刀姫 in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編

第175話 小物

　常人ならば一瞬で気絶してしまうであろう蛇朱喃の睨みつけを受けても、全くもってたじろくことのない仙花。

　元来より仙花は鈍感というか肝が据わっているのだが、魔界の王子である「亜孔雀」との戦いや、仙人界最強を誇る「雲峡」を観てきた彼女からすれば、蛇朱喃の発する圧が相当なものであっても、「あの二人に比べれば大したことはない相手」と感じとっていたわけである。

「怪異よ。儂はこの短期間で次元の違う強さをまざまざと見せつけられてのう。お主も大概にして相当に強かろうが、今の儂にとっては小物にしか見えんのじゃ。悪いが直ぐにカタをつけさせてもらうぞっ！」

「ザン！」

　言い終えるや否や、仙花は水戸の光圀より受け渡された宝刀の「鳳来極光」を鞘から引き抜き、目にも止まらぬ速さで蛇朱喃に飛びかかり一閃を振るったのだった。