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しおりを挟む豪奢な宮殿の中、エリザベスは婚約者リチャードの部屋の前に立っていた。
彼女の心臓はドキドキと高鳴っていた。しかし、それは恋心ではなく、怒りだった。
リチャードは街の花形、見目麗しい金髪に碧眼、才能もある貴族の若者だ。
だが、エリザベスは彼が信じられないほどのドンファンだという事実を最近になって知った。
そしてついにある晩、彼が隣家の未亡人と密会している現場を見てしまったのだ。
その次の朝。
「リチャード、あなたとの婚約を解消するわ。」
リチャードは驚いた顔をしたが、すぐに軽薄な笑顔に戻った。
「エリザ、それは残念だな。だが、俺には他にも女性がたくさん…」
エリザベスはリチャードの言葉に対してただ微笑むだけだった。
「それはふざけた話ね。でも、実は私もあなたと同じように残酷なことを考えていたの。」
エリザベスはにっこりと笑った。
リチャードは呆然とした。
「え、どういうことだ?」
「リチャード、私はあなたの財産を目当てにしていたの。でも、実はあなたよりも豊かな男性と知り合い、彼との婚約を決めたのよ」
リチャードの顔が真っ白になった。
エリザベスは勝ち誇ったように笑い、豪奢な宮殿から出て行った。
そう、エリザベスが婚約したのは、リチャードよりも遙かに豊かで、しかも貞淑な男性だった。
リチャードはエリザベスの突然の婚約解消に衝撃を受けながらも、それがエリザベスにとって最良の選択だったことを認めざるを得なかった。
「ざまぁみろ」と心の中でつぶやいたエリザベスは、新たな未来に向けて微笑んだ。
そして、彼女の心には彼に対するの裏切りよりも、新しい愛への期待があふれていたののだった……
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