永遠の瑠衣

箱枝ゆづき

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変化②

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 好きなら体の関係を持つのは当然かもしれないが、それでも瑠衣ちゃんと肉体関係を持ってしまうのは純真無垢で素直な彼女を穢すような気がしてしまって、踏みとどまってしまう。
 しかし瑠衣ちゃんをめちゃくちゃにしたい衝動も同時に存在していて、これらが綱引き状態である。
 正直辛いです。

 二人で朝ごはんを食べ終えて洗い物を済ませると、玄関先で靴を履いて登校の準備をする。
 その間もずっと瑠衣ちゃんがぴったりくっついてくるのだが、ふと何かを思い出したかのように離れていった。
 少し寂しそうな顔をする瑠衣ちゃんに罪悪感を感じるが、それを悟られないように笑顔で手を振ってあげる。
 そうすると瑠衣ちゃんも手を振り返してくれるのだけど、その表情は少し悲しげである。

「ヒナタ、行ってしまうのか? わらわは寂しい……」

 そう言って抱きついてくる。
 今までこんなことを言わなかったのに。

 いや、実は前から寂しいと思っていたものの寂しさの度合いが許容範囲内のレベルだったためここまでの状態にはならなかったが、ここ最近急接近したために寂しさの度合いが許容範囲を超えてしまった。
 もしくは許容範囲が小さくなってしまった。
 そしてこんな感じで寂しさが我慢できなくなり引き留めてきた。
 その可能性が高いような気がする。

 僕はこのまま抱きしめて学校をサボりたい気分になったが、なんとか心を鬼にしてやんわりと離してあげると、悲しそうな顔で僕を見つめて来る。
 頭を撫でてあげると渋々と言った感じで手を離してくれた。
 そして僕は名残惜しい気持ちを抑えながら玄関のドアを開けようとすると、いきなり後ろから手を掴まれる。

 振り返ると、そこには目に涙を浮かべた瑠衣ちゃんの顔が。
 なんだかチクッと胸が痛んだ。
 ああ、女の子の泣き顔は本当に反則だ。特に瑠衣ちゃんの泣き顔は……。

「瑠衣ちゃん、今生の別れじゃないんだから、夕方には帰ってくるからさ」

 そう言って宥めてみるものの、彼女は首を横に振るばかりであった。

「どうしても行かなきゃダメなのか? やっぱりわらわを置いていくのか? もう会えないかもしれないのじゃ……」

 と言うので、僕は彼女の頭に手を乗せて撫でながら言う。

「大丈夫だよ、夕方にはまた会えるって」

 そう言ってあげるとようやく納得したようで手を離すのだった。
 玄関のドアを閉めたあと、瑠衣ちゃんのすすり泣く声が聞こえてくる。
 寂しい気持ちが痛いほどわかるだけに余計に申し訳ない気分になってくる。

 たかが学校に行くだけなのに、夕方には帰ってくるのに、僕は後ろ髪を引かれる思いでその場を後にした。
 瑠衣ちゃんのために無事に帰れるよう、事故とかにはマジで気をつけようと思った。
 ……ああ、なるほど、僕はバカップルの気持ちをたった今理解してしまった。
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