夢に出るくらんぽろん

流川おるたな

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夢に出るくらんぽろん

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 年末も近い12月のある日のこと。

 テレビで日本の総理大臣が話しました。

「日本国民のみなさん、夢にくらんぽろんが現れたら素直な気持ちで話しをして下さい」

 その日から日本中がくらんぽろんの話しで持ち切りになりました。

 子供からお年寄りまで年齢に関係なく、誰もがくらんぽろんの話しをしています。

 テレビにはくらんぽろんを夢で見たと言う人達が出ていました。

 おじさんが言います。

「ずっと探していた写真の場所を教えてくれました」

 おばさんが言いました。

「思い出せなかった恩人の顔を思い出せたんです」

 若い男の人が言います。

「明日が恋人の誕生日だということに気付きました」

 若い女の人が言います。

「頑張ったねと励まされて嬉しくなりました」
 
 夢での体験は人それぞれ違うようです。

 でも、みんなが口を揃えて言うのは「姿がはっきりしない」ということでした。
 
 テレビを見て眠った男の子は砂場で遊ぶ夢を見ました。

「くらんぽろん、くらんぽろん、くらんぽろん…」

 と繰り返し言いながら何かが少しずつ近づいてきます。

 男の子はくらんぽろんと夢の中で話しをしました。
 
 お母さんが男の子の様子を見に行くと、男の子は嬉しそうな顔をして眠っていたということです。
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