刀姫 in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編

流川おるたな

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第37話 時間

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 江戸時代の時刻の概念は、2022年におけるものとは少しどころか多いに違ったらしい。
 ではどのように異なるのか。

 「正午」と「深夜」をそれぞれ「九つ」として、そこから「八つ、七つ、六つ、五つ、四つ」と一刻ずつ減っていくという数え方で、このうち、夜が明けはじめるころを「明け六つ」、日が沈んで空が暗くなりはじめるころを「暮れ六つ」と呼んでいたとのこと。

 ...正直ややこしくて理解し難い...

 因みに一刻は大まかに換算すると約2時間。 

 ...考えると面倒くさい。
 なのでこの物語では1時間は60分だという慣れ親しんだ概念でもって語り綴ろうと存ずる次第にございます。

 飯やら酒やらの会話を交わした一行は、そこから30分ほど歩いたのち、ようやく真如の住む家屋へと辿り着いた。

 家屋を目の当たりにした仙花一味はが一瞬絶句したじろぐ。
 嫌な沈黙が流れる中、一番家屋に近い仙花が口火を切る。

「...ほほう、これはこれは、今にも崩れてしまいそうなほどボロい家じゃのう」

「い、いやぁ仙花様、こ、これはこれで歴史と味があるってもんでやんすよ」

「九兵衛、それは無い。どう見積もっても以前訪れた浜の幽霊屋敷より酷い有り様、というものだ」

「心配はござらん。今宵は雨も降らず風も無い。風穴だらけの家とて、無事に寝ることはできるでござるよ」

「すぴぃ~、すぴぃ~、すぴぃ~」

 居眠りを続ける雪舟丸以外の言葉に、真如が怒りの形相を呈したことは云うまでもないだろう。
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