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第1話 神聖なる王子
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馬車が止まる気配がして、アランは目を覚ました。
移動中散々考え事をして眠れそうにないと思っていたが、いつの間にか意識を落としていたらしい。大分疲れていたのだろう。
無理もない。
今まで生まれ育って来た王宮を燃やされ、命からがら脱出して馬車に揺られ続けて来たのだから。
アランだってれっきとした王子なのだから、武術などを嗜み体力はそれなりにあるが、やはり訓練と実践は全く違う。
実践の方が何倍も考える、動く、動揺する。そして、疲れる。
「…体が痛いな」
王宮では一流の職人が技巧の限りを尽くした、柔らかく絢爛なベッドで寝ていた。
まさか馬車の荷台で毛布にくるまり寝る日が来るなんて、アランは思ってもいなかった。
「…アラン。お開けください」
軽いノックの後に、ベアトリクスの声が聞こえる。
アランは慌てて戸のかんぬきを抜くと、荷台の搬入口をそっと開けた。
眩い光が、真っ暗な荷台に滑り込んでアランの青い瞳を刺激する。
光の強さからすると、今は昼時なのだろう。
…あの火事から随分時間が経った。
「ベアトリクス、今は…」
アランは口を噤んだ。
ベアトリクスの目の下には深いクマが出来て、若干顔がむくんでいた。彼女は極めて穏やかな表情を作っているものの、その奥に疲労が見えており、かなり無理をしている。
無理もない。彼女は長時間ずっと馬車を走らせていたのだから。昨日は風が強く、寒い日だった。女性であるベアトリクスにとって、さぞかし辛かったのだろう。
アランは自分の浅はかさを呪った。
ベアトリクスにどうして声をかけてやらなかったのか。休憩などさせてやればよかったのに。
なのに自分は、呑気に寝ていたなんて。
「…ベアトリクス、ごめんね」
「え?」
「…ずっと、馬車を任せてしまった。君の方が、僕よりずっと疲れているのに」
ベアトリクスは遠慮がちに目を伏せた。
「そんなことはありません。…貴方はご自身のお家を焼かれたのですよ。その苦しみに比べたら、私の疲労など、取るに足らないものですから」
「でも…休んでよ。お願い」
アランが目を潤ませて訴えると、ベアトリクスにしては珍しく言葉に甘えてきた。
「ええ、そうさせていただきます。申し訳ありませんアラン。アランも一緒にお休みになられますか?」
「ううん、平気。ゆっくり寝てね、ベアトリクス」
ベアトリクスは荷台に乗って毛布に身を寄せたあと、迷った。
…もし、アランの身に何か起こったなら、と思うと寝付けない。けれど、こんなフラフラな状態では、自分は力になれないだろう。
ベアトリクスは意を決すると、懐から飾り気のない簡素な笛を取り出す。そして、それをアランの手に握らせた。
「これは?」
「通常の倍以上の大音量を出せる笛です。本来は軍事用に使うもので、私たちはこれを大笛と呼んでいます。
いいですか?何かあったら躊躇わずその笛をお吹きください。すぐに駆けつけます。それと、くれぐれも町にはいかないこと。この馬車から100メートル以降には、行かないこと。守っていただけますか?」
ベアトリクスの刺すような鋭い眼光と緊張感に、アランは身を硬くした。
「うん、わかったよ。ベアトリクス」
ベアトリクスはゆっくり頷くと、荷台から一本、折りたたみの短刀と庶民用の衣服を取りだした。
衣服を見た瞬間、アランは自分が寝間着であることに気がついた。
寝ているところを這い出してきたのだ。
そりゃあ、寝間着であるのは状況から考えて至って普通のことだが、幾ら側近とはいえ妙齢の女性に寝間着姿を見られるのはいささか恥ずかしい。
アランは顔を少しだけ赤に染めて俯いた。
「申し訳ありませんが、正体を隠すためにもその服をご着用ください。短刀は、あくまで相手を脅すための飾りです。見えるところに持っていてください。決して、武器として使ってはなりませんよ」
「え、どうして…?」
「アランの御手を血で汚すことになるからです。貴方様は、神聖な存在でなくてはならないのですから」
アランは、戦が大嫌いだ。
身分柄、今までたくさんの戦地に赴き、父と一緒に戦を見てきた。
王の名の下に戦っている戦士達が次々に死に、殺し、狂うように戦っていくのを見るのは、辛かった。
同時にアランは自覚をしていた。
自分たちが今こうして生きているのは、自分たちが神聖な存在で神に愛され、加護されているからではない。
たくさんの武力と庶民の力によって、守られてきたのだという自覚だ。
…疑問だった。
どうして王族だけ手を汚さずにのうのうと生きているのか。
他の者を犠牲にし、その上に立ち、偉そうに政策だけ公言する。
民から税を集めて王宮を華美にし、贅沢に暮らす。
自分たちは、そんな存在なのだ。
神聖とはかけ離れた、欲望の結晶。なのに手は汚さない。そんな…そんな、卑怯か存在なのだ。
「ベアトリクス。僕は、自分が神聖だと思っていないよ」
虚偽でも謙遜でもない、本心だった。
国を紡いだのは王族ではない。民だ。
民の知識と勇気が紡がれて、大きな国を築いた。むしろ王族が、民にひれ伏すべきなのだ。
「自分の身だって自分で守る。君に手を汚させて、自分は何もしないなんて、そんなのは嫌だ」
ベアトリクスは、順調にいけば次代の王になるであろう少年の瞳を見て確信をした。いや、以前から思っていたから、確信というよりかは再確信といった方が正しい。
…この王子は、とても聡い。
現実を見極めて自分を誇示せず、他人を想う優しさを兼ねている。聡明な、良き王となるだろう。
しかし、甘い。認識がとても甘い。
王子は若い。自分が神聖でいなければならない理由をまだ理解していない。
「わかりました。後日、護身術をお教えいたしましょう。貴方様もいくつか武術の心得はあると存じておりますが、更に実践的で効果的なものをお教えします」
「本当に!?」
アランの顔がパッと明るくなる。
対照的に、ベアトリクスは苦々しい顔になった。
「ええ。ですから、今日は私の言う事に従ってもらってもいいですか?」
「うん、分かったよ。ありがとうベアトリクス」
アランがそっと荷台の扉を閉めると、ベアトリクスは闇に包まれた。
ベアトリクスは、昨夜詰め込んだ武器の中でも最も大きな刃渡を持つ剣を枕元に置いた。無論、いつでもアランを救助できるようにするためだ。
そして、馬車の荷台に体を横たわらせる。睡魔はすぐに現れて、ベアトリクスを夢の世界へと攫っていった。
一方でアランは、この地がどこであるか、すぐに理解できた。何故なら、白いミュリ(兎によく似ているが、通常の兎より一回り小さく、尾がないのが特徴の哺乳生物)がアランのすぐ横を走り抜けたからだ。そして以前習ったのだが、ミュリはサップ村の固有生物だ。
サップ村はシノリア国の東北方面に位置し、王宮から60キロメートルほど離れている。
原生林に覆われ、発達している産業も特に無く、人口の少ない過疎地域である。
しかし、その原生林が綺麗な事で知られていて、密かに旅人に人気の村である。
(旅人に人気があるスポットだから、旅人向けの宿とか施設とかは多分あると思うけど…)
しかし、辺りは苔やら葉っぱやら、とにかく一面真緑。
(これ、離れたらすぐ迷っちゃいそう…。どこが北か南か分からないし)
とりあえずアランは馬の近くに寄ってストンと腰を下ろす。
ヌル…といやな感触がして腰をあげると、案の定お尻に苔の汁がたくさん付着していた。
「むやみに座れないな…」
仕方がないのでグルグルと歩き回ることにする。
「あ、そうだ。お前、喉乾いてるよね?お水持ってくるね!」
ベアトリクスが一応水など適宜与えてはいたが、不眠不休で働いていた馬にも休息を与えるべきだ。
「いい子だね~」
頭を優しく撫でて、近くに泉を探しにいくことにする。
そのとき、背後の茂みが揺れた。
移動中散々考え事をして眠れそうにないと思っていたが、いつの間にか意識を落としていたらしい。大分疲れていたのだろう。
無理もない。
今まで生まれ育って来た王宮を燃やされ、命からがら脱出して馬車に揺られ続けて来たのだから。
アランだってれっきとした王子なのだから、武術などを嗜み体力はそれなりにあるが、やはり訓練と実践は全く違う。
実践の方が何倍も考える、動く、動揺する。そして、疲れる。
「…体が痛いな」
王宮では一流の職人が技巧の限りを尽くした、柔らかく絢爛なベッドで寝ていた。
まさか馬車の荷台で毛布にくるまり寝る日が来るなんて、アランは思ってもいなかった。
「…アラン。お開けください」
軽いノックの後に、ベアトリクスの声が聞こえる。
アランは慌てて戸のかんぬきを抜くと、荷台の搬入口をそっと開けた。
眩い光が、真っ暗な荷台に滑り込んでアランの青い瞳を刺激する。
光の強さからすると、今は昼時なのだろう。
…あの火事から随分時間が経った。
「ベアトリクス、今は…」
アランは口を噤んだ。
ベアトリクスの目の下には深いクマが出来て、若干顔がむくんでいた。彼女は極めて穏やかな表情を作っているものの、その奥に疲労が見えており、かなり無理をしている。
無理もない。彼女は長時間ずっと馬車を走らせていたのだから。昨日は風が強く、寒い日だった。女性であるベアトリクスにとって、さぞかし辛かったのだろう。
アランは自分の浅はかさを呪った。
ベアトリクスにどうして声をかけてやらなかったのか。休憩などさせてやればよかったのに。
なのに自分は、呑気に寝ていたなんて。
「…ベアトリクス、ごめんね」
「え?」
「…ずっと、馬車を任せてしまった。君の方が、僕よりずっと疲れているのに」
ベアトリクスは遠慮がちに目を伏せた。
「そんなことはありません。…貴方はご自身のお家を焼かれたのですよ。その苦しみに比べたら、私の疲労など、取るに足らないものですから」
「でも…休んでよ。お願い」
アランが目を潤ませて訴えると、ベアトリクスにしては珍しく言葉に甘えてきた。
「ええ、そうさせていただきます。申し訳ありませんアラン。アランも一緒にお休みになられますか?」
「ううん、平気。ゆっくり寝てね、ベアトリクス」
ベアトリクスは荷台に乗って毛布に身を寄せたあと、迷った。
…もし、アランの身に何か起こったなら、と思うと寝付けない。けれど、こんなフラフラな状態では、自分は力になれないだろう。
ベアトリクスは意を決すると、懐から飾り気のない簡素な笛を取り出す。そして、それをアランの手に握らせた。
「これは?」
「通常の倍以上の大音量を出せる笛です。本来は軍事用に使うもので、私たちはこれを大笛と呼んでいます。
いいですか?何かあったら躊躇わずその笛をお吹きください。すぐに駆けつけます。それと、くれぐれも町にはいかないこと。この馬車から100メートル以降には、行かないこと。守っていただけますか?」
ベアトリクスの刺すような鋭い眼光と緊張感に、アランは身を硬くした。
「うん、わかったよ。ベアトリクス」
ベアトリクスはゆっくり頷くと、荷台から一本、折りたたみの短刀と庶民用の衣服を取りだした。
衣服を見た瞬間、アランは自分が寝間着であることに気がついた。
寝ているところを這い出してきたのだ。
そりゃあ、寝間着であるのは状況から考えて至って普通のことだが、幾ら側近とはいえ妙齢の女性に寝間着姿を見られるのはいささか恥ずかしい。
アランは顔を少しだけ赤に染めて俯いた。
「申し訳ありませんが、正体を隠すためにもその服をご着用ください。短刀は、あくまで相手を脅すための飾りです。見えるところに持っていてください。決して、武器として使ってはなりませんよ」
「え、どうして…?」
「アランの御手を血で汚すことになるからです。貴方様は、神聖な存在でなくてはならないのですから」
アランは、戦が大嫌いだ。
身分柄、今までたくさんの戦地に赴き、父と一緒に戦を見てきた。
王の名の下に戦っている戦士達が次々に死に、殺し、狂うように戦っていくのを見るのは、辛かった。
同時にアランは自覚をしていた。
自分たちが今こうして生きているのは、自分たちが神聖な存在で神に愛され、加護されているからではない。
たくさんの武力と庶民の力によって、守られてきたのだという自覚だ。
…疑問だった。
どうして王族だけ手を汚さずにのうのうと生きているのか。
他の者を犠牲にし、その上に立ち、偉そうに政策だけ公言する。
民から税を集めて王宮を華美にし、贅沢に暮らす。
自分たちは、そんな存在なのだ。
神聖とはかけ離れた、欲望の結晶。なのに手は汚さない。そんな…そんな、卑怯か存在なのだ。
「ベアトリクス。僕は、自分が神聖だと思っていないよ」
虚偽でも謙遜でもない、本心だった。
国を紡いだのは王族ではない。民だ。
民の知識と勇気が紡がれて、大きな国を築いた。むしろ王族が、民にひれ伏すべきなのだ。
「自分の身だって自分で守る。君に手を汚させて、自分は何もしないなんて、そんなのは嫌だ」
ベアトリクスは、順調にいけば次代の王になるであろう少年の瞳を見て確信をした。いや、以前から思っていたから、確信というよりかは再確信といった方が正しい。
…この王子は、とても聡い。
現実を見極めて自分を誇示せず、他人を想う優しさを兼ねている。聡明な、良き王となるだろう。
しかし、甘い。認識がとても甘い。
王子は若い。自分が神聖でいなければならない理由をまだ理解していない。
「わかりました。後日、護身術をお教えいたしましょう。貴方様もいくつか武術の心得はあると存じておりますが、更に実践的で効果的なものをお教えします」
「本当に!?」
アランの顔がパッと明るくなる。
対照的に、ベアトリクスは苦々しい顔になった。
「ええ。ですから、今日は私の言う事に従ってもらってもいいですか?」
「うん、分かったよ。ありがとうベアトリクス」
アランがそっと荷台の扉を閉めると、ベアトリクスは闇に包まれた。
ベアトリクスは、昨夜詰め込んだ武器の中でも最も大きな刃渡を持つ剣を枕元に置いた。無論、いつでもアランを救助できるようにするためだ。
そして、馬車の荷台に体を横たわらせる。睡魔はすぐに現れて、ベアトリクスを夢の世界へと攫っていった。
一方でアランは、この地がどこであるか、すぐに理解できた。何故なら、白いミュリ(兎によく似ているが、通常の兎より一回り小さく、尾がないのが特徴の哺乳生物)がアランのすぐ横を走り抜けたからだ。そして以前習ったのだが、ミュリはサップ村の固有生物だ。
サップ村はシノリア国の東北方面に位置し、王宮から60キロメートルほど離れている。
原生林に覆われ、発達している産業も特に無く、人口の少ない過疎地域である。
しかし、その原生林が綺麗な事で知られていて、密かに旅人に人気の村である。
(旅人に人気があるスポットだから、旅人向けの宿とか施設とかは多分あると思うけど…)
しかし、辺りは苔やら葉っぱやら、とにかく一面真緑。
(これ、離れたらすぐ迷っちゃいそう…。どこが北か南か分からないし)
とりあえずアランは馬の近くに寄ってストンと腰を下ろす。
ヌル…といやな感触がして腰をあげると、案の定お尻に苔の汁がたくさん付着していた。
「むやみに座れないな…」
仕方がないのでグルグルと歩き回ることにする。
「あ、そうだ。お前、喉乾いてるよね?お水持ってくるね!」
ベアトリクスが一応水など適宜与えてはいたが、不眠不休で働いていた馬にも休息を与えるべきだ。
「いい子だね~」
頭を優しく撫でて、近くに泉を探しにいくことにする。
そのとき、背後の茂みが揺れた。
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