刀姫 in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編

第137話 代物

　清兵とトキの二人は野菜と穀物を売ったのち、愛する子供の椿と梵を喜ばせる代物を取得しようと、年末年始を迎えるに当たり、人がいつもの数倍多い安曇の町を練り歩いた。

　当初の目的であった椿と梵の着物を行商人から購入し、大晦日と正月に備えて蕎麦や鶏肉も早々と購入したものである。

　大晦日と正月に備えた代物が揃い、いざ帰らんとする二人に一人の行商人の男が声をかける。

「そこのご夫婦。子供を喜ばすためならとっておきの物がありやすが如何でしょうや？」

　行商人の男に声をかけられた二人が立ち止まる。

「なんだい。俺らの子供達を喜ばすことができる物とは一体どんな代物だい？」

　愛する子供達の喜ぶ姿を見たいと切に思う清兵は興味津々で尋ねたものだった...