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自由
しおりを挟む眠っている少女を見つけたのは12時を少し回った頃だった。こんな奥地に子どもがいること事態あり得ないことであったが、それよりも少女の美しい白い肌に見とれてしまった。草花の生命輝く野原に春の陽を浴び輝く少女はまるで妖精のようであった。こんなところで寝ていてはいけない。とにかく少女を近くの小屋まで運び、ソファに寝かせた。
「おかしなことが続くもんだ」
若い農家は呟いてパイプを吹かした。
3ヶ月前だろうか。魚が空を泳ぎだした。鯨が横切った時は巨大な飛行船でもやって来たのかと思った。それから1ヶ月経って、ありとあらゆる花ばなが季節という制約を越えて咲き誇った。そして…。謎の少女が現れた。
世界の終わりだという者も少なからずいたが魚が空で泳いでいることに慣れてしまった者もいる。目が覚めたら家まで送ろう。そう思い椅子に座っているといつの間にか眠ってしまっていた。
夢を見た。色鮮やかな花ばなと緑に囲まれ、風を感じる。白い少女が前を走っている。若い農家は追いかけるがその距離は遠ざかるばかりだ。「きれい」少女の声が耳に残る。
目が覚めるとソファに少女はいなかった。窓から外を見ると相変わらず暖かな陽が射している。外に出ようと扉を開けようとする。しかし扉は開かなかった。「さようなら」少女の声が聞こえた。
そうだ。若い農家は思い出した。少女こそが小屋から出れない運命の自分を自由の世界へ旅立たせてくれる。自分の存在を証明してくれる。その少女を見ることはできないが、その声から想像するんだ。美しい白い肌を。
若い農家はそっとつぶやいた。
「さようなら。」
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