RIGHT MEMORIZE 〜僕らを轢いてくソラ

neonevi

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▽ 一章 ▽ いつだって思いと歩幅は吊り合わない

1-17 非涯耗走ロッカン

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sideシロ

←ーー←ーー←ーー←ー
三日前ヒロが消えた直後
←ーー←ーー←ーー←ーー


『カッチカッチカッチ』

…あぁ、もう家か。

無意識に出していたウインカーの音で自宅の駐車場に着いた事に気が付いた。

生活圏に戻る事で平常心は取り戻せどその状態は沼底に埋没したまま。



『バタン』ピピッ

駐車場からエントランスを抜けエレベーターに乗る。

『カチッカチカチッ』

苛立ちからボタンを二度三度と押す。


スタスタスタスタスタスタ…

四階の廊下を歩き部屋の前へ。

ガチャン、ガチャ

雑に鍵を回しドアを開け、放り出す様に靴を脱ぎ中へ。

ドタドタドタっ
ピッ
『ドサァァっ』

センサーで点いたリビングの照明を全消灯OFFし、全身を投げ出すようにソファーへ預ける。

「…………… 」













最近割りかしストレス無かったよなぁ…

溶けた様に脱力したオレは、天窓からせせらぐ様に降る月明かりを眺めつつそんな事を思…

"ミレッ"

た時、それを切り裂いて浮かぶさっきの光景に意識が引き戻される。


「ハァーーーー~~… 」

ミレっ、じゃないっての。

けど行方不明。
捜索願い…か。

彼女が消えたあの瞬間と、それを追うヒロ君までもが消えた瞬間は…
間違いなく呑まれるみたく消えた。

だからそうなんだろう。
あの先は何処か別の場所へと繋がっている。

改めてミレって子の様子を思い返すと、自分の国ないし場所へ戻るって感じだった。
だから当然ヒロ君は彼女といて且つ無事な可能性が高い。

となるとやっぱ捜索願いは無しだな。

一度大ごとにしてしまうと無事に帰って来た後が色々と面倒くさい。
しかも捜索を重ねていく中でもしかミレって子とヒロ君の繋がりが露呈すれば、ヒロ君もオレも逃走幇助で御用となるのやも…

「…………ふぅ… 」

でもあの年頃の女がサクッと2人やるってのは何度考えても異常。
つまりそれが許されるか、もしくは必要な情勢の場所って事だよなぁ。

大丈夫かヒロ君。
いや、そもヒロ君は戻って来る気あんのか?

「…………… 」ギシっ

スタスタスタスタ…

ガチャ、カタっカタっ……パタン。

1日1本までと決めているエナジードリンクと、フリージングルームに入れてある冷え冷えのバナナを取り出す。

プシィッ
「ゴクゴクゴクゴクっ、ハァ~~~ぁ………モグモグモグモグモグ」

考えるのもアホな愚問中の愚問だ。

崖オチした行き先は知らんけど、あれは正に駆け落ちそのもの。
オレは頼まれた所までは完遂したのだからここから先は無関係。

「ゴクっゴクっゴクっ… 」

ただこのまま戻って来ないとなると親さん達には報告しないとだよなぁ関わった以上は…
あの優しいご両親だから "息子さんは海外に女の子追っかけて行っちゃいましたぁ笑" とか言っても納得してくれそうな感はある。

あとは職場か…
無断欠勤で連絡の取れない状態が3日も続けば普通は実家ないしに連絡して安否確認を取る。

となると親さんには先に連絡しとかなきゃか…

「ゴクゴクゴクゴクっ」

あー~久々マジで腹立ってきたわ。
いい加減飽きたっつったろぉがあンのクっソチョロメンがぁ。毎度毎度女に振り回されやがって…

モグモグモグモグモグ…
「ゴクゴクゴクっ」カコっ

……そうだな、もういっそのこと放っとくか。

いい大人なんだから偶には痛い目も見た方が良いだろうし、最悪面倒なことになれば夜逃げ処理って事で近江君に丸投げすりゃ良い。

うんうんそうだ、そうしよう。
何であんな自分勝手な人間の世話ためにこんな頭を痛めにゃならんのだ。

まっ頑張ってちょ…っと。

よしっ
こんな時こそとりあえずワークアウトで身体を動かして、シャワーを浴びて気分転換だな。



……



1時間後。



「…………… 」

ダメだ。
すんげぇ気持ちが悪い。

色々と考えた末本人がどうするかの問題なのは当然だけど、それはそもそも最低限無事であればの話。
もしこの時を以ってヒロ君と永遠に会えなくなったり、若しくはヒロ君が取り返しのつかない不幸に見舞われたとしたら…

「…………… 」

後悔するよなぁ…

「あぁ~クソぉぉ」

心配でたまらん。
ヒロ君抜けてるし。

こんな自分にも腹が立つってぇのっ

「チクショーーーっ」バフッ

ソファーを叩く様に立ち上がり、ダイニングテーブルの上の携帯へ。


((プップップップップッ))

「あっリム君お久です、今いい?」
「シロさんお久しぶりっす。全然いっすよー」
「あのさ大至急調達頼んでいい?急にサバイバルする事になってさ」
「サバイバルっすか?ウハハハっ相変わらず面白いっすね~、全然似合わないっすよ?」

「…ハハハだよねぇ」

「で、俺に連絡して来るって事はソレってガチのヤツですよね?」
「そっちも相変わらず早くて助かるよ。ちっと正規では手に入んないか時間かかるからさ」
「了解っす」
「ありがとうリム君。じゃリストすぐメールします。ゴメンね、本業じゃない事頼んで」
「いえいえ」
「じゃよろしくお願いします」
「はい~す」

オレは直ぐにPCの電源を入れて、シャワー中に考えていた必要な物をピックアップする。


コロコロ、コロコロコロ…

こんなところ…か。

「…………ん~……んんん、よし良いな」

そして20分後にメールを送り、続けて自分で用意出来るものをポチッた。

それから、と。

((プップップップップッ))

「あっ御月、さっきはありがとね」
「いえ全然大丈夫です。で、どうしました?」
「頼み事ばっかで悪いんだけどさ、明日の夜までに用意して欲しい物があるんだけど…~~」



一通りの用意はした。
明日からは順次だな。

そこまででオレは考えるのを止め、ベッドへと入った。



……




翌日。



『ザパァッ、ザパァァァン、ザッパァーーーーン… 』

ホームセンターで必要な物を買い揃えた後、沖合いに幾つもの船が行き交っている昼過ぎにあの場所へと戻って来た。

何となく釣り人っぽい格好で荷物を持ち、何となくやましいような怖いような気持ちで岩場から海を眺める。

「ふぅ」
『ビュウゥォォォォーーーー~… 』
ザっザっザ…ザっザっザっザ…

そして潮臭い風が叩く様に吹き付ける中、崖下に降りて行きヒロ君達が消えた手前に立つ。



明るい時間に来ると何の変哲も無いただの海辺なんだけどなぁ。


「ジッシューーーーーーーっ」

海風がおさまるのを待って手に持った水性のスプレー缶を噴霧する。

「ん~、ん~… 」

横80cm?縦190cmほど?か。
目一杯噴霧したカラー剤が、空中に吸い込まれる様に消えるのはやはり不気味。

それになんか "人が通れますよ" 的なサイズが…

ぅん…ン。

すぐに恣意的なものを勘繰ってしまうのはオレの悪い癖だけど、それにしても嫌な感じしかしない。

次は長い棒を試すか。

ヒュン、ヒュン…

空間(GapSpotと名付ける)に対し縦横と振ってみるも変化は無し。

それから

「……消える…ね。…先に異常は…ないと」

GapSpotに正面から差し入れた結果空間で切り取られる様なことはなく、ここまでは即危険と言う様な現象は見られない。

次はデジカメを棒につけ、GapSpotの向こうの動画撮影を試みる。

右から~~~~~~~~~左~~~と…もういいかな。

30秒程撮影したデジカメを手に取りファイルを開く。

カチ、カチ
うん問題なく録画されてるな。

「…………………… 」

はぁ……マジか…

あの子英語全く分かんなかったしなぁ。

海外の海辺や島かも?なんて常識に縋ろうとする無意味な願望は一瞬で消え、小さな画面が映す見覚えの無い風景はもしかしてをやっぱりに変じた。


『ザパァッン、ザバァァン、ザッバァァーーーザザァァァ』


「スゥゥーー…フウゥーーーーーーー~… 」

トポっトポっ…ゴクゴクっ

とは言え動揺しない訳もなく、オレは大きく一息ついてから喉を潤すと、海のある街や海岸線なんかで起きる失踪事件が頭に浮かんだ。

…まさかなぁ。

「…………はぁぁーー~~… 」

何にしても見ぬふりで放置したい。
明らかに個人が扱えるレベルを超えている。

オレは抑えられないため息を吐きながも淡々と動き、1時間掛からずに必要な調査を終えた。



……



「いよぉっとぉ」
『ドサドサァっ』

宅配ボックスに届いていた荷物を床に置く。

オッケーオッケー大方揃いそうだな。


((プップップップップッ))

「お疲れ様っす」
「あっリム君。昨日の件だけどどうかな?」
「大丈夫っすよー全部揃いました。明日の午前中には届きます」
「マジっ?早いっ、さっすが。じゃ明日の夕方には取りに行くね。助かります」
「いえいえ~、それじゃ待ってまーす」
「うんじゃ~ね」

よっし、準備は順調。
本格的な行動は予定通り明後日からだな。






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