目配せでヴィクターは何をすれば良いのかさっしたらしく、彼は素早くフールに向き直り相手が身構える前に質問した。



「フール、キミはチャボットを見て、どう思った?」

「……どうって?」

「だから……大きいとか、走るのが早いとか、賢いとか、色々あると思うんだけどな」

「えーと……」



 フールはヴィクターの問いにしばし考える。



「大きくは……なりましたけど、まだそれほどではないかと……」

「うん、ほかには?」

「賢い? 確かに人の言葉をまったく理解してない訳じゃありませんけど、なにぶん忘れっぽいですよね?」

「忘れっぽい?」

「あ、いや、その……悪口とかではなくですね、やっぱり所詮しょせんはニワトリですから、そこは仕方がないと思うんです!」



 クラウン殿下がブンッと振り返る。



「ニワトリだと!?」

「はい!」



 低重音で叫ばれ骨髄反射こつずいはんしゃで答えたフールは真っ青だ。

 しかし彼は自分の失態が何であるか分かっていない。

 オロオロと挙動不審で立ち尽くしている。



「お前は何の話をしている? チャボットの話だぞ!」

「は、はい! 殿下のチャボット様は、ニワトリとは別物であります! 同列に語るなど……申し訳ありませんでした」



 どう聞いても彼はチャボットがジドリーニワトリだと信じているらしい。

 周囲を見回せば、さっきから話の内容がチグハグだと首を傾げる高位貴族の令息がチラホラ確認できた。

 彼らはチャボットが何であるか分かっていなくとも、話の内容からジドリーの話としか思えないから混乱しているのだろう。

 うーんと唸る私の隣で、ヴィクターが後ろを向いて肩を揺らしている。

 これはどう決着をつけるべきか?

 迷うところである。
しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました

鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」 そう言ったのは、王太子アレス。 そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。 外交も財政も軍備も―― すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。 けれど功績はすべて王太子のもの。 感謝も敬意も、ただの一度もない。 そして迎えた舞踏会の夜。 「便利だったが、飾りには向かん」 公開婚約破棄。 それならば、とレイナは微笑む。 「では業務も終了でよろしいですね?」 王太子が望んだ通り、 彼女は“確認”をやめた。 保証を外し、責任を返し、 そして最後に―― 「ご確認を」と差し出した書類に、 彼は何も読まずに署名した。 国は契約で成り立っている。 確認しない者に、王の資格はない。 働きたくない公爵令嬢と、 責任を理解しなかった王太子。 静かな契約ざまぁ劇、開幕。 ---

転生令嬢はのんびりしたい!〜その愛はお断りします〜

咲宮
恋愛
私はオルティアナ公爵家に生まれた長女、アイシアと申します。 実は前世持ちでいわゆる転生令嬢なんです。前世でもかなりいいところのお嬢様でした。今回でもお嬢様、これまたいいところの!前世はなんだかんだ忙しかったので、今回はのんびりライフを楽しもう!…そう思っていたのに。 どうして貴方まで同じ世界に転生してるの? しかも王子ってどういうこと!? お願いだから私ののんびりライフを邪魔しないで! その愛はお断りしますから! ※更新が不定期です。 ※誤字脱字の指摘や感想、よろしければお願いします。 ※完結から結構経ちましたが、番外編を始めます!

悪役令嬢に仕立て上げたいのならば、悪役令嬢になってあげましょう。ただし。

三谷朱花
恋愛
私、クリスティアーヌは、ゼビア王国の皇太子の婚約者だ。だけど、学院の卒業を祝うべきパーティーで、婚約者であるファビアンに悪事を突き付けられることになった。その横にはおびえた様子でファビアンに縋り付き私を見る男爵令嬢ノエリアがいる。うつむきわなわな震える私は、顔を二人に向けた。悪役令嬢になるために。

【完結】悪役令嬢は婚約者を差し上げたい

三谷朱花
恋愛
アリス・デッセ侯爵令嬢と婚約者であるハース・マーヴィン侯爵令息の出会いは最悪だった。 そして、学園の食堂で、アリスは、「ハース様を解放して欲しい」というメルル・アーディン侯爵令嬢の言葉に、頷こうとした。

未来の記憶を手に入れて~婚約破棄された瞬間に未来を知った私は、受け入れて逃げ出したのだが~

キョウキョウ
恋愛
リムピンゼル公爵家の令嬢であるコルネリアはある日突然、ヘルベルト王子から婚約を破棄すると告げられた。 その瞬間にコルネリアは、処刑されてしまった数々の未来を見る。 絶対に死にたくないと思った彼女は、婚約破棄を快く受け入れた。 今後は彼らに目をつけられないよう、田舎に引きこもって地味に暮らすことを決意する。 それなのに、王子の周りに居た人達が次々と私に求婚してきた!? ※カクヨムにも掲載中の作品です。

真実の愛とやらの結末を見せてほしい~婚約破棄された私は、愚か者たちの行く末を観察する~

キョウキョウ
恋愛
私は、イステリッジ家のエルミリア。ある日、貴族の集まる公の場で婚約を破棄された。 真実の愛とやらが存在すると言い出して、その相手は私ではないと告げる王太子。冗談なんかではなく、本気の目で。 他にも婚約を破棄する理由があると言い出して、王太子が愛している男爵令嬢をいじめたという罪を私に着せようとしてきた。そんなこと、していないのに。冤罪である。 聞くに堪えないような侮辱を受けた私は、それを理由に実家であるイステリッジ公爵家と一緒に王家を見限ることにしました。 その後、何の関係もなくなった王太子から私の元に沢山の手紙が送られてきました。しつこく、何度も。でも私は、愚かな王子と関わり合いになりたくありません。でも、興味はあります。真実の愛とやらは、どんなものなのか。 今後は遠く離れた別の国から、彼らの様子と行く末を眺めて楽しもうと思います。 そちらがどれだけ困ろうが、知ったことではありません。運命のお相手だという女性と存分に仲良くして、真実の愛の結末を、ぜひ私に見せてほしい。 ※本作品は、少し前に連載していた試作の完成版です。大まかな展開は、ほぼ変わりません。加筆修正して、新たに連載します。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる

葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。 アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。 アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。 市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。

悪役令嬢に転生しましたが、行いを変えるつもりはありません

れぐまき
恋愛
公爵令嬢セシリアは皇太子との婚約発表舞踏会で、とある男爵令嬢を見かけたことをきっかけに、自分が『宝石の絆』という乙女ゲームのライバルキャラであることを知る。 「…私、間違ってませんわね」 曲がったことが大嫌いなオーバースペック公爵令嬢が自分の信念を貫き通す話 …だったはずが最近はどこか天然の主人公と勘違い王子のすれ違い(勘違い)恋愛話になってきている… 5/13 ちょっとお話が長くなってきたので一旦全話非公開にして纏めたり加筆したりと大幅に修正していきます 5/22 修正完了しました。明日から通常更新に戻ります 9/21 完結しました また気が向いたら番外編として二人のその後をアップしていきたいと思います

処理中です...