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序幕
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下校時刻を知らせるチャイムが鳴ると同時に柳田尊は校門を出た。尊はもっと早くに帰宅するつもりだったが、授業中に居眠りをしてしまい、放課後に生徒指導室まで来いと呼び出しを食らってしまった。また、最悪なことに生徒指導の先生は話が長く、その上とても面倒臭い。長々と説教した挙句にこちらが謝罪すると「どうせ本気で謝っていないだろう」などと悪態をついてくる。
尊はスマートフォンで最近の趣味である、ネット上に公開されている某料理番組の録画漁りをしながら家路を辿る。尊の住んでいるところはかなりの田舎なので、多少歩きながらスマートフォンをいじってもそこまで危険性はない。すれ違うお節介なおばさんや、お爺さんに注意されるぐらいだ。
尊はふと、今何時ぐらいだろうと思い、スマートフォンの画面を料理動画からホーム画面に戻した。中央に映るデジタル時計には「18:30」と表示されていた。七時までには家に着くだろうと計算し、尊は急ぎ足で歩いた。
カラン…コロン…カララン…コロ…
その時、どこからともなく下駄の音がした。日が沈んでいる所為か、尊にはそれがとても不気味に思えた。少し前かがみになり、恐る恐る歩いていくと街灯があった。それが照らす元に人影が見えた。もう少し近づいてみると、くっきりと見えるようになった。その人影は尊が想像していたものと程遠い容姿をしていた。
十~二十歳程度の青年が白い着物、下駄といった死人の様な格好をしてそこに立っていた。顔は青白く、生気が全く感じられない。そして体に彼の後ろにある木々がうっすらと写っていた。目が合うとその青年は静かに消え去ってしまった。尊は小さくため息を吐いた。また視えてしまった。
尊は今の青年のような幽霊と呼ばれる存在を視認すしたり、話したりすることができる。この力は生まれつきで、幼い頃は人と幽霊の区別が全くつかなかった。どこであろうがとみつければ彼らに声をかけていた。その所為で尊は周りから変人扱いされた。時には「魔女」「バケモノ」と罵られた。なので尊はこの力に強い嫌悪感を抱いている。
尊は家に帰る前に近くにある神兎神社に寄った。幽霊を見た時は必ずこの神社へ行って心を落ち着かせる。見慣れているとはいえ、尊にとっては視界に入れたくない不気味なものだ。
神社の鳥居をくぐって石階段を登った。境内に入ると賽銭箱の前に誰かがいた。尊はまた幽霊なのかと思ったが、今度は違った。その正体はつい一ヶ月前、尊の学校に転校してきた一ノ瀬蛍だった。髪の毛がこの辺りでは珍しい白髪だったのですぐに分かった。
賽銭箱まで少し距離があるので分かりにくいが、蛍が賽銭箱に小銭を投げ入れたのを尊は確認した。それが合図かのように目も開けていられない程の突風が境内に吹いた。尊は思わず目を閉じた。
少しすると風がやんだ。尊は目を開けた。まばたきを繰り返し、目をこすった。
今、自分の目に写っている光景が信じられなかった。
尊はスマートフォンで最近の趣味である、ネット上に公開されている某料理番組の録画漁りをしながら家路を辿る。尊の住んでいるところはかなりの田舎なので、多少歩きながらスマートフォンをいじってもそこまで危険性はない。すれ違うお節介なおばさんや、お爺さんに注意されるぐらいだ。
尊はふと、今何時ぐらいだろうと思い、スマートフォンの画面を料理動画からホーム画面に戻した。中央に映るデジタル時計には「18:30」と表示されていた。七時までには家に着くだろうと計算し、尊は急ぎ足で歩いた。
カラン…コロン…カララン…コロ…
その時、どこからともなく下駄の音がした。日が沈んでいる所為か、尊にはそれがとても不気味に思えた。少し前かがみになり、恐る恐る歩いていくと街灯があった。それが照らす元に人影が見えた。もう少し近づいてみると、くっきりと見えるようになった。その人影は尊が想像していたものと程遠い容姿をしていた。
十~二十歳程度の青年が白い着物、下駄といった死人の様な格好をしてそこに立っていた。顔は青白く、生気が全く感じられない。そして体に彼の後ろにある木々がうっすらと写っていた。目が合うとその青年は静かに消え去ってしまった。尊は小さくため息を吐いた。また視えてしまった。
尊は今の青年のような幽霊と呼ばれる存在を視認すしたり、話したりすることができる。この力は生まれつきで、幼い頃は人と幽霊の区別が全くつかなかった。どこであろうがとみつければ彼らに声をかけていた。その所為で尊は周りから変人扱いされた。時には「魔女」「バケモノ」と罵られた。なので尊はこの力に強い嫌悪感を抱いている。
尊は家に帰る前に近くにある神兎神社に寄った。幽霊を見た時は必ずこの神社へ行って心を落ち着かせる。見慣れているとはいえ、尊にとっては視界に入れたくない不気味なものだ。
神社の鳥居をくぐって石階段を登った。境内に入ると賽銭箱の前に誰かがいた。尊はまた幽霊なのかと思ったが、今度は違った。その正体はつい一ヶ月前、尊の学校に転校してきた一ノ瀬蛍だった。髪の毛がこの辺りでは珍しい白髪だったのですぐに分かった。
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少しすると風がやんだ。尊は目を開けた。まばたきを繰り返し、目をこすった。
今、自分の目に写っている光景が信じられなかった。
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