冥府探偵零時

札神 八鬼

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本編

第十ニ話 スノウホワイト事件【中編】

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2月24日、午前8時15分。
無職の男性が自宅で遺体で発見された。
通報したのは男性の妻であり、
通販で注文していたりんごを食べた途端様子がおかしくなったらしい。
一口かじられたりんごを調べた所、
致死量のトリカブトが検出された。
スノウホワイト事件と酷似した事件な為、
警察は毒リンゴとの関連性を調査している。



「当初は毒リンゴの犯行かと思われていましたが、
詳しく調べていくと、被害者の共通点が見つかりました」

「共通点?」

『僕よりもサクラやカイの方が詳しいんですけど』と
呟きながら、マコトくんは事件の資料を私達に渡してきた。
資料には今までの毒殺事件の被害者の情報が書いてある。
ちなみにサクラとカイとは、鬼の彼岸警察であり、
男女ペアで行動している二人一組の隊員だ。
主に恋愛関連の犯罪を担当としている二人である。

「見たところ既婚者ばかりのようだが、これがどうかしたのか?」

「はい、既婚者というのもそうですが、
その資料の被害者全員がDVの疑いがあったことです」

「ドメスティック・バイオレンス……か
確かに全員に暴力の疑いがあるのは、偶然にしては妙だな」

「零時さん、毒殺に関してもトリカブトの毒が使われていますよ」

「状況は毒リンゴと似ているが、
毒リンゴは顔の整っている者や、重役などを狙う
正義感でDVの疑いのある者を毒殺するとは考えにくい
やはりこれは……」

「ええ、恐らく摸倣犯もほうはんです
我々は犯人だと思われる容疑者を捜索する予定ですが、
零時さんはどうしますか?」

「そのことなのだが、毒リンゴのリーダーから依頼を受けてな
彼が絞り込んでくれた容疑者に聞き込みをしに行くつもりだ」

「あなたはまた無意識にたらしこんだんですね……
まあ、こちらとしては助かりますけど」

「マコトくんも一緒に行く?」

「ご一緒させて頂きます
容疑者の情報をサクラとカイに伝える必要がありますから」


私達はまず的場さんに聞き込みをすることにした。

「はい、何か御用でしょうか」

「本日は昨日起きたスノウホワイト事件のことについて、
お聞きしたいことがありまして……お時間大丈夫ですか?」

「大丈夫ですよ、今は休憩時間なので」

「事件の日は何をしていましたか?」

「事件の日は、普通に仕事をしていましたよ
上司に確認して貰えれば分かると思います」

「昨日と同様の事件が起こった際に、
あなたは何度か事件の日に休みを取っていますよね?
犯行時間のアリバイはありますか?」

「その日は寝てたので、アリバイはありません……」

「……そうですか、ありがとうございました」

瀧本さんの所へ向かっている途中、
零時さんは何かを考えながらボソリと呟いた。

「今のところ、どちらとも言えないな」

「そうですね、僕も同感です
彼のことはもう少し詳しく調べる必要がありそうですね」

「そういえば、被害者は通販で購入したんですよね?
一体どこのサイトで注文したんでしょうか」

「そういうのは伊織に調べて貰った方が早いだろうな」

零時さんはスマホを取り出すと、すぐに伊織さんに電話をかける。
案の定伊織さんはワンコールで出てくれました。

「待ってたよ時人くん!最近かけてこないから、
捨てられたのかと思ってヒヤヒヤしたよ!
さあ、僕に何でも頼んでごらん!すぐにハッキングしてみせるから!」

零時さんは一瞬『お前は捨ててもしつこく追いかけるタイプだろ』とか
言いそうな顔をしたが、すぐに真顔に戻った。

「被害者が毒リンゴを買った通販サイトを調べたい
伊織、頼めるか?」

「任せてくれたまえ!通販サイトの特定なんて、
僕にとってはお安い御用だよ!少し待っていてくれ、
すぐに時人くんのスマホに送るからね」

やはりハッカーの伊織さんの特定は早くて、
頼んでから僅か数秒くらいで零時さんのスマホに、
例の通販サイトが送られてきた。
私は送られてきたサイトのタイトルをまじまじと見つめる。

「自分の夫に復讐したくはありませんか?」

伊織さんから送られてきた通販サイトには、
毒々しい文字でトリカブトの毒を染み込ませた
毒リンゴが販売されていた。
背景も全体的に暗く、裏サイトのようにも見える。

「そこの配達業者の写真を見てくれ
その中の一人は的場にとても良く似ているだろう?
それに、記入されている配達会社も架空みたいだしね
彼は間違いなくクロと見て間違いないだろう」

「そうだな、だが見る限り的場は主犯では無さそうだな
協力者の一人として考えた方がいいだろう」

「うん、僕も時人くんと同意見だよ
彼を捕らえるのは確定だとしても、
主犯をあぶり出さない限り、この事件は終わらないからね」

「ありがとう伊織、また必要になったら連絡する」

「うん、いつでも僕を頼ってね、時人くん!」

無言で電話を切ると、零時さんは早足で瀧川さんの元へ向かった。
瀧川さんがいる所に向かった所、まだ営業前とのこと、
店の前で話を聞くことになった。

「で、あたしに何か用?」

「スノウホワイト事件のことはご存じですか?」

「そんなの知らないわよ、普段テレビなんて見ないし」

「では、この人のことはご存じですか?」

昨日死んだ男性の写真を見せると、瀧川さんは見覚えがあるのか、
『ああ、その人なら……』と、思い出したかのような態度だった。

「あたしのお得意様の一人だよ
奥さんほったらかして借金までしてあたしに貢ぐなんて、
あの男も相当落ちぶれてるわよね」

「借金?」

「そうそう、毎日のようにうちに通い詰めて、
湯水みたいにバンバンお金使ってくれるの
うちとしては儲かるから有り難いけど、
奥さんは迷惑だったんじゃない?」

「ところで、あなたは犯罪組織と面識がある
という噂があるのですが、本当でしょうか」

「あーそれね、それは周りが勘違いしただけ
あたしの彼氏強面だからさ、ヤクザに間違われやすいんだよね」

「なるほど、ご協力ありがとうございました」

「おにーさん、もし良かったら今度はお店の中で会おうね
おにーさんカッコいいからサービスしてあげるよ?」

「結構です!ほら、行きますよ零時さん!」

次に来たのは平谷さんが勤めている会社。
写真でも思っていたけど、実際に見るとやっぱり怖い。
それでも零時さんとマコトくんは一切動じずに話しかけました。

「それで、お話とは何でしょうか」

「実は、昨日起きたスノウホワイト事件についてなのですが……」

「ああ、あの事件ですか……
それがどうかしたんですか?」

「事件当時、あなたは何をしていましたか?」

「何をって……普通に働いていました
部下もいたので、聞いたら答えてくれるはずです」

「事件の日は誰かと電話をしていたそうですね
誰と電話をしていたんですか?」

「恋人の彩菜と電話をしていました
今日は帰るのが遅くなりそうだと伝えるために」

「もしかして、瀧川 彩菜さんのことでしょうか」

「はい、そうですが、それがどうかしたんですか?」

「いえ、ご協力ありがとうございました」

会社を出て最後の花屋に向かってる途中で、
零時さんはボソリと呟いた。

「今のところ、二人はシロだな」

「そうですね、不審な点もありませんし、
特に怪しい言動もありませんでした」

「まだ決めつけるのは早いが、現時点で二人は候補から外しておくか」

富永さんが個人経営している花屋の前に来ると、
店の前に飾ってある一輪の花が目についた。

「あれは……」

「アスクレピアスです、赤い小さなお花が可愛いでしょう?」

私達に話しかけてきたのは、富永さんだった。
写真で見たような穏やかな笑みを浮かべている。

「何故この花を一番目立つ所に置いているんですか?」

「この花は……今の私の気持ちを現していますから」

「……そうですか」

「富永さん、昨日の事件についてお話を聞かせて頂けますか?」

「はい、私で良ければお答えします」

「スノウホワイト事件のことはご存じですか?」

「はい、可哀想な事件ですよね……
被害者の奥さんも辛い思いをしていたでしょうし……」

「そういえば、事件とは関係ないのですが、
白雪さんとは面識はありますか?」

零時さんが白雪さんの写真を見せると、
富永さんは嬉しそうに語ってくれた。

「ああ、この人は最近うちに通ってくれてる人です
いつも幸せそうに花を選んでいて、
『白雪王子に渡すんだ』って嬉しそうに語っていましたよ」

「きm……ああいや、きっと受け取る相手も、
大層喜んだことでしょうね」

最近いつの間にか飾られていた豪華な花束と、愛の溢れたメッセージカードは、
白雪さんが買ってきたモノだったんですね。
零時さん、心なしか顔が青ざめている気がします。
ここから同様の質問を聞いてみましたが、
特におかしいところはありませんでした。
マコトくんは警察署に帰して、私達は事務所へと帰りました。
玄関を開けると、追い出したはずの白雪さんが待っていて、
冥府の有名店のケーキの箱を持っていました。
あ、あれは冥府の有名なケーキ店『ホワイトクイーン』!
ちょっとお高いけど質は確かの人気店!
それが、今目の前にあるなんて……
感動してる私を尻目に、零時さんはうんざりした顔で白雪さんに話しかけた。

「つい最近追い出したはずだが、今度は何の用だ?」

「君達は先程聞き込みを済ませてきたのだろう?
それなら整理をするのに甘いものも欲しくなる
白雪王子、一緒にお茶でもどうだい?」

「こt……」

「是非ご一緒させて下さい!」

「三成、お前……」

「ふふふ……決まりだね白雪王子
それでは、楽しいティータイムと行こうじゃないか」

「チッ、仕方ないな
今日は大人しくストーカーと茶を飲むとするか」
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