RIGHT MEMORIZE 〜僕らを轢いてくソラ

neonevi

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▽ 三章 ▽ 其々のカルネアDeath

3-50 Lpieces

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sideシロ

『『ドパンドパンドパン』』カチッ

「ハァハァこのままなら、無事に行けそうですね」

この状況でも全員が一丸となり、ゾンビの群れを順調に突き抜けている最中

「あぁ…~っ~それはどう、かなァ?」『ゴキっ』

「あれ?九鬼さんもしか今、肩入りました?」
『ドゴッ‼︎ 」
ー「ウぶォ」ドザザァ

突然九鬼さんは、話し掛けた野木さんを殴り飛ばし、ここまで奮迅の活躍で後方を警戒する真黎さんの首元に剣を…

ダザッ
ー間に合…ー『『ゴザシュ‼︎ 』』

「ウがァぁ~あッ」
「え?シロさんっ」

咄嗟に伸ばした左腕は防具が斬り裂かれ、前腕半分にまで剣が食い込む。

ーー ズキズキズキィッ√

髪が逆立ちそうな激痛を食いしばり

「ンォぁあ」『ドフッ』
「ウっぐ」

九鬼さんの腹を蹴って突き放す。

『ボぁぁ~』『ンぁぁ~』
「イグっ、ぎゃぁァアぁ」

押し寄せるゾンビは倒れた野木さんに群がると

「野木さん待ってッ」
「イヤぁぁ、玉君を放してェーーーーっ」

宇実果さんの制止も振り切って、奥さんが飛び出してしまう。

「大丈夫かよシロさんっ。つか何してんだおっさんいや、テメェ誰だッ」

「九鬼だよ九鬼、決まってるだろぉ~ハハ。一番隙の無いヤツが、自ら傷を負ってくれるとは幸運だな」

八参を無視する九鬼さんはオレのケガ見て笑い

「ぁぁあシロさん血がっ、ー~直ぐ、手当をっ」

動揺する真黎さんは慌てながらも包帯を取り出して、ドクドクと血の滴るオレの腕にそれを巻き付ける。

「ハァハァ真黎さん、ギッチギチにお願いします」
「ごめんなさい私のせいで」

ーーズキズキッ√

ーーズキズキッ√

一転して混沌。
陥った危機的状況。

『ドカっ』
「このヤッ、っぁグ、美……来る、な」

けどそれよりも、死を覚悟した野木さんを見て血が沸騰する。

『ガシッ』
「ちょ、アンタが死んだら全員終わるってっ」
「ッ~、放せ八参っ」

『ズパンズパンッ‼︎ 』

最悪な空気を裂く、乾いた破裂音。


「……ぉ、お?」

九鬼さんの上半身に浮かぶ赤い斑点。

「シロさん今っ」

ダザザッ

和同さんの声で飛び出したオレは

ー『バシュッドシュッ』ー

ーーズキズキッ√

ーーズキズキッ√

痛みを無視して全力全開で剣を振り回し進む。


「ハァハァ…ハァッ、ハァハァハァ」

だけど、血だらけの野木さん夫婦の元にたどり着いた時


『ゴボぁぁ~』『ボぁぁ~』『オぉぁー~』

オレもゾンビに取り囲まれた。

「シロ、さ…何……で…俺、…もう… 」

「ハァハァ何でって、他人の為に頑張った人の最期が、こんな風じゃあんまりでしょ」
「あ、ありがとうございますっありがとうございますぅ」
「美沙…だけは、おね…しま、…す」

野木さんは、震える手で奥さんの頬を撫でる。

「勿論っ」

それに…

『ドガ』
「ぅぐっ」

『ガブッ』
ー「痛っ」

この無茶は…

ーー『ザシュッバシュッザシュッ』ー
「いい加減に、死ねよテメェらァアーーーー」

きっとリュウコウ君が居ないからかな。


「男女、ここは頼んだっ。シロさん今行っからなあァーーーー」

よく通る八参の声。


ーズキズキッ√

「ハァハァ… 」

あぁ…

「グぁ~ぁっ」

けどダメだ、手に力が…

「痛てぇっ」

野木さんの奥さんだけは助…


『ドパンドパンドパン~


のしかかってくるゾンビだらけの視界の中、鳴り響く銃声はやけに遠い…




ーーーーーーー

ーーーーー

この呆自棄ボヤケていく世界はきっと

ーーー


ーー

オレの終わりも近いせい









シロクン…

リュ、リュウコウ君?




モドッテクレテ…

何処ですっ?




アリガトウ…





ダイジョウブ…




ボクハ…

ゥぐっゴメっ~ーッゴメンなさい。
こんな旅行俺が、俺が1人で行けば良かったのに、いつもみたく甘えたからこんな…




ヒダリ…




テヲ…




混濁し定まらない意識の中、懐かしいリュウコウの渋い声に導かれ、多分オレは手を伸ばした。




キミノ…




ナリ…




ツク…




ヨ…





その瞬間、左手から全身の隅々にまで根が張り巡った感覚がした。




……シ




……ロ



…シロ



誰だっ?



それからあたたかな光が全身を包み、忘れていた記憶の断片が注ぎ込まれる。


▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼
3ヶ月前(2-15の矢に射抜かれた直後)




パチッ‼︎

「⁉︎ッ、ウグァ、オエェエェ…ェ… 」
ビシャビシャビチャッ

起き上が……

… … … … …目が回る…
… … …早く

… … … …落ち着けっ

ーズキッ√

「…ッぐぅウッ」ベタペタ

痛む頭部に手を当てると、半乾きの血糊が指先に付く。

つかペタって?

ペタペタペタペタっ

「………… 」

坊さん?
そいや恰好も何となく…ってそんな場合かアホ。
コイツも死に掛け、保って数十分らしいから急ごう。

ここはオレが倒れた所から東に20m。
さっき殺られる前に追い越した太い木…

「……、…あれだ 」

てことはシロオレはあそこに倒れてるのか?


…ザ…

……ズザ

「ハァハァ……ハァハァっ……ハァ… 」

なんとか眩暈は落ち着いてきたな。

耳の奥から煩くガナる痛みに耐え、フラつく身体が倒れないよう慎重に巨木へ近付く。

…ザ
…ズザ…

「……… 」

そして巨木の陰に隠れ、反対側にまだ居るかも知れない追手を慎重に確認する。

が、誰も居ない。

もしかして去った後なのか?
好都合だ。

ザ…ザっ、ズザザ…ズザ…
「はぁ、ハぁ、はァ…… 」

しんどいっ…な、これ…

周囲で唯一登れそうなあのヘリを、今度こそはと這うようにして登っていく。


『ガシっ』ズリ…ズザザ
「はぁ…ハぁっハァっはぁ、やった…ぞ」


ー『ビュゥーー~ーーー~ーーーーッ』ー

吹き曝しの風に靡く草木。
覗いた場所から広がる視界の先には、ミレインと目指した吊り橋がたしかにあった。

「…ッ‼︎ 」

木に繋がれた馬が目に入り、先回りした敵を警戒する……が辺りに人の気配は無い。

コイツのか?なら大助かりだ。

ーズキッ√

ーーズキンッ√

激しくなる痛みに抗いつつ立ち上がった時

「見えたぞ逃すなっ」
「橋の手前で仕留めろッ」

何ィ?
矢が刺さる前?


 |
 ⁉

いきなり頭が熱くなり閉ざされる視界。

~なっ~っ⁉︎

『ドタっ‼︎ ゴロっゴロゴロ…ゴロっ… 』


「っっ~痛ぅ… 」

クッソ……苦労してヘリを上がったのになんつードジ。

マズイぞ、このままだと十数秒後には追手アイツらに鉢合わせる。

「…~はぁ…はぁ~っ、はぁ… 」
ズリ…ガシっ

地面に張り付く重い身体を、巨木に縋りつきながら引っぺがす。

ーーズキンッ√

ーーズキンッ√

「…ッう、ハぁはぁ… 」

もう一度、行く… ぞっ…

痛みと眩暈を堪え、小刻みに震える手足に力を込める。


 |
 ⁉
 
がしかしまたも意識が飛び、今度は座り込んでいる始末。

いい加減にしてくれよこんな時にっ

「はぁっはぁ、はぁ… 」

しっかりしろっ
立てっ

ザザッ、ザッダッダッザッ
「どこでも良いから当てろッ射て射てッ」

ダメだ、追いつかれる。

『ザッダッダッ』

その時、なんとか立ち上がり、巨木に背を預けるオレの横をオレシロが走り抜けた。

失敗《おわり》だ…

抗えない倦怠感とそれを超える虚無感で俯い


 |
 ⁉

「ッンな‼︎⁉︎ 」

た筈が、視界の先に映ったのは灰装束の追手たち。

『ドシュッ‼︎ 』
「……んで…グブッゔぅ…… 」

「やったかッ」

喉…とか、痛っテェ…よ…

ー~『『ドタァっっ… 』』


「っ…ヒュー、ヒュ~…~… 」

つかどうなって、んだ… …




全然…思い通り… …



に…なら… …




ねぇ…





よ…






この…ク… …







ソルー… プ… …… … … …






   |





   |






   |
   |




   |
   |
   |




「ハァハァッハッ… 」

よし越えた。

「×××××××××ッ××××ッ(どこでも良いから当てろッ射て射てッ)」

ーシュンー
ーーシュゥーー

左斜めにあと3歩ッ

「ハァッ…ハぁッハァっ… 」

2歩ッ

1歩ッ

空気を切り裂く矢の音から逃れ、ギリギリで巨木を背にしたオレは、その勢いのまま一気にヘリを駆け上がる。

ザッザッザッ~ー
「ハァハァハァッシャァーーーーーー」


ー『ビュゥーー~ーーー~ーーーーッ』ー

吹き曝しの風に靡く草木。
広がる視界の先には、ミレインと目指した
     吊り
… …~橋

… ~「うぉ⁉︎ 」~

目が回…

『ズサ』

堪らず膝をついた途端、暗転する視界。



… …

グルグルグルグルグルグルグルグルグルグルグルグルッ

違う。
これは…回転する様に切り替わる記憶だ。

誰の?


『『ダーンダーンダーンッ‼︎ 』』

『『ダーンダーンダーンッ‼︎ 』』


『ガラガラガラガラッ』
「急げっ、傷が深いっ、師と衛生班を急いで集めろっ」

誰だ?

そう言えば矢に射たれて…いや?頭から出血して……?


… … …

… … … …

グルグルグルグルグルグルグルグルグルグルグルッ

誰だ、この女の子は

「ホルスっ、貴方にまで何かあったら私… 」
「姉さん、ここで今ボクに出来ることはないよ。だから行く、行かなきゃ。あの山のことも、薬になる植物もボクが一番詳しいからさ」

「……そう、ね。…でも、決して無茶はしないで」

彼女は複雑な表情で優しく微笑んだ。


… … … … …

… … … … … …

グルグルグルグルグルグルグルグルッ

あの吊り橋?

「見えたぞ逃すなっ」
「橋の手前で仕留めろッ」


 |
 ⁉
 
頑張ってくれたのにゴメン。
でもこのままだと2人とも死ぬだけだから。

揺れる視界。


 |
 ⁉
 
まだだよ。
まだだ。

((ドクンッドクンッドクンッドクンッ))

「はぁはぁっ、震えるな~~震えるなよぉ~~ーっ。はぁはぁ…ハハ、死ぬって分かってても死ぬほど怖いよって何言ってんだろボク」


ザザッ、ザッダッダッザッ
「どこでも良いから当てろッ射て射てッ」


 |
 ⁉

((ドクンッドクンッドクンッドクンッ))

「…ゴメンね姉さん」

ザッザッザッ
ー「…ー~っ… 」

ーー大好きだよ…

駆け巡る恐怖の中歯を食いしばり、背を走るオレの盾にと身を差し出した。


 
ーーー『『『ズパァァァンッッ‼︎⁉︎ 』』』ーーー


クルクルと万華鏡みたく重なり合った記憶が満開になって弾け、舞い上がった様々な思い出のカケラたちが、花ビラみたくハラハラと散り吹いていく。


… …あとは…


…ヨロ…シ… … …ク…


その美しい散り様は、最後の一片が消えるまで、ただただ温かかった…



パチッ‼︎

「ッ‼︎⁉︎ォオエェエェ… 」ビシャビシャッ

汚れた口まわりはそのままに、右手を胸に当てる。

((トクン、トクン、トクン、トクン))

そして直ぐさま立ち上がり、迫る追手の声を背に受けながら、アイツの愛馬と共に吊橋を駆け抜ける。


任せろ。

割れた欠片同士、託された分は必ず果たすから。



▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲




シロ…




《…シ…シロ…》


お、お前…まさか


……ホルス、なの…か?」

《シロォッっ》

ホ、ホルスっ

《ー~ッ…やっと、やっと伝わ、ったァァ》

" シロっ " " 踏ん張、って " "ボクも居、るぞォ " " シロ後ろっ " "負けるか、ぁぁ "

声だけじゃなく支えようとしてくれていたホルスの、感極まった感情までもが怒涛の如く流れ込んで来ると、ここへ来てからの数々の戦いの中の、異常な調子の良さにも合点がいった。

それと同時に何故こんなことが?と理解の及ばない自分も居るけどそう

今はただ…

ホルス、お前に会えて嬉しいよ。
ゴメンな、何度も呼んでくれてたのに。
一緒に戦ってくれていたのに。

《ううんボ、クこそ…、ボクの方こ、そずっと忘、れないでい、てくれて、ありがとうっ》


住む世界から違うオレ達が、極短時間同じ場所に偶然居合わせた事で一つになった、死を塗り替えた運命の日。

その感謝と懺悔が形作った自己満足ハリボテの祈りが現実となり


この背へと舞い降りた。






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