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第110話 無惨

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「で、では、せめて娘の目が届かぬ場所でお願い致します」

 小さな娘に己の酷い死に様を見せるわけにはいかぬと懇願する...

「それは無理だ」

「ズッ!ザン!」

 何者かは言葉を発した瞬間、手持ちの刀で母の胸を一刺して間髪入れずに首を刎ねてしまった...

 二つに分かれてしまった母の身体と頭はピクリとも動かない...

「どうだ。楽に死ねたであろう...」

 転がる死体を眺めながら何者かは感情を込めず呟いた...

「びゃぁぁぁーーーーーっ!!??」

 その後ろでは、一部始終を目撃してしまった仙花が大泣きしている...

 幼き彼女と十六歳歳の彼女、どちらの感情か当の本人ですら定かではなかったが、目の前で無惨にも殺されてしまった母の姿に衝撃を受け、気が狂いそうなほどの悲しみが彼女を襲ったのは事実であった...

 そしてこの直後、仙花は小さな心臓にさらなる衝撃を受けることとなる...

 あろうことか、何者かは妖術か魔法やらの類の使って炎を生み出し、母の動かなくなった身体を燃やし尽くしてしまったのである...
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