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▽ 二章 ▽ 明日は今日を嗤い昨日は今日を憫んだ
2-9 人の行く裏に未知あり孕む罠〔P5〕
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sideマルソラ
・・・破壊された二台の馬車より後方2.5km。
『ドドッドドッドドッドガラッドドッ… 』
「~~ハッ、~~~~ハッ、~~~」
あれは…
緩やかな傾斜の街道が右に曲がって行った300m程先、崖を登る大きな影が列を為している。
ドグラなのか?
ドゴッ「グゴォァアッ 」
『ガギィン』
「…ッ、無理に止めるなァ」
『ゴァァアァッ‼︎ 』ガンガンッ
「待ってろすぐ『ガァァァッ』うわぁ⁉︎ 」
そして聞こえてくる本隊との激しい戦闘音。
しかも群れとは…
『ドドッドザっドザ… 』
「全員下馬せよッ」
風下である事を確認した私は後続に停止の合図をし馬を止める。
ザザザザスッザザスザスッ…
「これより本隊を襲撃しているドグラと思しき群れを挟撃する…がしかし決して踏み込み過ぎるな。見ての通りここから確認出来るだけでも十数体、群れを成しているヤツらを相手にこの狭い街道で戦うのは得策では無い。我々の任務はあくまで本隊である近衛騎士の援護だ」
約300人の部下達は無言で頷く。
「第1後衛は防御陣形を敷き、チャークス率いる第6による弓を絶やさせるな。第6は先程と同じく上方の斜面を陣取り、出来る限り味方を阻害せぬ射角から援護せよ。以上だッ」
「「「「「「「「「ハッ‼︎‼︎ 」」」」」」」」」
話し終えた私もそこで下馬し、人獣入り乱れし戦場へと歩き出す。
ザっザっザっザっザっザっザ……
ザっザっザっザ…
「……………… 」
やはりドグラか。
(※ドグラ。体長は2.5~3.5mほどで主に森の中層を生息域とする凶暴な牙毛種。基本的に群れない。平均的な衛士との戦力比は5対1。危険度5)
ザっザっザっザっザっザ…
「チャークス、鳴らせ」
「ハッ」
チャークスが右手を動かして合図を送る。
『バァンッ‼︎ バァンッ‼︎ 』
「行くぞォォッ‼︎ 」
「「「「「「「「「ウオォォーーーーッ」」」」」」」」」
音と叫び声に反応したドグラ達の背を目掛け、私達は全力で街道を駆け上がる。
『『ゴガァァァッ』』『『ゴァァァーーーーッ』』
すると何体かのドグラは接近する私達の方へと向き、威嚇の怒号を上げながらその巨躯を持ち上げ動いた。
まるで陣形を整えるかの様に。
ザッザッザッザッザ…
先ずはあの一体を殺るか…
私は部下達の士気を高めようと狙いを定める。
「さぁここから一気に片を付けようぞォォッ、全軍味方の射線に警戒せよォーーーーーーォ‼︎ 」
その時混戦を蹴破る逞しい声が響き渡り、重苦しい戦場の空気を一変させる。
フ…良く解っておられる。
「「「「「「「「「「「「「オオォォオオォォオオォォ‼︎‼︎ 」」」」」」」」」」」」」
その衛主オージンに呼応し昂ぶる仲間の雄叫びに乗り…
ザッザッザザザーザザザッーー
獲物目掛け一気に駆ける私…
『『ゴァァーーーーッ』』ブワッ
に振り上げられた鋭い爪…
ザザッーーシュバッ
『『ゴギぁぁァーー~~っ⁉︎ 』』
は3分の1程が突如として千切れ飛ぶ。
ーーズザザァァッ
「いようマルソラぁ、そっちはどうだったよ?」
近衛騎士の証たる藍色の二本線が入る白いハーフマントを靡かせて、ただ1人ドグラの群れの中を風の如く走り抜けて来たのは我等が最強ブレィアスト。
フ…、全く頼もしい限りだな。
「こっちも… 」
ドザッドザンッドドッ
『『ゴァァァアアッ‼︎ 』』
問われた私が答えようとすると、腕先を失ったドグラが怒りに染まり突進して来た。
「ったく。そっち退いてろよぉ……フゥーーーー」
ザ、ザ、ザ…
ブレィアストは私の後ろに居る衛士達にそう言って、迫り来る巨体の方へと無造作に歩き出し…
ドザッドザンッドザッ
『『ゴァァァアーーーーーッ』』
ザ、ザ、ザンッーー
そして接触まで五歩と言う距離で重心を落とした身体がブレる。
ーシューーズバァッ
横一閃。
『ギャ⁉︎ ゴォォォ』
ゴロゴロゴロ…バキバキィ
「「「「「「「「「ウオォォオオオッ‼︎ 」」」」」」」」」
転倒し柵まで転がって激突するドグラに対し、剣を振り抜いた勢いのまま斜め後方へと躱したブレィアスト。
攻防一体を為したその動きは軽やか且つ流麗。
『ギァごァっ…ガ…がァっ』
「そんな単純なブチかまし、誰が食らうかよボケェ」
そしてバタバタと苦しむドグラを当たり前の様に一瞥するブレィアスト。
だが猛進する獣の目を切っ先5cmで正確に切り裂く技の冴えと、その剣を振り抜いたままの体から一足で間合いの外へ跳ぶ強靭な動筋力と体幹は驚異の一言。
素晴らしい。
流石は < 砌 > だな。
「留めを刺せッ」
「「「「「ハッ」」」」」
数人の部下達が捥がくドグラを取り囲んだ。
ザ、ザ、ザ…
「んでそっちは?」
「あぁ、それがな… 」
「ンぬアァァァァッ」
ブシュゥッ『グゴァァ⁉︎ 』
再度話しを続けようとした所で、獣にも負けぬ衛主の唸り声とドグラの苦しむ声。
イグアレムス国内でも勇猛で鳴らす我がフラエの衛主オージンは、近衛騎士の上位隊長と遜色無い武力を誇っている。
がしかし最前線で護衛をさせられる側は…
「シンスハー急げッ」
「了解ッ」ダタタタッーー
ーブシュァ『ゴァッ⁉︎ 』
「ネリー小隊はスペースを堅持しろッ」
「承知しましたッ」
良く通る副隊長ロビンノーグの指示が飛び、ブレィアストに続き突っ込んて来る衛主の周囲を駆けて来る。
ボリボリ…
「はぁ、またおやっさんは出過ぎだぜぇ… 」
この命が壊れ逝く生死波打つ瞬間において、身内との日常に嘆息するかの様なブレィアスト。
とは言え私も同じ気持ち…
ドザッドザッ
「急に戻らせてすまんなぁマルソラ。そっちはどうであった?」
…とは言えまい。
「ここより2.5km先に何かに襲われたと思しき馬車があり、そこから押し寄せるボリージャ数百を駆除しつつ700が関へと救援に向かっております」
「その馬車はボリージャに因るものか?」
「いえ、おそらく人の手によるかと」
「人?」
次々と崖から現れるドグラを睨むブレィアストが口を挟む。
この異常事態の原因に疑念を膨らませて。
「ならば先ず、この街道を荒らす獣共から片付けよう」
ザッダザザザッ
「ヌオァアァァーーッ」
だが衛主はそう言い終えるやいなやドグラ目掛け駆けて行く。
「「……… 」」
私はブレィアストと頷き合う。
「第1隊防御ラインを押し上げろッ、一気に片を付けるぞッ」
「「「「「「「「オオォォッ」」」」」」」」
『ゴガァァァア』
ドカッ「グォおぉっ⁉︎ 」「うぉ⁉︎ 」
盾ごと弾き飛ばされる近衛騎士達。
分厚い皮下組織を持つドグラは顔や腹周り以外を攻撃しても中々致命に至らない。
「オラァァ」ーズバッ
『ゴァァッ』
ブンッー「うぉっ‼︎ とぉ」
その上このドグラは群れを成し互いの隙を補っている。
『ゴギォっ⁉︎ 』
「そっちの脚が止まったぞ」
ヒュヒュヒュヒュン
『ゴァギャァァ… 』ドサン…
『ゴァァっゴゴぁ…ガ…』
「こっちも両手イッタぞォォっ」
しかしそれでも近衛本隊は着実に攻撃を積み重ね、一体ずつ確実に削りそして倒して行く。
ザザンッ
「フゥッ」ーーブシュッ
『『ゴァァァアッ』』
私は頭上から振り抜かれた爪を躱し、ドグラの脇の下を斬り裂くも追撃は出来ず。
『ゴルルゥ… 』
「………… 」
しかし解せん。
本来群れぬドグラが何故ここまで集まって来る?
戦闘の長期化を覚悟しつつ消えぬ疑問。
『『『バォオオオァァーーーーアアッツ‼︎ 』』』
ーー~ッ‼︎
それに答えるかの様なタイミングで放たれたのは、頭頂部を殴りつけるが如き咆哮。
『『ゴァァーーーーッ』』『『ゴガァァーーーーッ』』
『『グガァーーーーーーッ』』
それに続くドグラ達の奮起の雄叫び。
「あ、あれはまさか…… 」
そしてのそりと崖下から覗かせた新手の頭部は、ドグラよりも三回りは大きく且つ鼻から眉間に角が突き立っていた。
ズザン、ズザン…
『『グコッグゴーーッ』』
喉を鳴らし街道に上がったその巨体たるや、周囲のドグラがまるで幼体の様…
「ドゴルバグラ… 」
(※ドゴルバグラ。体長は4~6mほどで森の深層を主な生息域とする極めて凶暴な牙毛種。同種族であるドグラをしばしば従える。平均的な衛士との戦力比は20対1。危険度9)
「で、デケェ… 」「何だよ、この怪物は… 」
「ドゴルバグラ?」
初めて目にする巨獣に驚愕する隊員達。
しかしそれは更に加速する。
「ッ⁉︎ おい見ろッ」
「…嘘だろ」「マジかよ… 」
1、2……更に3体だと?
このフラエ領でドゴルバグラが森を出て来たのは、数十年前に単体で一度のみ。
これは…
な、何が起きているのだ…
ーズバッ『ゴガぁ⁉︎ 』
「フンッ」
ーブシュ『ギガっ… 』
「怯んでんじゃねェぞテメェらーーッ‼︎ 4体くらい俺が殺ってやるから黙って見とけェェ」
動揺し固まった我々を見て、最前線で猛然と剣を振るうブレィアストが激を走らせる。
「そうだお前達ーーーーィィっ、我等は獣なんぞに遅れは取らァァぬゥツ‼︎ 」
ドシャ
『ギピィ⁉︎ 』
そしてその近く、大鉾を振るいドグラを叩き伏せる衛主も負けじと鼓舞する。
ギュゥッ
手の平が熱い。
「今こそ奮い立てッ、我等はイグアレムスの衛士也ッ‼︎ 」
ザザッザザーザザッーー
端欠けの星が戦場を淡く照らす夜、私達は未知の戦いへと足を踏み入れる。
・・・破壊された二台の馬車より後方2.5km。
『ドドッドドッドドッドガラッドドッ… 』
「~~ハッ、~~~~ハッ、~~~」
あれは…
緩やかな傾斜の街道が右に曲がって行った300m程先、崖を登る大きな影が列を為している。
ドグラなのか?
ドゴッ「グゴォァアッ 」
『ガギィン』
「…ッ、無理に止めるなァ」
『ゴァァアァッ‼︎ 』ガンガンッ
「待ってろすぐ『ガァァァッ』うわぁ⁉︎ 」
そして聞こえてくる本隊との激しい戦闘音。
しかも群れとは…
『ドドッドザっドザ… 』
「全員下馬せよッ」
風下である事を確認した私は後続に停止の合図をし馬を止める。
ザザザザスッザザスザスッ…
「これより本隊を襲撃しているドグラと思しき群れを挟撃する…がしかし決して踏み込み過ぎるな。見ての通りここから確認出来るだけでも十数体、群れを成しているヤツらを相手にこの狭い街道で戦うのは得策では無い。我々の任務はあくまで本隊である近衛騎士の援護だ」
約300人の部下達は無言で頷く。
「第1後衛は防御陣形を敷き、チャークス率いる第6による弓を絶やさせるな。第6は先程と同じく上方の斜面を陣取り、出来る限り味方を阻害せぬ射角から援護せよ。以上だッ」
「「「「「「「「「ハッ‼︎‼︎ 」」」」」」」」」
話し終えた私もそこで下馬し、人獣入り乱れし戦場へと歩き出す。
ザっザっザっザっザっザっザ……
ザっザっザっザ…
「……………… 」
やはりドグラか。
(※ドグラ。体長は2.5~3.5mほどで主に森の中層を生息域とする凶暴な牙毛種。基本的に群れない。平均的な衛士との戦力比は5対1。危険度5)
ザっザっザっザっザっザ…
「チャークス、鳴らせ」
「ハッ」
チャークスが右手を動かして合図を送る。
『バァンッ‼︎ バァンッ‼︎ 』
「行くぞォォッ‼︎ 」
「「「「「「「「「ウオォォーーーーッ」」」」」」」」」
音と叫び声に反応したドグラ達の背を目掛け、私達は全力で街道を駆け上がる。
『『ゴガァァァッ』』『『ゴァァァーーーーッ』』
すると何体かのドグラは接近する私達の方へと向き、威嚇の怒号を上げながらその巨躯を持ち上げ動いた。
まるで陣形を整えるかの様に。
ザッザッザッザッザ…
先ずはあの一体を殺るか…
私は部下達の士気を高めようと狙いを定める。
「さぁここから一気に片を付けようぞォォッ、全軍味方の射線に警戒せよォーーーーーーォ‼︎ 」
その時混戦を蹴破る逞しい声が響き渡り、重苦しい戦場の空気を一変させる。
フ…良く解っておられる。
「「「「「「「「「「「「「オオォォオオォォオオォォ‼︎‼︎ 」」」」」」」」」」」」」
その衛主オージンに呼応し昂ぶる仲間の雄叫びに乗り…
ザッザッザザザーザザザッーー
獲物目掛け一気に駆ける私…
『『ゴァァーーーーッ』』ブワッ
に振り上げられた鋭い爪…
ザザッーーシュバッ
『『ゴギぁぁァーー~~っ⁉︎ 』』
は3分の1程が突如として千切れ飛ぶ。
ーーズザザァァッ
「いようマルソラぁ、そっちはどうだったよ?」
近衛騎士の証たる藍色の二本線が入る白いハーフマントを靡かせて、ただ1人ドグラの群れの中を風の如く走り抜けて来たのは我等が最強ブレィアスト。
フ…、全く頼もしい限りだな。
「こっちも… 」
ドザッドザンッドドッ
『『ゴァァァアアッ‼︎ 』』
問われた私が答えようとすると、腕先を失ったドグラが怒りに染まり突進して来た。
「ったく。そっち退いてろよぉ……フゥーーーー」
ザ、ザ、ザ…
ブレィアストは私の後ろに居る衛士達にそう言って、迫り来る巨体の方へと無造作に歩き出し…
ドザッドザンッドザッ
『『ゴァァァアーーーーーッ』』
ザ、ザ、ザンッーー
そして接触まで五歩と言う距離で重心を落とした身体がブレる。
ーシューーズバァッ
横一閃。
『ギャ⁉︎ ゴォォォ』
ゴロゴロゴロ…バキバキィ
「「「「「「「「「ウオォォオオオッ‼︎ 」」」」」」」」」
転倒し柵まで転がって激突するドグラに対し、剣を振り抜いた勢いのまま斜め後方へと躱したブレィアスト。
攻防一体を為したその動きは軽やか且つ流麗。
『ギァごァっ…ガ…がァっ』
「そんな単純なブチかまし、誰が食らうかよボケェ」
そしてバタバタと苦しむドグラを当たり前の様に一瞥するブレィアスト。
だが猛進する獣の目を切っ先5cmで正確に切り裂く技の冴えと、その剣を振り抜いたままの体から一足で間合いの外へ跳ぶ強靭な動筋力と体幹は驚異の一言。
素晴らしい。
流石は < 砌 > だな。
「留めを刺せッ」
「「「「「ハッ」」」」」
数人の部下達が捥がくドグラを取り囲んだ。
ザ、ザ、ザ…
「んでそっちは?」
「あぁ、それがな… 」
「ンぬアァァァァッ」
ブシュゥッ『グゴァァ⁉︎ 』
再度話しを続けようとした所で、獣にも負けぬ衛主の唸り声とドグラの苦しむ声。
イグアレムス国内でも勇猛で鳴らす我がフラエの衛主オージンは、近衛騎士の上位隊長と遜色無い武力を誇っている。
がしかし最前線で護衛をさせられる側は…
「シンスハー急げッ」
「了解ッ」ダタタタッーー
ーブシュァ『ゴァッ⁉︎ 』
「ネリー小隊はスペースを堅持しろッ」
「承知しましたッ」
良く通る副隊長ロビンノーグの指示が飛び、ブレィアストに続き突っ込んて来る衛主の周囲を駆けて来る。
ボリボリ…
「はぁ、またおやっさんは出過ぎだぜぇ… 」
この命が壊れ逝く生死波打つ瞬間において、身内との日常に嘆息するかの様なブレィアスト。
とは言え私も同じ気持ち…
ドザッドザッ
「急に戻らせてすまんなぁマルソラ。そっちはどうであった?」
…とは言えまい。
「ここより2.5km先に何かに襲われたと思しき馬車があり、そこから押し寄せるボリージャ数百を駆除しつつ700が関へと救援に向かっております」
「その馬車はボリージャに因るものか?」
「いえ、おそらく人の手によるかと」
「人?」
次々と崖から現れるドグラを睨むブレィアストが口を挟む。
この異常事態の原因に疑念を膨らませて。
「ならば先ず、この街道を荒らす獣共から片付けよう」
ザッダザザザッ
「ヌオァアァァーーッ」
だが衛主はそう言い終えるやいなやドグラ目掛け駆けて行く。
「「……… 」」
私はブレィアストと頷き合う。
「第1隊防御ラインを押し上げろッ、一気に片を付けるぞッ」
「「「「「「「「オオォォッ」」」」」」」」
『ゴガァァァア』
ドカッ「グォおぉっ⁉︎ 」「うぉ⁉︎ 」
盾ごと弾き飛ばされる近衛騎士達。
分厚い皮下組織を持つドグラは顔や腹周り以外を攻撃しても中々致命に至らない。
「オラァァ」ーズバッ
『ゴァァッ』
ブンッー「うぉっ‼︎ とぉ」
その上このドグラは群れを成し互いの隙を補っている。
『ゴギォっ⁉︎ 』
「そっちの脚が止まったぞ」
ヒュヒュヒュヒュン
『ゴァギャァァ… 』ドサン…
『ゴァァっゴゴぁ…ガ…』
「こっちも両手イッタぞォォっ」
しかしそれでも近衛本隊は着実に攻撃を積み重ね、一体ずつ確実に削りそして倒して行く。
ザザンッ
「フゥッ」ーーブシュッ
『『ゴァァァアッ』』
私は頭上から振り抜かれた爪を躱し、ドグラの脇の下を斬り裂くも追撃は出来ず。
『ゴルルゥ… 』
「………… 」
しかし解せん。
本来群れぬドグラが何故ここまで集まって来る?
戦闘の長期化を覚悟しつつ消えぬ疑問。
『『『バォオオオァァーーーーアアッツ‼︎ 』』』
ーー~ッ‼︎
それに答えるかの様なタイミングで放たれたのは、頭頂部を殴りつけるが如き咆哮。
『『ゴァァーーーーッ』』『『ゴガァァーーーーッ』』
『『グガァーーーーーーッ』』
それに続くドグラ達の奮起の雄叫び。
「あ、あれはまさか…… 」
そしてのそりと崖下から覗かせた新手の頭部は、ドグラよりも三回りは大きく且つ鼻から眉間に角が突き立っていた。
ズザン、ズザン…
『『グコッグゴーーッ』』
喉を鳴らし街道に上がったその巨体たるや、周囲のドグラがまるで幼体の様…
「ドゴルバグラ… 」
(※ドゴルバグラ。体長は4~6mほどで森の深層を主な生息域とする極めて凶暴な牙毛種。同種族であるドグラをしばしば従える。平均的な衛士との戦力比は20対1。危険度9)
「で、デケェ… 」「何だよ、この怪物は… 」
「ドゴルバグラ?」
初めて目にする巨獣に驚愕する隊員達。
しかしそれは更に加速する。
「ッ⁉︎ おい見ろッ」
「…嘘だろ」「マジかよ… 」
1、2……更に3体だと?
このフラエ領でドゴルバグラが森を出て来たのは、数十年前に単体で一度のみ。
これは…
な、何が起きているのだ…
ーズバッ『ゴガぁ⁉︎ 』
「フンッ」
ーブシュ『ギガっ… 』
「怯んでんじゃねェぞテメェらーーッ‼︎ 4体くらい俺が殺ってやるから黙って見とけェェ」
動揺し固まった我々を見て、最前線で猛然と剣を振るうブレィアストが激を走らせる。
「そうだお前達ーーーーィィっ、我等は獣なんぞに遅れは取らァァぬゥツ‼︎ 」
ドシャ
『ギピィ⁉︎ 』
そしてその近く、大鉾を振るいドグラを叩き伏せる衛主も負けじと鼓舞する。
ギュゥッ
手の平が熱い。
「今こそ奮い立てッ、我等はイグアレムスの衛士也ッ‼︎ 」
ザザッザザーザザッーー
端欠けの星が戦場を淡く照らす夜、私達は未知の戦いへと足を踏み入れる。
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しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
不死身のボッカ
暁丸
ファンタジー
逓信(ていしん)ギルドに所属する甲殻人ボッカ。歩荷(ぼっか=運搬人)だからボッカと素性を隠す特急便の運搬人。
小柄な身体に見合わぬ怪力、疾風のスピードと疲れ知らずのスタミナで、野を越え山越え荷物を運ぶ。
逓信ギルドの運搬人になったのは、危険な迷宮には入りたく無いから。面倒と危険を避けてすんなり仕事を終わらせたいのに、時にギルド支部長に命じられ行きたくも無い魔獣狩りの運搬人として駆り出される。
割とチートな身体能力を持ちながら、戦闘能力はからっきしで過剰な期待はされたく無い。こんな殺伐とした異世界生活なんかとっとと終わらせて眠るように死にたいと願う、そんな<不死身の歩荷>のお話。
※種族名とか用語は前作と共通にしてますが、別の世界の物語です。世界観も若干違います。
※「歩荷」とは一般的にいう「ポーター」のことですが、長距離運送も兼任しています。
※作者が設定厨なので、時々本筋に関係ない解説回が入ります。
※第16回ファンタジー小説大賞にエントリーしてみました。
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