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第164話 知能

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 死ぬには若すぎる少女の椿を殺し、身体を乗っ取り彼女の家族をも立ち所に殺してしまった呪いの怪異である姚紅。

 世に存在する多くの怪異達は夜に行動するのだが、この姚紅は人の身体を媒体として行動するため日夜関係なく活動することができる。

 長き年月を人形に封印され不自由を耐えての復活とあって、姚紅は不始末村全体の半数の人間を喰らい死に至らしめた。

 知能の低い怪異ならばそのまま己の欲求に支配され、一人残らず喰らったであろうけれど、姚紅は知能の高い怪異であり、残った村人達を与える恐怖から意のままに操り、不始末村を統治してしまったものである。

 その後は、どういった方法を使ったのか定かではないが、方々から怪異を引き寄せ平和だった不始末村はいつしか多くの怪異が集まり、訪れる人間に災いをもたらす一つの怪異国となったのだった...
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