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第64話 鬼神

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「...喋る余裕があるとはなぁ。流石は聞きしに勝る座頭市と言ったところか...居合の速さは俺とほぼ変わらぬようだがっ!!」

「キィン!!!」

「っ!!??」

 雪舟丸が言葉尻を言うと同時にほんの僅かだか一瞬力を抜いて刀を引き、もう一度刀に力を入れ座頭市の刀を弾いた!

 作り出した座頭市の無防備状態の身体へ返す刀で斬りかかる!

 凄まじい所作の速さで打ち込んだ一撃が座頭市の身体に届かんとしたその時!

「ズン!!」

「ぐっ!?」

 短く呻き声を上げることになったのは雪舟丸の方であった。

 瞬間的に動揺はしたものの、座頭市は雪舟丸の起こした動きを予測しており、咄嗟に左手に持つ杖(鞘)で突きを繰り出したものである。

 その威力たるや突かれた雪舟丸の息が一瞬止まるには十分なもので、堪らず後ろへ後退したのだった。

「おいおい、雪舟丸が一撃喰らってしもうたぞ。座頭市の実力は相当なものじゃな」

「えぇ、ですが手前は座頭市殿が数人の浪人をあっという間に切り捨てた姿を見たことがありますゆえ、特に驚きは致しませぬ。人間離れした鬼神と言ったところでございましょうか...」

 驚きの表情を浮かべる仙花に対し、「手出し無用」を進言していたお銀は冷静な顔のままそう言い放った。


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