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第142話 気配

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「...まさか、このお地蔵様が喋っておられるのか?」

 見通しの良い道の周囲に人の気配は無く、清兵は常識では考えられないと分かっていながらも七体並んでいる石造りの地蔵に視線を落とす。

 すると。

「そうだ儂が語りかけておる」

「ちょっと待て、儂にも喋らせろ」

「いやいやここは儂が」

「でしゃばるな六蔵』

「おいおい何やら騒がしいのう」

「なんじゃなんじゃ眠りの邪魔をするな」

「儂は黙っておくぞ」

 清兵とトキの耳というより頭の中へ七つの地蔵達の声が響く。

 二人は当然驚き、目を合わせ相槌を打つと、一目瞭然にその場を離れようとしたのだが。

「「「「「「待たんかそこの夫婦!」」」」」」

「へっ!!??」

 黙っとく言った地蔵以外の六つの声が同時に二人の頭に届き萎縮して立ち止まる。
 
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